こんにちは、小山 みつね（１８２２）です。「[3312]永遠の敗戦国・日本 投稿者：山田宏哉 投稿日：2003/11/19(Wed) 07:54:23」 の反論文を、私は、早速書いて、すでに書き上げてゐた。そこで、山田氏が続編を投稿されるのを待つて、私も反論文を投稿しようと考へてゐた。しかし、連休が終つても、続編が投稿されてゐない。
きつと、山田氏に急用ができたのであらう。人にはそれぞれ、事情があるものではある。（藁）
よつて、私のはうから、「フライング」させていただくことにする。 、、、御無礼。
よろしくお願ひします。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿論題：無条件降伏論争
内容：● はじめに−日本においては「知識が蓄積」がない
● 「無条件降伏論争」の再燃
● 石橋湛山氏の卓見−ポツダム宣言の解釈
● 「憲法通説」の現状
● 小室直樹氏の分析−日米の「無条件降伏観」の奇妙な結合
● 結論●注
● 参考文献一覧
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿● はじめに−日本においては「知識が蓄積」がない
丸山真男（まるやま まさお）氏は、その著書『日本の思想』で、日本国において「知識が蓄積」していかないことを嘆いて、以下のやうに述べてゐる。曰く、
（引用）
（丸山真男 著『日本の思想』P.129 岩波新書 1961年）元のところが共通していて、そこから指が分かれて出ている、そういう型の文化をササラ型というわけであります。タコツボっていうのは文字通りそれぞれ孤立したタコツボが並列している型であります。近代日本の学問とか文化とかあるいはいろいろな社会の組織形態というものがササラ型でなくてタコツボ型である （…後略）
（丸山真男 著『日本の思想』P.129 岩波新書 1961年）
（終了）これが、丸山真男氏の有名な「ササラ型」と「タコツボ型」といふ分類である。なかなかに卓抜したネーミングではある。
各人の知識が一代限りで終つてしまふのは、とても勿体無い話ではある。個々の専門分野では優れた業績を残した人物がゐても、「タコツボ」であるがゆゑに、その優れた業績が世の中に広がることなく、そして、やがて、その人物の「死」をもつて「はい、それまでよ」となつてしまふからである。
先人の業績を利用して、先人が到達し得なかつた高みに登ること、これが、後世の人間に課せられた義務である。さういふ意味で、先人の業績に対する敬意を失つてはならない、と、私は、考へてゐる。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
● 無条件降伏論争の再燃
「無条件降伏論争」はかつて、江藤淳（えとう じゅん）氏 が本多秋五氏・大江健三郎氏らを相手になしたものである。さういふ意味ではとつくに解決済みの問題ではある。しかし、残念ながら、この問題が再燃してしまつたやうである。
『山田宏哉』氏は、その小論「[3312]永遠の敗戦国・日本」で次のやうに述べてゐる。曰く、
（転載）＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞
（[3312]永遠の敗戦国・日本 投稿者：山田宏哉 投稿日：2003/11/19(Wed) 07:54:23）1945年9月2日、東京湾。戦艦ミズーリ上で、外務大臣・重光葵と参謀総長・梅津美治郎が降伏文書に署名した。その瞬間、日本はすべてを失った。日本はアメリカとの戦争に敗れ、すべてを失った。
無条件降伏は、あまりに酷だった。ポツダム宣言の受諾は、アメリカの勝利だけでなく、正義までも、受諾することを意味していた。
（[3312]永遠の敗戦国・日本 投稿者：山田宏哉 投稿日：2003/11/19(Wed) 07:54:23）
（終了）＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞上記の文章「日 本 はすべてを失った」「無条件降伏は」等々の部分を読む限り、山田宏哉氏は、「日本は、アメリカに、無条件降伏した」と考へてゐることは、明白である。しかし、これは、端的な誤りである。
「日本は、アメリカに、無条件降伏した」といふのは、「無条件降伏だから、皆殺しにされても仕方ない」といふ意味で、一種の｢被害妄想」である。さういふ考ヘ方こそが、山田宏哉氏の言に従へば、「調教された」「野蛮なニホンザル」の考へ方にほかならない。すなはち、「アメリカに逆らはんとすると、なぜか、頭が痛くなつてしまふ「コンピューターウイルス」を（アメリカによつて）脳内に送り込まれてゐる」といふことである。
それゆゑ、以下、論駁していくことにする。
●石橋湛山の卓見−ポツダム宣言の解釈
われわれの｢先人｣の一人である石橋湛山（いしばし たんざん）氏は、戦争が終了したばかりの時期に、早くも、次のやうに述べてゐる。曰く、
（引用）
（『石橋湛山全集』第13巻 P.３６ 1970年 収録・初出：1945年9月22日『東洋経済新報』）ポツダムの対日宣言に依るに、無条件降伏を要求されたのは軍隊だけで、日本の降伏は決して無条件ではない。ポツダム宣言は其の条件を掲記してゐる。此の事は、前記せる九月二日の調印文書に依つて更に確認された。それは降伏文書であつて、無条件降伏文書ではない。又其の中には、日本は米英支の政府首班がポツダムにおいて発し、後にソ連が参加せる宣言の条項を受諾すとあり、又大本営及び軍隊の連合軍に対する無条件降伏を布告すとある。何処にも日本国が無条件降伏をするとは書いてゐない。
（『石橋湛山全集』第13巻 P.３６ 1970年 収録・初出：1945年9月22日『東洋経済新報』）
（終了）石橋湛山は、「日本軍」が「無条件降伏」したのであつて、「日本」そのものが「無条件降伏」したわけではないと述べてゐる。昭和20年9月の段階で、である。
蓋し（けだし＝考へるに）正論であらう。
そもそも、国家そのもの（！）が「無条件降伏」してしまつたら、負けた側は「無条件」に「皆殺し」にされても文句が言へないといふことになる。さうなると、負けた側は「皆殺し」にされまいとして抵抗せざるを得ない。よつて、せつかく講和したのに、また戦争状態に戻つてしまふ。これでは、講和をした意味がない。
だから、降伏（講和）の条件が「無条件」であることなど、ありえない。なぜなら、無条件降伏を強要すると、戦争状態が再燃して「元の木阿弥」になつてしまふ可能性が大だからである。
実際の｢ポツダム宣言」の条文は、以下の如し。曰く、
（転載）
http://list.room.ne.jp/~lawtext/1945Potsdam.html五 吾等ノ 條 件 ハ左ノ如シ
吾等ハ右 條 件 ヨリ離脱スルコトナカルベシ
右ニ代ル 條 件 存在セズ吾等ハ遅延ヲ認ムルヲ得ズ九 日本國 軍 隊 ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後
各自ノ家庭ニ復歸シ平和的且生産的ノ生活ヲ營ムノ機會ヲ得シメラルベシ十三 吾等ハ日本國政府ガ直ニ
全日本國 軍 隊 ノ 無條件降伏 ヲ宣言シ
且右行動ニ於ケル同政府ニ對ノ誠意ニ付
適當且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ對シ要求ス
右以外ノ日本國ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトスhttp://list.room.ne.jp/~lawtext/1945Potsdam.html
（終了）上記のやうに、｢ポツダム宣言｣は、明確に、降伏条件を列記したものである。日本国に対する条件降伏の勧告である。
石橋湛山のいふ「ポツダムの対日宣言に依るに、無条件降伏を要求されたのは軍隊だけで、日本の降伏は決して無条件ではない。」といふ指摘が、正しいのである。
●「憲法通説」の現状
しかるに、論争は終結したにもかかはらず、現在でも、「日本国が無条件降伏した」といふ「夢物語」がなくなつてゐないのは、甚だ遺憾である。
たとへば、憲法学者の 故 芦部信義（あしべ のぶよし）氏（注１）は、その著書『憲法』新版 で次のやうに述べてゐる。曰く、
（引用）
（芦部信義（あしべ のぶよし）著 『憲法』新版 P.２２ 岩波書店 1997年）第二次世界大戦において
日 本 は連合国に 無 条 件 降 伏 し、ポツダム宣言を受諾した。
（中略）
明治憲法が破棄され、日本国憲法が制定されたもっとも大きな直接の原因は、ポツダム宣言の受諾、占領、連合国軍総司令部の強い指示などの外からの圧力にあったが、明治憲法それ自体にも、統帥権の独立をめぐる問題など改正を必要とする理由が存在していた事を看過してはならない。
（芦部信義（あしべ のぶよし）著 『憲法』新版 P.２２ 岩波書店 1997年）
（終了）「日 本 は連合国に 無 条 件 降 伏 し、ポツダム宣言を受諾した。」といふ部分が、甚だ遺憾である。学問の蓄積が全く生かされてゐないといふことである。
●小室直樹氏の分析−日米の「無条件降伏観」の奇妙な結合
では、なぜに、日米両国間において、日本国が「無条件降伏」した「かのやうに」なつてしまつたのか。この問題を小室直樹（こむろ なおき）氏はその著書『アメリカの逆襲』で、以下のやうに、明確に、解明してゐる。曰く、
（引用）
（小室直樹（こむろ なおき）著 『アメリカの逆襲』P.95-96 光文社 1980年）アメリカ人は、こじつけであろうとデタラメあろうと、ともかくも合法性の仮面をつけようとする。戦犯裁判など、誰が見てもメチャクチャもいいところだが、そんな裁判でもないよりはましであるとアメリカ人は考える。敵をつかまえたとき、いきなり、縛り首の木にぶら下げるのは不法だが、どんなにチャチでも、裁判をとおせば合法であるような気分になってしまう。
これに対し、日本人は、いまだに関ヶ原の感覚だ。天下分け目の決戦に負けた以上、絞め殺されようと撃ち殺されようと、もう仕方がないとあきらめる。この戦国的センスが、アメリカの無条件降伏の思想とピタリとマッチした。
日本人は降伏といえば、無条件降伏以外にはありえないと考える。戦いに負けて、誌かも死ぬのがいやで降伏する以上、敵の慈悲にすがるしかない。つべこべ条件をつけるのは未練がましくてみっともないだけでなく、敵の感情を概してどうせロクなことはない。こうなったら思いきって、何もかも敵にまかせてしまえ、ということになる。
ところが、近代の戦争史をみると、無条件降伏ということはありえないのである。
（小室直樹（こむろ なおき）著 『アメリカの逆襲』P.95-96 光文社 1980年）
（終了）これすなはち、アメリカ人、かつて、インデイアンやフィリピン人に対してなした「縛り首の木にぶら下げるのは不法だが、どんなにチャチでも、裁判をとおせば合法であるような気分」による行為と、日本人の「負けた者が、負けた後で、いろいろ言ふのは、武士らしくない。すべてを勝者に委ね、殺されるなら、潔く散らう」といふ「戦国的センス」が結合した。そして、その結果、日米間に、日本が米国に「無条件降伏」したのだ、といふ「神話」ができてしまつた、といふことである。（注２）
● 結論
法哲学者の長尾龍一（ながお りゅういち）氏は、その著書『日本憲法史』で、次のやうに述べてゐる。曰く、
（引用）
（長尾龍一（ながお りゅういち）著 『日本憲法史』 P.１６７ 信山社 1997年・初出：「This Is 読売」誌 1997年5月 臨時増刊号）従って、『宣言』（＝ポツダム宣言 小山 注記）から見れば、帝王の如く支配した後のマッカーサーの体制は正当化されず、まして占領者が憲法制定権など有するはずがない。極東国際軍事裁判において、清瀬一郎弁護人が、日本は無条件降伏していないと主張したのも、『宣言』の解釈としては正しかったのである。「第一二五四文書国務省覚書」という米国務省内部文書にも、『宣言』は無条件降伏が日本軍のみに適用されると定めているのに、実際の扱いは日本国が無条件降伏したものとなっている、という指摘がある。
（長尾龍一（ながお りゅういち）著 『日本憲法史』 P.１６７ 信山社 1997年・初出：「This Is 読売」誌 1997年5月 臨時増刊号）
長尾龍一氏は、「日本は無条件降伏していないと主張したのも、『宣言』の解釈としては正しかったのである。」「『宣言』は無条件降伏が日本軍のみに適用されると定めている」とて、明確に、ポツダム宣言は決して「無条件降伏」の要求ではないことを指摘してゐる。蓋し、正論であらう。
ちなみに、「米国務省内部文書にも、『宣言』は無条件降伏が日本軍のみに適用されると定めている」といふ指摘は興味深い。これすなはち、占領当局、特にリベラル派のGS（民生局）が「日本の調教」のためにポツダム宣言を歪曲した。それに対して、「米国務省」は、懐疑的な視点を持つてゐたことを示してゐる。
この占領当局（日本の弱体化が大切！）と国務省（日本をある程度強くして、帝国の「先鋒隊」として利用しよう！）の対立は、今日における「弱い日本派」（ウイーク・ジャパン＝アメリカにとつて日本こそが最大の敵。最大の敵日本をい弱体化しておくに如くはなし。また、日本に米軍を張り付かせて監視するに如くはなし。これ「ビンの栓」理論！）と「強い日本派」（ストロング・ジャパン＝ある程度日本に力を持たせて、日本人の不満を解消させよう。あと、日本の力をアメリカに逆らはない限りで利用しよう）の対立の源流であらう。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
● 注（注１）芦部信義（あしべ のぶよし）氏・宮沢俊義（みやざわ としよし）氏のこと
ちなみに、芦部信義氏は、宮沢俊義（みやざわ としよし）氏の後継者である。『副島隆彦』氏による宮沢俊義の評価は以下の如し。曰く、
（転載）＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞
（[3318] 先輩会員からのメールの転載。教師、教育者による新国民教育運動の創出も今こそ必要だと切実に思います。 副島隆彦 2003/11/20(Thu) 05:25:09）下部の大衆組織はすべて親ソビエトの「祖国ソ同盟」主義の、社
会主義教育労働者だったのに、一番上の方だけはずっと、ひそかにアメリカ（の民主党系の、リベラル・グローバリスト。ハーヴァード大学
が牙城。）とつながっていたのです。その頭目が、宮沢俊義（みやざわとしよし）東大教授で、彼が「日本国憲法のお守り番」でした。宮沢の『日本国憲法コンメンタール』を、ま
るで聖書のように読んで覚えこむことで、国家試験に合格していって、戦後の日本の官僚（上級公務員）たちが大量に作られた。（[3318] 先輩会員からのメールの転載。教師、教育者による新国民教育運動の創出も今こそ必要だと切実に思います。 副島隆彦 2003/11/20(Thu) 05:25:09）
（終了）＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞＞どうも、宮沢俊義氏にしろ、丸山真男氏にしろ、共産主義のシンパではあるが、明確な共産主義支持者であつたとは、考へられない、といふことである。
連中は、共産主義を日本の「前近代的」な部分を治療するための薬として利用しようとしてゐたやうだ。「共産主義を前近代にぶつけて、漁夫の利を得よう」といふ作戦を、連中は持つてゐた、といふことである。
この試みは失敗したし、また、理論としても誤つてゐると、私は、考へてゐる。
ここでは、これ以上の詳細は、論じない。）（注２）「日米の「無条件降伏観」の奇妙な結合」について、、、
日米双方が「非論理的」にふるまつた、といふことである。
日米双方の「非論理性」を両方批判しなければならないと、私は、考へてゐる。● 参考文献一覧
丸山真男（まるやま まさお）著『日本の思想』岩波新書 1961年
『石橋湛山（いしばし たんざん）全集』第13巻 東洋経済新報社 1970年
芦部信義（あしべ のぶよし）著 『憲法』新版 岩波書店 1997年
小室直樹（こむろ なおき）著 『アメリカの逆襲』光文社 1980年
長尾龍一（ながお りゅういち）著 『日本憲法史』 信山社 1997年＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
以上。御無礼。
報道２００１を拝見しました。副島先生はとても冷静に対応していらして良かったと思いました。そして正論をついて、志方氏をあわてさせ、良く言ってくださった、やったね、と思います。志方という人は、アメリカから帰国したばかりとて、すっかりあちらの言いなりでふやけてしまい、わけもなく自信たっぷりで、日本のことを全然考えないいい加減な思考に陥ってしまっていました。実に仕方の無い人です。まるで中学生の作文、軍事専門なのに知らないのか、とは良くおっしゃってくださいました。志方氏曰く「日本軍が行けば周囲は友好的になるだろう、」なんてあきれ果てます。相手は自爆、特攻隊なんですから。内心は自衛隊員が犠牲になる可能性も知っているはずを知らないふりをして。日本軍が行けば、世界のイスラム教徒を敵に廻し、確かに日本中テロだらけになっても仕方が無いのです。宗教の怖さを知らない人々が多すぎます。いつも掲示板では貴重なご教示をありがとうございます。
自衛隊をイラクへ派兵せよという軍事評論家は下記の事件を無視するのか？中東の国々の立場で考えてから発言して欲しい。
ネオコンはイラクの復興など望んでいない。
米兵も気の毒だが、自衛隊はもっと気の毒だ。
読売新聞から転載します。（転載始め）
鉛筆大「謎の弾丸」、米最強戦車１発で痛手
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20031028id02.htm【ワシントン＝笹沢教一】世界最強の装甲性能を誇る米陸軍の最新鋭主力戦車「エイブラムス」が今年８月、イラク・バグダッドで、鉛筆ほどの細さの弾丸１発で、厚さ約１０センチの鋼鉄板や砲塔などを４か所も貫通され、攻撃力を損なう重大な損害を受けていたことが２７日、明らかになった。米軍事専門紙「ディフェンス・ニュース」が報じた。
乗り込んでいた砲手らは軽いけがだったが、砲身根元の電子射撃制御システムが破壊されるなど実質的な被害が大きく、米軍は謎の弾丸の正体探しに躍起だ。
同紙によると、貫通した穴は小指が入らないほど小さいため、既知のロケット弾ではなく別の武器や砲弾が使用された可能性が高いとしている。エイブラムス戦車は、劣化ウランを使用した最強の装甲を多重に装備しており、これをいとも簡単に破る武装がイラク側の反米勢力にあるとは考えられていなかった。
最近の対戦車ロケット弾は、着弾時に溶けた金属などが噴き出して装甲への貫通力を高める仕組みになっており、米国の専門家は「小口径にして噴射を集中させ、貫通力を高めたのではないか」と推測している。
(2003/10/28/14:51 読売新聞)
（転載終わり）
マスコミの大嘘に関連記事
金の子守熊です。
さきに私がコメントした岡崎論文を、YK（1044)氏が、ふじむら掲示板に紹介しておられます。ご興味ある方はどうぞご参照ください。
ＹＫ（１０４４）様、ご配慮ありがとうございます。[4149] 『ネオコンの思想』−根底に古典の「常識」−岡崎 久彦 - 投稿者：ＹＫ（１０４４） 投稿日：2003/11/23(Sun) 21:53:12
私の仕事面での経験上、敵（これには「憎しみ」の感情は入っておりません）からより多くことを学んでおります。岡崎論文もその意味で参考になりました。私の場合、裏切られるのは多くの場合「身内」からですが・・・。
以 上
金の子守熊 拝
報道2001見ました。黒岩の腹黒いやつだ。全く持って、最後は、二人して
副島先生に質問ぜめにあわせて、まさに、テロ攻撃ではないか。
しかし、基本的には､日本属国論のテーマで話は進んでいたと思う。
金の子守熊です。重掲には久しぶりの投稿になります。
今朝のフジテレビ系「報道２００１」を拝見しました。竹村健一、高村正彦（自民党）、前原一誠（民主党）、志方俊之、高橋某（イスラム専門家？）の各氏に加え、副島先生もコメンテーターとして出席され、自論を展開されておられました。最後に高村正彦氏が「あんまりはっきりさせない方が良いよ」としめくり、番組の最後で竹村健一氏が「自説を発表しないのは良くない」という意味の英語の対句（？）を紹介していたのが印象に残っています。
私は、仕事をやっていく上で「TPO」(Time,Place,Occasion)を考えることにしており、半ば習性化しております。今回の副島先生のTV登場（しかも生放送）もそういう観点から思わず考え込んでしまいましたが、これもまた時機(occasion)がくればおのずと「はっきり」してくるのでしょう。
そんな中で、私が注目しているのが、今朝の読売新聞に岡崎久彦が「ネオコンの思想」について一文を寄せていることです。タイミングが良いですね。
岡崎論文にあるネオコンの紹介内容は、有料会員の方なら周知のことですが、その紹介の仕方が面白い。ネオコンのゴッドファーザー、アービング･クリストルを「かつてのトロッキスト」と紹介したり、レオ・シュトラウスを「ナチスのホロコースト（ユダヤ人大量虐殺）を逃れて米国に帰化したしたという原点があり、ネオコンの中にユダヤ人の影響が強いという背景」、「ネオコンの思想には、マルクスシズムとファシズムに対する絶対的な否定」、「自由主義と民主主義という天賦の権利(自然権）と独裁政治とを相対的に考えることなど絶対に許さない」などとネオコンの思想に対する印象付けに工夫が凝らされている。
まるで副島先生が、ネオコンのことを「凶暴な知識人集団」と発言されることを予期していたかのように。
またこの岡崎論文の基調（底流に流れているもの、読者、特に読書人層に刷り込みたいもの）は、見出しに現れております。『根底に古典の｢常識｣』、『政策動かす新たな哲学』というものです。岡崎氏は、ネオコンの「アメリカ民主主義賛美は、該博な古典の知識からもくる」とし、プラトンの哲人王の理想、そして外交原則は「ツキジデスなどの歴史か学んだ『ものの考え方』がある」としています。この「ものの考え方」とは、岡崎によれば、「まず愛国主義というのは健全な態度であり、第二に世界政府というのは専制に導くおそれのある危険な思想であり、第三に政治家は敵と見方を峻別すべきであり、最後に大国にとっては国益はその領域内の問題にとどまらない、という常識的現実的な政治の知恵である。」「ネオコンの外交政策がこういう古典的な常識的な考え方から来る」と主張しているのです。
この「古典的、常識的」が本当にそうなのか、ということを考えるために、次の事を想起しなければなりません。この岡崎氏の「愛読書」でもあるツキジデスの「歴史」の最も有名な個所を。すなわち、(引用開始）
ペロポネソス戦争のさなか、アテネは反乱鎮圧のためにメロス島に艦隊を派遣した。前416年、アテネのスポークスマンはメロス人に、戦って死ぬか降伏するかだ、と告げた。メロス人が自分たちは自由のために戦っているのだと抗議すると、アテネ側は、「強者は､もてる力でなしうる事をなし､弱者は､受け入れざるをえないことを受け入れるものだ」と応えた。(以上､ジョセフ・S・ナイ「国際紛争、理論と歴史」26〜27P）
(引用終り）
金の子守熊です。この個所は、ナイ氏が「より大きな力を持った者は、しばしば道義的考慮を無視できる」(同書26p）例として紹介しているもので、国際政治学におけるリアリストの考え方の典型としてよく引用される。これを岡崎氏は「古典的、常識的な知恵（の少なくともその一つ）」とされているわけである。
なお、この個所は、岩波文庫版『歴史(中）』351p〜364pに翻訳されてあるので興味ある方は参照されたい。
古典の「常識」と言われると特に保守的な読書人層には受けるでしょう。ネオコンの思想が「古典の常識をわきまえている」などと言われるとなんとなく警戒感も薄れるというものです。また、「哲学」という言葉にも弱い。岡崎論文の小見出しは、「古い保守との差」→「米の懐の深さ」→「思想混迷の日本」とあり、それを大きく、くくるのが「政策動かす新たな哲学」である。見事なものです。副島隆彦氏の読者になる前の私ならいちころだったでしょう。「哲学」をもっているからこそ「凶暴」なのですから。
従って、岡崎氏が突きつける「哲学」あるいは「思想」を軽んじる事は危険であります。副島隆彦氏の思想に共感する者として自分なりの構えを持つこと、それを考えつづけることが、一層大事になってきたと感じてきております。以 上
金の子守熊 拝
フジテレビで副島先生が出ていらしゃったパネルディスカッションを拝見いたしました。先生は「日本が海外に自衛隊を派遣すれば恨みをかうだけだ。また日本はもはや世界に誇れる国ではなくなった。経済も政治も低迷している。海外に派兵するときではない。」というような事をおしゃいました。ごもっともだと思います。
イラクでは大量破壊兵器も見つかっておらず派兵の大儀も見つかりません。副島先生のお話に感銘を受けました。
日本は海外貢献をやめ国内の充実に力をつくすべきだと思います。
いささか僭越ながら「ぼやき496」を読んで幾つか思いついたことを・・・。「力は正義」か?
そんな訳はない(笑)結局のところ勝利するものは単にその決する時点で有利・優勢なものであったというだけのことであり(知恵ある人間は当然しかるべき時・機会を最大限に用いるものでもあるが・・・それでも力及ばぬ時もある)それ自体は善でも悪でもない。ただ不正義に基づいた人(の行い)は当然、道理・公正さを体現できないので(混乱・貧困・分裂・崩壊等の)不調和を創り出すので結果(最終的には当事者にも)災いと破滅がもたらされるものである。
「天下開闢より悪の栄えたためしはない」とも言うが人・社会・世界が調和的に発展できないような行い・あり方は最後には跡形もなく消えうせてしまうから「悪の道」は滅びの道「正義・善の道」は繁栄の道ともいえる。
無論、病状が快方に向かう場合でも一時的に悪化するように見える状態(好転反応)が顕在化することがある。正しい事を行っていても一時的に(一見)悪くなるときもあるが・・・ここは冷静な判断・知恵・洞察が必要なところでもある。(現下の日本の国情?・・・破滅の道を一直線ではないですか(笑))
政治とは・・・
政治は主に「力」を扱うものである。今日、主に政治家と呼ばれる人は法(ルール)を作り、修正し、あるいは廃止することを通じて社会の中で一定の公正さを保つ為に働くー調和的発展に向けての調整者であり、そして(法を通じて)ルールに逆らい違反するものに対して何らかの制裁を与える義務と権利を持つものでもある。従ってその能力の扱い如何によっては周りにとっても当事者にとっても危険なものである。利己的な動機に基づきその才知と力を行使するとき当然それは遅かれ早かれ破滅へと導かれる。
禅僧・山本玄峰老師は終戦末期の極秘の会見で鈴木貫太郎に「力で立つ者は力で滅びる。金で立つ者は金で滅びる。徳で立つ者は永遠なり」と言った(「田中清玄自伝」P136より)そうであるが・・・昔はこうした隠れた徳人が尊重されていたところも有ったが、昨今ではそうしたことも殆ど見られなくなった為、政治家(屋)も国もこのていたらくである。
徳の道に施政者(あるいは才知と力)が完全に帰順・従属するときにのみ真の繁栄が訪れるものである。
マキャベリズムについて
重要な事は協働する人間を正しく見極める事にある。
(自分が)従うのか、従わせるべきか、人として「信」に足る人物か、単に人の形をした動物なのか等の・・・。
マキャベリの思想は主に「動物人間」ー信義も魂も欠いたような欲得だけに反応するような輩ーをいかに有効な「道具」としてどう適宜に扱うかについて述べているものなのであるが・・・一般的な理解としては嘆かわしい事に自身の利己的な都合に応じて回りの人間を見境なく利用し使い捨てにするものと履き違えて理解されている。確かに状況によってはそれも(人を使い捨てにするように利用する事)正当な場合もある、が「大義」への帰順を欠き、あるいはそれを正しく示す事ができなければ心ある人は寄り付く事は無くー景気のいい時は頼みもしないのに融資してくれるのに苦境の時には舌も出さないような意地汚い銀行屋のような、いざという時に全くあてにならない"太鼓持ち"人間しか寄ってこないので、このような人物の末路は悲惨なものになる。(「君主論」で絶賛されていたチェーザレ・ボルジアのあの無残な末路を考えれば自明のことであろう・・・)
あと(「ぼやき」とは関係無いが)「荀子」についても一言
人間は確かに一人あるいは一個の存在としては、すべからく皆平等ではあるが、その質(内実)においては、ばらつきがある。
公正さと(能力・人間性の発達の度合いに応じた)分を知り、わきまえる事のバランスを正しく認識できないところに今日の社会思想・倫理上の混乱・問題がある。大衆といういささか知恵の足りない巨大な単細胞生物とじかに接する現場で実務に携わる者に必要なものは、このバランスを正しく保つ為の実際的な原則である。
このようなニーズに「学問のすすめ」と同様に「荀子」も有効な真理・原則を提供してくれるものであると思う。
このような提起が何らかの形で政治を志す方々のお役にたてば幸いな事である。(因みに徳間書店発行の中国の思想シリーズisbn4-19-860515-7は必要なところのツボを押さえ実に分かりやすく編集されているので私はお勧め)
(了)
バードです。わたしは、『反米論を撃つ』を読んでいません。
しかし、アルルの男・ヒロシさんの[3321]Re[3319]: 『反米論を撃つ』（2003/11/22）において、（アルルの男・ヒロシ書き込みから引用開始）
古森氏や田久保氏、あるいは岡崎久彦氏らの「日米同盟こそ日本の生命線」という思想・立脚点をいたずらに否定するつもりはない。「アメリカ様に日本が睨まれたら生きていけない」という考え方、現状維持という考えかたはそれはそれで重要なものだと私も思います。
（アルルの男・ヒロシ書き込みから引用終わり）
という日米同盟の重要性の確認に共感します。また、
（アルルの男・ヒロシ書き込みから引用開始）
しかし、「国益」を考えるのが、政治家と外交官の態度であるならば、今日本が自衛隊をイラクに送ることに何の国益があるのか。みすみすテロ戦争に日本が巻き込まれることに何の国益があるのか、日本はどうして、遙か遠くのイラクの民に、民主主義を与えることに関与しなくてはならないのか。自分たちの生活が、イラク派兵によって日本人が増税によって苦しむかも知れないのに。ＮＹＴなどを読むと、アメリカ国内では、「イラクの国民に水道を提供するために、アメリカ人の健康保険がないがしろにされている」という批判がわき起こっている。
一国平和主義が国益になるときもある。今がそのときではないのか？
（アルルの男・ヒロシ書き込みから引用終わり）
という、「国益のためにイラク派兵ではアメリカ政権（ネオコン第３世代）の言いなりになるな論」に、共感します。
「アメリカ・ファースト」を叫ぶパット・ブキャナンを支持するなら、それを見習って私たちも「ジャパン・ファースト」なるものを唱えるべきではないでしょうか。
政府が不良債権を処理すると言いながら、いつまでも処理できず、また１０年以上経っても、景気を回復できず、さらにそのようなことに責任すらも感じていない。超低金利を１０年以上続行しながら、金融制度は守り抜くと恥知らずにも言える政府。超低金利という現実は、金融制度が破綻していることそのものを示すものではないのか。
日本は問題山積みのままなのである。
現在の日本は、ジャパン・ファースト（国内問題優先）で行かなければならないのではないか。日本は国際貢献をすべきほど立派な国なのであろうか。
副島氏によれば、外から見れば日本が属国奴隷国家だと丸見えであり、世界の各国には、もうとっくの昔にそのことは見破られているのだ。そして、世界帝国べったりの姿勢を、各国政府に内心では蔑（さげす）まれているのである。
国民の生活と経済的繁栄がなりよりも大切である。日本国の名誉は、そのつぎでもよいのだ。
グローバリスト（ネオコンを含む）の手先は、一理ある言葉をはきながら属国民を騙すのが、常套の手口なのであろう。
ネオコン第３世代の存在を隠しながら日米同盟を説く、古森義久（こもりよしひさ）氏や田久保忠衛（たくぼただえ）氏は、日本から金をむしりとり、日本を苦しめたグローバリストの手先であったと、後々の後世まで語り継ぐべきであろう、と思う。(了）
こんにちは。小山みつねさんが書かれていた、書評「反米論を撃つ」は是非、書き足して「ぼやき」の会員予定者ページに掲載して、より多くの方に読んで欲しいと思います。ぜひ、小山さん、お願いします。実は私もこの本を書店で見つけるなり買い求め、一気に読了しました。田久保氏はともかく、古森氏の「ネオコンべったり」報道は確信犯だったようです。小林−西部両氏の、ネオコン理解のあやふやさ（特にクリントンに献策して、受け入れられず失望した民主党員が共和党に潜り込んだ。７０年代や８０年代なら理解できますが・・・・）は、両者の指摘はそのとおりなのです。この本は、サヨク（日本リベラル）の池澤夏樹や坂本竜一、日本反米保守の西部、小林の両氏を叩き、ついでに多国間外交重視派の三井の寺島実郎氏を叩くという趣旨の本なので、これらの人々に反感を覚えている読者は溜飲を大きく下げたでしょう。
ただ、ＮＹＴなどでも、普通に登場する、neoconservatives（今のブッシュ政権のネオコン、このサイトではネオコン第３世代）などは存在しないのだ、ということはいけないでしょう。
最近のサンケイの報道を見ていると、昔とちがって一定のバイヤスが掛かっている。
朝日新聞がかつて、中共・シナのご用新聞に成り下がった時期があった。古森氏はその偏向を厳しく批判した。しかしいま、同様に、古森氏がアメリカに操られて（？）、ネオコンなんていないんだと言いながら、ネオコン発の情報を日本にどんどん輸入している。今のサンケイ新聞は、ネオコン派（具体的には、ＡＥＩ、ヘリテージ、ウィークリースタンダード周辺）からの情報だけが数量的に偏って報道されるようになってしまった。これがアメリカの保守本流だと彼らは言う。
保守本流とネオコンの区別が９．１１以降はつきにくくなってしまったのは事実としてあるだろうが、そういう背景を説明せずに、「これが保守本流なのだ」として言われると違和感がある。古森氏は数年前、アメリカ総局から一時的に、中国総局に特派員として赴任していた時期がある。これも、ネオコン派の対中対決という世界戦略の枠組みのなかに組み込まれたものではないか。
古森氏や田久保氏、あるいは岡崎久彦氏らの「日米同盟こそ日本の生命線」という思想・立脚点をいたずらに否定するつもりはない。「アメリカ様に日本が睨まれたら生きていけない」という考え方、現状維持という考えかたはそれはそれで重要なものだと私も思います。
（小山書き込みから引用開始）
「永遠の敵も永遠の味方も存在しない。永遠に存在するのは、国益だけだ」といふ原理がある。特に、外交問題では、この原理が、もろに適用される。古森氏 や田久保氏のやうな「外交畑」の人間は、職業的に（！！）「近代憲法の精神」（生命･身体・財産権 の保証を政府の任務とする、それ以外のことには政府をして関知せしめない、といふ原理。ホッブズの「自己保存法則」（ＳＥＬＦ‐ＰＲＥＳＥＲＶＡＴＩＯＮ）と ロックの「所有権法則」（ＰＲＯＰＥＲＴＹ））を、体現せざるをえないのであらう。
それなりに、一貫した、プロらしい態度ではある。
（小山書き込みから引用終わり）
しかし、「国益」を考えるのが、政治家と外交官の態度であるならば、今日本が自衛隊をイラクに送ることに何の国益があるのか。みすみすテロ戦争に日本が巻き込まれることに何の国益があるのか、日本はどうして、遙か遠くのイラクの民に、民主主義を与えることに関与しなくてはならないのか。自分たちの生活が、イラク派兵によって日本人が増税によって苦しむかも知れないのに。ＮＹＴなどを読むと、アメリカ国内では、「イラクの国民に水道を提供するために、アメリカ人の健康保険がないがしろにされている」という批判がわき起こっている。
一国平和主義が国益になるときもある。今がそのときではないのか？
＊＊＊＊さまへ
副島隆彦です（略）
＊＊＊＊さまからの心暖まるメールを時々いただきまして、人生の後輩として、いつも身が引き締まる思いです。本当に今の日本人はだらしなくなりました。かつての美しい、きりりとした日本人を取り戻すために、私たち自身が日本国の再生運動をしなければいけないのだ、と本当に思います。 副島隆彦拝
Date: Mon, 17 Nov 2003 19:18:18 +0900
From: ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
To: snsi@mwb.biglobe.ne.jp先生へご挨拶
先生から2004年分の更新案内のお手紙とご幼少の頃の家族写真をいただきありがとうございました。
わたしはよほど単調な生活の繰り返しをしているせいか、１年が疾風の
ように過ぎ去り、10年でもあっという間に感じます。10年前の湾岸戦争もついこの間のことのようで。今年は７時間ぶっ通し講演会あり衆院選挙もあり、先生とお弟子さんたちもお忙しかったことでしょうが、来年はさらに怒涛の１年になることでしょう。どうか過労で死なないでくださいね。先生がこの日本のどこかにいて、その脳がコンピューターのように活動してくれていると思うだけで、希望があるんですから。他力本願に勝手なこと言うなとお思いでしょうが自分の家族のほかに具体的に死んでほしくないと思う人はそういません。
我々のように神様から普通の脳みそしか与えられなかった庶民でも、自分自身の頭で考えようとはしていますが、見事に騙されていたり、悩み事に頭を支配されていたりで、先生のように尊敬する人から指針を与えられると頭から霧が晴れ、自分でも驚きます。見方が変わるだけで、すべてのことが違って見える経験をしたのは先生のお蔭です。とても感謝しています。
わたしは阪神大震災で恐ろしい経験をして、多くの人が死んだ時と、主人がガンの告知をされて夫婦で戦った時の過去２回、人生の優先順位が変ってしまう経験をしました。世の中のすべてが変って見えました。
出家する人の気持ちもわかる気がしたものです。でも読書でここまで生まれ変わったような気分になるとは。わたしは先生の読者というより信者なのかも。ところで、赤ちゃんの先生のお写真には顔が緩みました。可愛いですね。お父様やお母さまも美しい方でいらっしゃいますね。自分の両親の若い頃の写真を見たときも感じたのですが、あの頃の日本人は貧しくとも顔がきりっとしていますよね。
たとえば今の日本人のように、朝起きたパジャマのままで１日ずるずる過ごすとか、お客さんが突然来るとなって、大慌てでちらかった家の中を大掃除するなど、あの頃の日本の家庭にはなかったような気がします。いつ誰に見られても恥ずかしくない程度の生活の規律があって、質素な佇まいでも、だらしない生活は悪とされていました。だからきりっとしているのかもしれません。昔の家庭に比べて、今はだらしない家庭になっていると思います。
先生がいつぞやお弟子さんの若者たちの部屋の汚さに閉口して、注意をしていたぼやきがあったなぁと思い出しました。”かたずけられない症候群の女”も多いそうですし、だらしない男と女が父親と母親になり、また両親の代より一段とだらしない家庭ができあがっていくのでしょう。
さて来年2004年はいよいよアメリカ大統領選・オリンピック・新札発行の年。先生の読者にとっては恐いような、待ち遠しいような。
先生の本を読んでいると、もっとひどくなるぞ〜 と最悪のことが書かれているのに、元気がでるのが不思議です。恐いと同時に腹がすわるというか、覚悟ができるというか。来年のわたしの目標は人格の向上です。幸福になりたいのであればこれしかないと思います。未熟な自分を少しでも高める努力しかない。
他人も、廻りの人も、環境も、日本もわたしの力では変えることはできない。でもわたしの支配者はわたししかいないので、自分をよい方向へ変えるしかないと思うようになりました。では来年が先生にとって実り多い年となりますように。お弟子さんの皆様もますます精進なさって、素晴らしい成果をあげてください。最近はぼやきのなかで先生も絶賛するお弟子さんが増えましたよね。先生に誉められた文章を書いた人が、パソコンの前でうれしくて高揚していらっしゃるだろうと想像しながら、これからも拝見させていただきます。
今後ともよろしくお願いします。
＊＊＊＊＊＊（転載貼り付け終わり）
副島隆彦拝
こんにちは、小山 みつね です。↓下に『反米論を撃つ』といふ本をお読みになつた会員の方からのメールが転載されてゐる。たまたま、私も『反米論を撃つ』の書評を書いてゐたところであり
ました。よつて、早速以下の投稿をさせていたがきます。よろしくお願ひします。＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
論題：『反米論を撃つ』（古森義久 こもり よしひさ 田久保 忠衛 たくぼ ただえ 対談） への書評
内容：
● はじめに −書籍情報
● 古森義久氏の「ネオコン理解」を斬る
●「近代憲法の精神」−「生命･身体・財産権の保証」と「国益」
● 「馬鹿な殿様に仕へて死ぬまで闘ふ」 −浅見絅斎への無理解
● 結論 −外面的行動（Overt Behavior）と内面的行動(Covert Behavior)の峻別●追記
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿● はじめに −書籍情報
『反米論を撃つ』（古森義久 こもり よしひさ 田久保 忠衛 たくぼ ただえ 対談）なる本を読んだ。本書は以下のやうな内容の本である。
（転載）
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9977586489『反米論を撃つ』
２６１ｐ １９ｃｍ（Ｂ６）
恒文社２１；恒文社〔発売〕 (2003-11-20出版)・田久保 忠衛・古森 義久【著】
[B6 判] NDC分類:319.105 販売価:\1,600(税別)
この商品は新宿本店,新宿南店の在庫をお届けしま
す。 最短４日でお届できる見込みです。
第１章 アメリカを読む指針
第２章 反米に踊らされる「マスコミ文化人」たちよ
第３章 「グラウンド・ゼロ」に背を向ける人々
第４章 「ネオコン」という虚像
第５章 西部邁、小林よしのりへの弔鐘
第６章 「反米左翼」西部、小林の尻尾
第７章 日米同盟の意義を考えるお買い物のしかた 同分類検索
[BOOK著者紹介情報]田久保忠衛［タクボタダエ］
昭和８（１９３３）年生まれ。５８年早稲田大学法学部卒業、時事通信社に入社。
ハンブルク特派員、６９年那覇支局長、７０年ワシントン支局長、７４年外信部
長を経て、８０年海外事業室長兼論説委員。８３年編集局次長。８４年杏林大
学社会科学部教授、９２年より同学部長を経て、現在同大学客員教授。国際政
治学・国際関係論。法学博士。９６年第１２回正論大賞受賞古森義久［コモリヨシヒサ］
昭和１６（１９４１）年生まれ。慶応大学経済学部卒業。米国ワシントン大学大学
院留学。毎日新聞記者、サイゴン、ワシントン特派員を経て８７年に産経新聞に
移籍。ロンドン、ワシントン支局長、初代中国総局長を歴任。現在ワシントン駐
在編集特別委員兼論説委員。『ベトナム報道１３００日』（講談社出版文化賞受
賞）など著書多数。ボーン上田国際記者賞受賞http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9977586489
（終了）●古森義久氏の「ネオコン理解」を斬る
「朝日新聞のネオコン報道は、嘘である。ネオコンとは、30年前に、リベラル派（＝本サイトでいふところの"Ｌｉｂｅｒａｌｓ"）から転向した者のみをネオコン（＝本サ
イトでいふところの「ネオコン第一世代」）といふのだ。現ブッシュ政権の一部閣僚のことをネオコン（＝本サイトでいふところの「ネオコン第三世代」）とは言は
ない」といふ、古森氏の一点張りの主張には、私は、辟易としてしまつた。小山の反論。曰く、
１ ネオコンは、元社会主義者・リベラルズで、1970年代から右翼化し始めた
２ 米国社会主義者の Michael Herrington が、社会主義への裏切り者たちを、
憎しみを込めて「ネオコン」と呼んだ。これ「ネオコン」の ことはじめ
３ ネオコン第一世代 アービング・クリストル 氏（ジャーナリスト）ヘ、
トロツキスト（！）からの転向者。スターリンのソビエト、撃ちてし止まん。
対ソ軍事強硬論者！！
４ ウォルフォヴィッツら は「国防族」である。1970年・80年代の基準で、
冷戦保守（注記：レーガン政権のこと）か、単なる保守 である。
ネオコン（転向組み）ではない。（注目！！）
５ しかし、今日、ウォルフォヴィッツらをネオコンと呼ぶのは、正しい。
根拠。軍事的対外強硬路線がネオコンや国防族の特徴だからだ！小山の反論 終了。
●「近代憲法の精神」−「生命･身体・財産権の保証」と「国益」
しかし、それ以外のところでは、それなりに見るべき点があつた。
古森･田久保両氏は、「近代憲法の原理」（生命･身体・財産権 の保証を政府の任務とする、それ以外のことには政府をして関知せしめない、といふ原理）に
基づいて、一貫した議論を展開してゐる、といふことである。もつて「原理原則」を持たない、小林よしのり氏や西部邁（にしべ すすむ）氏の感情論を、適切に
（！）「撃つて」ゐる。古森･田久保両氏は、「近代憲法の精神」（生命･身体・財産権 の保証を政府の任務とする、それ以外のことには政府をして関知せしめない、といふ原理。ホ
ッブズの「自己保存法則」（ＳＥＬＦ‐ＰＲＥＳＥＲＶＡＴＩＯＮ！！）とロックの「所有権法則」（ＰＲＯＰＥＲＴＹ！！））に、どこまでも忠実（！）だといふことが分かつ
た。「永遠の敵も永遠の味方も存在しない。永遠に存在するのは、国益だけだ」といふ原理がある。特に、外交問題では、この原理が、もろに適用される。古森氏
や田久保氏のやうな「外交畑」の人間は、職業的に（！！）「近代憲法の精神」（生命･身体・財産権 の保証を政府の任務とする、それ以外のことには政府を
して関知せしめない、といふ原理。ホッブズの「自己保存法則」（ＳＥＬＦ‐ＰＲＥＳＥＲＶＡＴＩＯＮ）と ロックの「所有権法則」（ＰＲＯＰＥＲＴＹ））を、体現せざるをえ
ないのであらう。それなりに、一貫した、プロらしい態度ではある。
この世は、特に外交の世界では、「力が正義である」「国益がすべてだ」といふことは、否定しがたいものなのだらう。
法哲学者の長尾龍一（ながお りゅういち）氏は次のやうに述べてゐる。
（引用）
（長尾龍一 著『法哲学批判』Ｐ．２５−２６ 信山社 １９９９年 収録 初出：長尾龍一論文「正義論議スケッチ」１９８１年！！）正義の女神は実は娼婦（！！ 小山 注記）であり、戦いの結果が明らかになった段階で勝者の胸に抱かれる。しばらくするとまた闘争が起こり、勝敗が入
れ替わると、また新たな勝者の胸に抱かれる、と。かくて「正義の女神は腕づくで押さえ込まねばならぬ」ともいわれる。これはいわゆる「強者の権利」の思
想、実力説である。（長尾龍一 著『法哲学批判』Ｐ．２５−２６ 信山社 １９９９年 収録 初出：長尾龍一論文「正義論議スケッチ」１９８１年！！）
（終了）外交の世界では、「力が正義である」「国益がすべてだ」で構はない。しかし、これでは、｢アノミー問題｣のほうは解決しないといふことだけは、急いで、付け
加へておかなければならない。とはいへ、両氏にそこまで、要求するのも、酷なことなのであらう。
●「馬鹿な殿様に仕へて死ぬまで闘ふ」 −浅見絅斎への無理解
西部邁氏・小林よしのり氏へ一言助言申し上げる。（ここで言つても無意味だが、、、）
「寄らば大樹の陰みたいな親米論は、卑怯である」と、そこまで言ひ張るのなら、浅見絅斎(あさみけいさい) の『靖献遺言(せいけんいげん)』や小室直樹『天
皇の原理』などに言及しなければ不徹底である。浅見絅斎が称揚した人々、･屈原（楚の詩人、憂国の政治家で、汨羅べきらの淵に身を投げて死ぬ）、
･諸葛亮孔明（漢の再興を願って蜀漢の劉備を助けた軍師）、
・ 陶淵明（晉代の官僚・詩人、腐敗を嫌い自然を理想とする詩を創作）、
・ 顔真卿（唐の書家、安禄山の乱で義兵を率い戦う、剛直な性格のため晩年殺される）、
・ 文天祥（南宋の宰相、義勇軍を率いて元と戦い、帰順せず獄死）、
・謝枋得（元軍と戦って部隊が全滅した後、故郷に帰って老母の葬式をあげる）、
・ 劉因（元代の儒者、皇帝に招かれるが一日で辞表を出し帰郷）、
・ 方孝孺（明の儒者、永楽帝を叛臣と断じ、詔書の起草を拒否、親族８４７人を殺害され、先祖の墓をあばかれても拒み続け、肉を殺がれて死ぬ）すなはち、「寄らば大樹の陰」を断固拒否して、「馬鹿な殿様に仕へて死ぬまで闘つた」人々に思ひを馳せなければならない。しかし、西部･小林両氏は、全
く、浅見絅斎に言及しない。浅見絅斎に言及しないといふ意味で、西部小林両氏は、三流と判定せざるをえない。つまり、西部・小林両氏もまた、アメリカに
洗脳され尽くしてゐるわけである。「アメリカに洗脳され尽く」されてゐる両氏が、「アメリカに対する、寄らば大樹の陰」は許せない！ といふのは、笑止であ
る。以上の意味で、西部･小林両氏は、不勉強だと言はざるをえない。
そして、日本人が不勉強になることを、アメリカが喜ばない道理はない。
「アメリカを喜ば」せたといふ意味で、西部･小林両氏もまた、「アメリカの手先」にほかならない。ちなみに、南ドイツ（バイエルン地方）の骨のある「保守派」の見解では、「日本の保守派は、本当は保守派ではない。日本国内基準での「保守派」は、中道
左派ではないのか」といふことらしい。これを、「日本の保守派は、本当は保守派ではない。「近代憲法の精神」（生命･身体・財産権 の保証を政府の任務とする、それ以外のことには政府をして
関知せしめない、といふ原理。ホッブズの「自己保存法則」（ＳＥＬＦ‐ＰＲＥＳＥＲＶＡＴＩＯＮ）と ロックの「所有権法則」（ＰＲＯＰＥＲＴＹ）。すなはち、社会契約
説）を、無批判に受け取りすぎてゐるからだ」と言ひかへれば、それなりに当たつてゐるであらう。● 結論 −外面的行動（Overt Behavior）と内面的行動(Covert Behavior)の峻別
政治外交の世界では、国益重視。
個人道徳の世界では、浅見絅斎。これすなはち、小室直樹氏のいふ「外面的行動（Overt Behavior）と内面的行動(Covert Behavior)の峻別」である。
結局のところ、仕事とをするときは「国益重視」で行き、友達と付き合ふときは「道徳重視」で行く。仕事のパートナーとしては、「国益重視」の人間を選び、お友達としては、「道徳重視」の人間を選ぶ。以上のやうな、長々論じた割には、つまらない、穏当な結論に至るであらう。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●追記
「（近代）憲法の精神」（単なる｢憲法典｣ではない！ 憲法の「精神」！！）は、私のオリジナル・ブランドです！（失笑）
とか、私は、言ひません。（藁）
みなさん、どうぞ、御自由に使用してください！！
以下参照。
（転載）
http://homepage2.nifty.com/mazzn/112117.htm「彼らは常に口を開けば直ちに忠愛を唱え、あたかも忠君愛国は自分の一
手専売の如く唱えるのでありますが、そのなすところを見れば、常に玉座
の蔭に隠れて、政敵を狙撃するが如き挙動を執っておるのであります。
（拍手起こる）彼らは玉座をもって胸壁〔きょうへき〕となし、詔勅〔し
ょうちょく〕をもって弾丸に代えて政敵を倒さんとするものではないか。
また、その内閣総理大臣の位地に立って、然るのち政党の組織に着手する
というが如きも、彼の一輩がいかにわが憲法を軽く視｛み｝、その精神の
あるところを理解せないかの一班〔いっぱん〕がわかる。彼等が口に立憲
的動作をなすという、しかしながら天下いずれのところにまず政権を握り、
政権を挟〔はさ〕んで与党をつくのをもって、立憲的動作と心得るものが
ありますか。」http://homepage2.nifty.com/mazzn/112117.htm
（終了）自分が最初だ！
と思つてゐても、案外、すでに、誰かが同じやうなことを言つてゐるものですよ。（藁）「人間の知恵はアリストテレスで出尽くしてゐる」
（レオ シュトラウス）＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
（小山 みつね 記 書き散らし）
以上。御無礼。
副島隆彦です。私よりも先輩のここの会員読者からのメールを転載します。
教師、教育者による新国民運動（ノイエ・フォルクス・ゲヴェーグング）の創出も今こそ必要だと切実に思います。副島隆彦記（転載貼り付け始め）
Return-Path: bony@qb3.so-net.ne.jp
Date: Mon, 17 Nov 2003 16:37:11 +0900
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
To: snsi@mwb.biglobe.ne.jp（略）
拝啓、副島隆彦様、初めてお便り出させていただきます。いつも丁寧なお便りいただきながら、なぜか気後れしてお便りできなかった理由に、副島先生が若者を大好きな先生だからです。加えて、先生は大の学校教員嫌いのようにお見受けしますので、６０歳を過ぎた教員上がりの副島ファンは静かに物陰から先生の主張に拍手を送らせていただくだけで満足でした。しかしながら、私は今の若い教員に国を大切にする人間を育ててもらいたいという気持ちを人一倍強く持っています。そんな意味から若い教員（後輩）たちにＨＰで時々檄を飛ばしています。このたび副島先生にお手紙しようとと思ったきっかけは、私のＨＰに副島先生のことについて書かせていただいたからであります。
事後承諾になりますが添付ファイルのような内容で４月２８日に先生の紹介もかねて後輩に読んでもらっております。事後承諾になりましたことをお許し願います。最近は「預金封鎖」も読みましたが書店に山済みになって置かれていてうれしくなりました。どうぞ体をご自愛の上、今後も切れのいい発言を私たちにお聞かせください。教員上がりの老人より。
追伸、最近「反米論を撃つ」田久保忠衛・古森義久共著の本を読みました。米国を批判している小林よしのり氏や西部邁氏についてはぼろくそに叩いている両氏が、一見反米ともとれる副島先生については一言も言及していませんでした。このことは副島先生のアメリカの何が悪いかということをしっかり捉えた主張には寸分の隙もなく、反論の余地がないことを証明しています。
また田久保、小森両氏のアメリカに関する情報や言葉の解釈には副島本の範囲を超えた新しいものはありませんでした。この本を読んでいて、このことが私には良く分かり、したがって難しいことは何一つ無かったということです。すでに副島本で学習していたからです。
＊＊＊＊（転載貼り付け終わり）
副島隆彦拝
****さまへ
副島隆彦です(略）
＊＊さまの、ネットを通しての、若い教員たちへの愛情に満ちた教導の試みに私も全面的に賛成いたします。どうか、声の届く限り＊＊さまの、日本の若い教育者への覚醒と自立の訴えかけを行って下さい。私は、＊＊さまの見識の高さと、何ものにも屈しない教育者としての潔癖なお人柄に全面的な信頼を置いております。どうか、お一人でもお仲間を作ってしっかりした本物の愛国教育の運動を立ち上げて下さい。
日教組が自堕落と、ソビエト型洗脳のせいもあって崩壊したあとに、左翼批判の形だけで、その実、「アメリカが巧妙に浦から指導して育てる（飼育する）日本民族主義運動＝親米保守運動」が、８０年代から勃興しました。
私は、彼らアメリカの手先言論人どもとの闘いに、いましばらくは自覚的に対処します。しかし大切なのは、日本に新らしい国民運動を、私たち自身が立ち上げてゆくことです。
その一環として、基盤整備として、若い教育者たち（教育知識人層）による、教育現場からの運動が今こそ興（おこ）るべきです。＊＊さまは、そのことを深く自覚なさって、ご自身で手作りの啓蒙活動をお始めになったのだと思います。私もそういう教育労働者たちによる新国民運動（ノイエ・フォルクス・ゲヴェーグンゲン）の教育現場版を立ち上げてゆく必要を強く感じます。
私自身が予備校教師を勤めながら糊口をしのいで３０代に本を出しつづけることで、自分自身の基盤作りをしました。ですから日本の教育現場のことにつきましては、私は自分の専門のフィールド（分野）だと思っています。
私は、これまでたびたび、「県職」の公務員教員たちの居座りと傲慢による、子供いじめ、若い国民蔑視の、官僚制教育の現実を激しく批判してきました。
しかし、どうやら状況は、さらに一段階上にあがった、といいいますか前進したように見えます。公務員教員の中にも、従来どおり、「県内の教育者一家」の強いコネのネットワークに支えられて、県や市の教育委員会を牛耳る腐敗慣習勢力が人事権を抑えて、各県の教員採用権力を握り締めている。
それから、日本共産党系（覆面）教育学者たちによる愚劣なる教育学支配、すなわち、表面だけの「反差別教育」の強要、完全に形だけになりきった「反戦・平和」スローガン、無条件の「人権礼賛（らいさん）主義」、過剰なまでの「他者へのやさしさ、おもいやり押しつけ教育」などが問題なのです。
すべては、大きくは巧妙に仕組まれた、元祖グローバリスト＝ニューディーラー・ロックフェラー体制による、敗戦直後からの占領軍による現行日本国憲法の上からの一気の、日本国民洗脳のためでした。
これに日本国内から、岩波共産主義勢力が呼応して加担した。だから、下部の大衆組織はすべて親ソビエトの「祖国ソ同盟」主義の、社会主義教育労働者だったのに、一番上の方だけはずっと、ひそかにアメリカ（の民主党系の、リベラル・グローバリスト。ハーヴァード大学が牙城。）とつながっていたのです。
その頭目が、宮沢俊義（みやざわとしよし）東大教授で、彼が「日本国憲法のお守り番」でした。宮沢の『日本国憲法コンメンタール』を、まるで聖書のように読んで覚えこむことで、国家試験に合格していって、戦後の日本の官僚（上級公務員）たちが大量に作られた。その一部として教育公務員官僚群も作られました。
＊＊さま。どうか、若い教育者、教員たちの中に育ちつつある優れた人々との連帯の渦を作り出すネット運動を創出して下さい。私ども「学問道場」も全力で支援いたします。
藤岡信勝さんが主宰する「自由主義史観研究会」にも優れた社会科、国語科の教師たちが集まっています。しかし、あそこの幹部たちの中には、計画的にもぐりこんで来ている、恐ろしい人たちがいます。
私は、そのことをはっきりと、近く書こうと思います。彼らグローバリストは、日本人の自覚的な新しい芽生えの国民運動には、その新芽を食べる害虫たちのように計画的に近寄ってきて、それを変質させて、おかしな「中国憎し、蔑視、北朝鮮韓国唾棄・蔑視」の方向へ向かわせ、アジア人どうしを戦わせるに策略に満ちた、日本人の正しい民族主義感情を計略的に捻じ曲げてゆく、恐ろしい動きがあります。
私は、この点を、藤岡先生や他のしっかりした「自由主義史観研」の
幹部の人たちに直接、訴えかけに行こうと思っています。＊＊さま。若い教師たちの覚醒のためと日本国民のための教育再生、
新国民教育運動の創出のために共に頑張りましょう。副島隆彦拝
（転載貼り付け終わり）
副島隆彦記
副島隆彦です。台湾にいるＳ君から報告がありましたので、こちらに転載します。副島隆彦記（転載貼り付け始め）
＊＊＊＊君へ
副島隆彦ですお久しぶりです。
確かご結婚されたのでしたよね。おめでとうございます。
日本でも、京都の＊＊＊＊君が結婚されました。あ、そうだ。京都で会ったときにお祝いを言うのを忘れていました。それから＊＊＊＊君が確か、結婚したと思います。それから＊＊＊＊君も結婚するだろうと思います。みんなしっかりした家庭を築いてもらいたいと思います。台湾の様子が君の報告で、片鱗からですが分かりました。
やはり、中国を含めて、日本が引っ張って行くしかないでしょう。
こんなに惨めな状態の日本ですが、それでも、やっぱり東アジアは、
日本を中心にして、雁行（がんこう）で進んで行くしかないのです。そして、日本は、私たちのような、貧しい幕末の蘭学生（洋学者）のような者たちが自覚的に引っ張って行くしかないのです。やがて私たちの時代が来ます。それに備えましょう。
台湾から見た中国研究が、一番レベルがやっぱり高いと思います。
では、お元気で。副島隆彦拝
Date: Mon, 17 Nov 2003 06:57:59 +0000
From: ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
To: snsi@mwb.biglobe.ne.jp副島先生ならびにSNSIの皆様
ご無沙汰しております。台湾におります＊＊＊＊です。近況報告をいたします。自分の職場の話と絡めて、台湾の大学について少しお話します。まず、
こちら台湾の職場（台湾の私立の総合大学）での仕事も2年目になりました（台湾滞在は合計で3年半になります）。一応、専任講師という身分ですが、修士しか持っていないので、そろそろ首を切られるかもしれません。
日本でもいま大学の教員（専任）になるのはほんとに大変だと聞きますが、台湾でも修士なんてありふれていて、博士号がないとまず大学の教員として認められません。日本では修士でも活躍している学者はけっこういるので、その辺が日本と台湾の違うところだなあと感じます。
それから、台湾には、確かに「博士」だけれども、しょうもない教員はたくさんいます。たぶん、博士号にしても、取りやすいところでとってきたり、指導教授に泣きついて出してもらったりしたのでしょう。彼らの学位はほとんどアメリカのものです。
また印象として、教育に情熱を傾けているという教員が少ないような気がします。学者としての出世競争、学内での出世競争があるのでしょう。わざわざ育てなくても、「成績がいい学生」は教師の言うことをよく聞くので、それでよし、という感じです。
私の目からは、ガリ勉君たちがちやほやされているように見えます。（やりなさいと言われた）勉強はできるが、粒が小さいなあというのが彼らの印象です。まあ、「応用科学」だけで突っ走っている台湾でなら、それでいいのかもしれません。
知識を憶えて応用する、とにかくスキルを身に付ける、それがこの国の学問のあり方なのでしょう。副島先生の名言、「進んでいるところから見ると、遅れているところがはっきり見える」でしたでしょうか？ このことが、台湾に来てはっきりと実感できました。別にこちらの人たちを見下すわけではありませんが、しかし、見えてしまいます。個々人を、独立した一個の人間として見た場合、ある種の「幼稚さ」がどうしても見えてしまうのです。
学問のあり方、思想、行動指針、人間関係・・・。日本と同様に、この国をモダンと呼ぶことは難しいでしょう。さらに、日本よりも遅れていることは確かです。おそらく、この感じは、欧米人が日本に来て感じることと一緒かもしれません。ただ、日本と台湾の場合は同じアジア人なので、日本と欧米の差（断絶？）よりはずっと少ないものだとは思います。
また機会があれば、台湾についてお話したいと思います。それでは失礼したします。 ＊＊＊＊
（転載貼り付け終わり）
副島隆彦記
みなさん、こんにちは、小山 みつね（１８２２）です。（バード様 こんにちは！）
拙論に御注目いただき、どうもありがたうございます。「よつて、近代人は、
３神々の闘争
４強者の権利
５ニヒリズム
のはうに、流されがちになる。」
とあるように、（近代人ではないが）現在のわが日本国民は、このいずれかの行動をするという、この説にはなるほどと思い、賛成である。
（[3307] 投稿者：バード（２２６２）投稿日：2003/11/15(Sat) 19:58:20）＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●人定法は、 "man-made law "？
＞人定法（ positive law ：辞書では「実定法」となっているが、断固「人定法」と訳すべきというやつですね）
（[3307] 投稿者：バード（２２６２）投稿日：2003/11/15(Sat) 19:58:20）Stanford Encyclopedia of Philosophy なる辞書では、positive law は man-made law と なつてゐます。
（転載）
http://plato.stanford.edu/entries/austin-john/Austin's answer is that laws ("properly so called") are commands of a sovereign. He
clarifies the concept of positive law (that is, man-made law)http://plato.stanford.edu/entries/austin-john/
（終了）（小山の意訳）
オーステインの答は以下の如し。曰く「いはゆる「法 LAW」は主権者の命令である」と。以つて、オーステインは、positive law （つまり、man-made law 人定法！！）の意味を明らかにした。
（小山の訳 終了）
http://plato.stanford.edu/entries/austin-john/ 内では、探すのが大変なので、"positive "で、編集機能「ページ内検索」されたし！（笑）
ちなみに、オーステイン 氏 は、ベンサム派の法思想を持つた人物である。「法命令説」の主唱者である。
● 金子勝氏への人物評 （小山 による）
金子勝氏は、典型的な「岩波文化人」ですね。既存のパラダイムには忠実なのです。既存のパラダイム事態を疑ふ、といふ視点が、全然ないわけです。自分の拠つて立つ土台自体に対する疑問があまりないわけです。
ここら当たりに、金子氏の問題があるのでは？
ましていはんや、その「土台」が、NEW DEALEALER によつてコントロールされてゐる場合においてをや、といふわけです。とはいへ、金子氏は、「忠実」な人ですから、「忠実」といふ意味で、「悪人」ではないのでせう。
これを要するに、金子氏は「よい意図から悪しき結果を生む」といふパターンだと、推測できます。
「よい意図から悪しき結果を生む」に対する評価は、３通りありえます。（思ひつき！ もつと精密な分析をされたし！！）
以下の如し。１意図がよいから、よいではないか（動機主義）
２意図がよくても、結果がだめなら駄目だ（結果主義）
３意図がよくて、結果が駄目だと、同情を買うので、性質（たち）が悪い。通常の二倍罰するべし！（韓非子主義！）この問題を考へるに当たつて、以下の討論が参考になります。
古代ギリシャの哲人王「ミリンダ王（メナンドロス王）」と古代インドの仏教の高級修行僧「ナーガセーナ長老」との論争です。
（ちなみに、私は、２意図がよくても、結果がだめなら駄目だ（結果主義）に、一票！）（転載）
http://www2s.biglobe.ne.jp/~SHUJI/diary/essay03.htm第八 知識の重視──知って悪をなすのと知らないで悪をなすのとの相違
王は問う、『尊者ナーガセーナよ、知っていながら悪い行ないをする者と、
知らないで悪い行ないをする者とでは、どちらが禍いが大きいですか？』長老は答える、
『大王よ、知らないで悪い行ないをする者のほうが、禍いが大きいです』『しからば、尊者ナーガセーナよ、われわれの王子または大官が、
知らないで悪い行ないをしたたらば、われわれはそれに二倍の罰を加えよう』『大王よ、あなたはどうお考えにたりますか？灼熱し、燃焼し、炎熱し、
炎上した鉄丸を、一人が知らないでつかみ、一人が知ってつかむならば、
いずれがひどくやけどするでしょうか？』『尊者よ、知らないでつかむ人のほうが、ひどくやけどします』
『大王よ、それと同様に、知らないで悪い行ないをする人のほうが、
禍いが大きいです』『もっともです、尊者ナーガセーナよ』
出典 『ミリンダ王の問い１』平凡社 中村元 早島鏡正 著
http://www2s.biglobe.ne.jp/~SHUJI/diary/essay03.htm
（終了）１意図がよいから、よいではないか（動機主義）
２意図がよくても、結果がだめなら駄目だ（結果主義）
３意図がよくて、結果が駄目だと、同情を買うので、性質（たち）が悪い。通常の二倍罰するべし！（韓非子主義！）のうち、どれをとるかは、各人の自由です。
ちなみに、以上のごとく、古代ギリシャの哲人王と古代インドの「グル」の意見は一致してゐる。
すなはち、「３意図がよくて、結果が駄目だと、同情を買うので、性質（たち）が悪い。通常の二倍罰するべし！（韓非子主義！）」で一致してゐる。繰り返しますが、どれをとるかは、各人の自由です。
金子氏にとつては、
１意図がよいから、よいではないか（動機主義）
のはうが、都合がよい。
そして、
２意図がよくても、結果がだめなら駄目だ（結果主義）
３意図がよくて、結果が駄目だと、同情を買うので、性質（たち）が悪い。通常の二倍罰するべし！（韓非子主義！）
のはうが、都合が悪い。以上のやうになるであらう。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
以上。御無礼。
こんにちは、小山 みつね （１８２２）です。＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●ソフトパワーの時代
酒井啓子論文「空回りするアメリカの対イラク占領政策」を、興味深く読んだ。酒井啓子女史は、アジア経済研究所地域研究センターの参事であり、中東問題、特に、イラク問題の権威である。酒井女史はその著書『フセイン・イラク政権の支配構造』等で、イラク国内の政治派閥にいたるまで詳細に論じている。
アメリカのイラク占領政策は、目下混迷の一途をたどっている。最近もアメリカ軍を応援するためにイラク入りしていたイタリア軍がテロ攻撃を受けて、多数の死傷者をだした。日本の自衛隊は、このような危険な地域に「どこが危険地域か私に分かるわけがない」などという無責任な発言をする「最高司令官」の命令で、派遣されようとしている。「アメリカ軍を応援する」ためにだ。他人事ではない。ビンラーデｲンが、「日本もテロの標的にする」というのも、皮肉に満ちた話である。（無論、テロを支持するつもりは、さらさら、ないが）
ブッシュ政権は「民主主義をイラクに与える」という、もっともらしい大義名分をつけて、イラク侵略戦争を敢行した。戦後をどうするのかという明確なプランもなく。そのツケが、今になって回ってきたわけだ。
「リベラルデモクラシー」を広めるためと称して無計画な戦争をしたアメリカが、イラクをアナーキーの巷と化し、逆に、秩序回復のための「宗教権威の提供する宗教的社会的秩序規範」（酒井論文）の重要性のほうを増大させてしまうという皮肉な結果を生んでしまったことを、酒井論文は指摘する。
酒井論文は、専門的立場から、ブッシュ政権の無計画性を満天下にさらした論文である。
ブッシュ政権は、軍事力重視のハードパワーを重視しすぎた。まさしく、「強者のおごり」といべきものである。今回のイラク戦争およびイラク占領統治の混迷から明らかになった教訓とは、「軍事力に頼りすぎた強硬なタカ派政策はいつか必ず破綻する。それよりも、学問・情報・技術の力で各地域を上から柔らかく導くことで、各地域を従えて行くソフトパワー路線のほうが、中・長期的な視野に立つと、優れている」というものである。簡単に言えば、「おごれる者の末路久しからず」ということである。
いつも結論は単純なものである。
"Simplicity is the best policy. "である。ただし、このようにアメリカが傲慢にふるまう原因を作った責任の一端は、厳しすぎるといわれてもやむをえないが、日本が負わなければならない。日本が５８年前アメリカの占領政策にあれほどたやすく順応せずにアメリカに抵抗していれば、アメリカは、アジア人の抵抗を恐れて、「日本での二の舞を演ずるな」ということになり、今回イラクに対してかくも傲慢に振舞うことはなかったにちがいない。
とはいえ、これは、はかない夢ではあるが。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿____________
（小山 みつね 記 書き散らし 今回は、現代仮名遣い ごめんなさい）
以上。御無礼。
こんにちは、小山 みつね（１８２２）です。＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●安倍晋三氏に期待する
「現代」誌１２月号 長編ルポタージュ 安倍晋三「気骨と血脈」 を読んだ。安倍晋三幹事長は自民党若手政治家のホープである。安倍氏は、
今回の衆議院では、前回を上回る議席を自民党に与へることに成功した。まだ政
治手腕のほうは未知数であるが、今後を期待できる滑り出しではある。安倍氏は、北朝鮮の日本人拉致問題に関して、「タカ派」と批判されたさい、
「自分は、当たり前のことをやっているだけです。それをタカ派と言われるな
ら、タカ派でかまわない」と述べたと言ふ。蓋し、正論である。拉致された日本人
を取り戻すのは、正統なことである。正統なことに「タカ派」というレッテルを
貼る行為自体が、当然なすべきことを妨害するためのマインドコントロールの「飛び道具」に他ならない。少年法の「適正化」を「重罰化」といふのと同じことである。最低限ながら、「論理」をわきまえた安倍氏の今後に、少しだけだが、影ながら期待する。（あまり期待しすぎると、期待が裏切られたときの失望もまた大きくなつてしまふから、、、）
●日本人の安全−すべての基本
基本事項は、以下の如し。
１重要なことは、近隣諸国の思惑ではなくて、日本の安全
２そのために、大日本帝国軍の能力UPとそのシビリアン・コントロールが必要
３近隣諸国の警戒心を理由に日本の安全を犠牲にするのは馬鹿
４近隣諸国の安心感が日本の安全に有利だ、といふのは、諸外国の思ふ壷以上の如し。
日本人の安全を、最も上位において、ものを考へるべきである。
ただし、ホッブズ（自己保存法則 SELF−PRESERVATION）と、ロック（所有権法則 PROPERTY)の理論だけでは、解決できない問題がある。それは、「アノミー」の問題である。
ただし、ここでは、国策を論じてゐる。ゆゑに、「国益」優先のみでは、今日の日本国のアノミー問題を解決できないのではないか、といふ問題は、ここでは論じない。
「日本人の安全を、最も上位に」もつてくるだけで、すべての問題が解決するわけではない。「日本人の安全を、最も上位に」は、問題解決の必要条件であつても、十分条件ではない。
以上のことを付け加へておく。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
（小山 みつね 記 書き散らし）
以上。御無礼。
こんにちは、小山 みつね （１８２２）です。＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●パット・ブキャナン 氏 の大胆な直言−真の日本独立のために
ブキャナン氏の見解は、真性の保守思想に立脚するものである。
私は、大枠で賛同することができる。イラク戦争に関して、ブキャナン氏は、イラク戦争を完全に誤りとしてゐる
わけではない。急いで米軍が撤退すると、かへつて危険だ、と、
ブキャナン氏は、指摘する。ただし、長い目で見て、アメリカは、世界政策から手を引くべきだとする。
アメリカは共和国であつて帝国ではない、といふのが、
ブキャナン氏の持論である。極東政策に関して、ブキャナン氏は、日本・韓国との同盟は大切だとする。
ただし、ブキャナン氏は、米軍が日本・韓国に駐留してまで、
日本・韓国を守る必要はない、とする。
日本・韓国は、北朝鮮より強い国なのだから、独力で北朝鮮にあたつてほしい、
といふのが、ブキャナン氏の見解である。
「どうしても力が足りないときのみ、アメリカに頼つてもらつて構はないが、
自分でできることは、自分でやつてくれ！」 といふことである。蓋し、正論であり、穏健な見解でもある。
ちなみに、ブキャナン氏にインタヴューした 池原麻里子 女史 の
見解によると、ブキャナン氏は、過激な見解の持ち主といふ前評判と違つて、
物腰の柔らかな紳士だつた、とのことである。いいことだ。ブキャナン氏にとつての「敵」は、
「極東で一番危険な国は、日本（！）に他ならない。
よつて、日本人の前に米軍を展開しておくのは絶対必要だ。
そのために、米軍が日本の安全保障のために、少々利用されて、
米国がコスト・リスクを負担してもよい。
なぜなら、日本軍の対米報復戦争を前もつて押さえ込むといふ「利益」のはう
が、
米軍が日本の安全保障のために利用される「コスト」より、大きいからだ」とする、「ビンの栓理論」や「弱い日本理論」であらう。
敵は、明白である。
敵は、日本の弱体化を狙う左翼諸論派にほかならない。＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
（小山 みつね 記 書き散らし）
以上。御無礼。
山田宏哉です。お久しぶりです。以下、さる公募への応募のために書いた政治評論です。若干解説を加えれば、「永遠の敗戦国」というアイディアとブランドは、私が考案したものです。タイトルにまでしている以上、当然ですが。
［原稿ここから］
◆永遠の敗戦国・日本
Japan:everlasting loser 山田宏哉
2003.11.19■”野蛮なニホンザル”は調教された
1945年9月2日、東京湾。戦艦ミズーリ上で、外務大臣・重光葵と参謀総長・梅津美治郎が降伏文書に署名した。その瞬間、日本はすべてを失った。日本はアメリカとの戦争に敗れ、すべてを失った。
無条件降伏は、あまりに酷だった。ポツダム宣言の受諾は、アメリカの勝利だけでなく、正義までも、受諾することを意味していた。日本は世界征服（world conquest）の野心を持っていたということが、政治的に決定された。本来ならば、戦争の勝敗と、倫理的な善悪は全く別のことだ。しかし、焦土と化した日本を思えば、ポツダム宣言受諾以外の選択肢はあり得なかった。
それでも、敗北の辛酸を考えるならば、この日米戦争にだけは、何としてでも勝たなければならなかった。勝算がないなら、そもそも対米戦争などするべきでなかった。あれから、約60年の歳月が流れた。しかし、敗戦の後遺症は、現在の日本をも呪縛している。
敗戦によって、日本は主権や固有の価値観までも奪われ、アメリカの保護国へと転落した。ダグラス・マッカーサーは、”野蛮なニホンザル”を文明人へと調教するために、民主化政策を施し、止めとして憲法9条で、日本を自力で身動きが取れないようにした。復讐への牙は完全に抜かれた。
さらに、日本が独立しても、押し付けられた憲法を廃棄しないように、護憲の社会党という”害毒”を日本政治の中道に植えつけた。そして、左に共産党を置き、かねてからの保守派を追放した。この経緯は片岡鉄哉氏の『さらば吉田茂』及び関連諸論文が圧巻である。彼ら革新勢力は、マッカーサーの思惑通り、征服者の憲法を神棚に供え、それに疑問を挟むものを問答無用で「軍国主義者」として糾弾し続けた。この毒は、今、ようやく日本から消えつつある。
■先制核攻撃論者が書いた憲法9条
一方で、アメリカ製の平和主義は欺瞞に満ちていた。なにしろ、憲法第９条を書いたマッカーサー自身が核兵器を非常に高く評価している。そればかりでなく、実際に対ソ全面戦争になった際、核兵器でウラジオストク、釜山、旅順、大連、を先制攻撃してソ連軍を足止めさせる戦略を立てている。そうすれば、その間にアメリカ軍が日本防衛に駆けつけることができるので、日本の再軍備は必要ない、という論理だ。この考えのどこが、「誇るべき、人類普遍の平和主義の理念」なのか。
このマッカーサーの戦略構想についての研究成果は、村田晃嗣氏が憲法調査会（平成12年03月09日）で発表したものだ。そして、村田氏は結論付ける。「戦後日本の平和主義というものが、まことに皮肉ではあるけれども、その出発点からアメリカの核戦力というものを前提にしなければ成り立たないものであった」。そう、その通りなのだ。
事実、ここ数年来の北朝鮮情勢で、戦後日本の平和主義の欠陥が、誰の目にも明らかになった。ひとたび危機が訪れれば、それまでの平和主義の信念など、未練もなくかなぐり捨てられた。「平和な時だけ、平和主義者」というのでは、単に、危機管理能力の欠如を公言しているに等しい。事実、その通りだった。
■日本の首相といえども、「属州総督」に過ぎない
また、日本は形式的にはサンフランシスコ平和条約で独立を果たしても、実質的には今でもアメリカの保護国のままだ。戦略思想家であるズビグニュー・ブレジンスキーが「フォーリン・アフェアーズ」誌で日本はアメリカの「事実上の保護国」（de fact protectorate）と表現した時、日本中が押し黙った。見たくない事実だからだ。なお、日本人で初めて、比喩ではなく、明確な政治概念として、「日本はアメリカの属国である」と主張したのは副島隆彦氏だった。
古代ローマ帝国は、「私たちが、お前たちを守ってやるから、防衛税を払え」とか何とか言って、属州に軍隊を配置し、属州民から税金を徴収した。確かに、どこぞの国に、そっくりである。
従って、日本の総理大臣といえども、アメリカからすれば、せいぜい「属州総督」に過ぎない。優秀な部下ではあっても、決して対等な友ではない。日本の政治や外交が三流とされる本当の原因はここにある。これは構造的な力の問題であって、個々の政治家の心がけの問題ではない。さらに、根源を探れば、第二次世界大戦での、日本の敗北にある。
極端な話、アメリカへの従属を解決するには、もう一度、アメリカと戦争をして勝つしかない。敗者は復讐しない限り、永遠に勝者と対等な立場に立てない。借りは返さなければ、いつまでも負け犬だ。しかし、今となっては、この仮定はあまりに非現実となってしまった。
■”永遠の敗戦国”という烙印
要するに、日本は”永遠の敗戦国”として、卑屈にしか生きていけないように運命付けられているのだ。そして、現代日本の惨状のおおもとを辿れば、ここに行き着く。
戦争は結果が全て。負ければ、ゴミ以下である。従って、日本は戦時中の衝動的な残虐行為を謝罪し続ける義務を背負い、外国の「許可」なり「検閲」を受けなければ、自国の歴史教科書の記述すらままならない国家になってしまった。そして、そのことを屈辱とも何とも思わないような国民に仕立て上げられた。
幾度となく、日本の政治家が、第二次世界大戦における「日本の正義」を主張し、暴言を吐いたとして葬り去られていった。ただ、今の私には、職を失ってでも言わずにはいられない、彼らの気持ちが何となくわかる。彼らは、この屈辱感が許せないのだ。そして、この屈辱感を全く理解せず、呑気に生きている他の日本人が許せなかったのだ。日本には、対外強硬的なタカ派発言が出てくる必然的な理由があった。
確かに、史実を勉強すればするほど、「永遠の敗戦国」という烙印が深く刻まれたことがわかる。
■ささやかな復讐
アメリカの歴史家、ジョン・ダワー（John Dower）の著作のひとつに『敗北を抱きしめて』（原題 Embracing Defeat）がある。内容もさることながら、このタイトルがすごい。「敗北」とは第二次世界大戦における日本の敗北のことだ。
それでも、日本は戦後、曲がりなりにも経済復興を果たした。たとえ、大きくは反共の防波堤として、日本を工業地域として発展させるという、アメリカの策略に乗せられたとしても、個々の日本人は、戦後、必死になって働いた。そう、ダワーの言うように「敗北を抱きしめて」。
では何故、彼らは必死になって働いたか。
それは、ささやかな「復讐」だった。焦土の中から、経済的繁栄を手にすること。それが、アメリカを始めとする戦勝国へのせめてもの復讐だった。（続）
山田宏哉記 2003.11.19
［原稿ここまで］
追記；「文藝春秋」12月号に私の投書が掲載されています。興味のある方はご覧下さい。
私のウェブサイト「学究への階段」http://hiroyatan.at.infoseek.co.jp/でも読めます。
最近、少しは格調のあるデザインに一新しました。
大塚良太と申します。とうとう日本もアルカイダの標的になってしまいました。放送大学の某教授によれば、アルカイダは有言実行のテロ組織だそうですから、なんらかの動きがあってもおかしくないとの事です。日本は世界唯一の被爆国という強烈なインパクトを持った国なので、今まではテロ組織からも同情（？）され、攻撃の対象から外されていた側面があると思われます。私は、被爆され無念の思いで亡くなられた多くの方々が日本を守って下さっていたのだ、と本気で思っています。しかしわが国の平和はイラク派兵により崩れてしまうかもしれません。今回のイラク派兵を決定した日本政府は、莫大なお金を供出し、自国民の生命を危険にさらして、ただアメリカとアラブのもめごとに自ら進んで巻き込まれていくという、冷静に考えれば意味不明な行動を取っているとしか、私には思えません。北朝鮮を含めた国際情勢を踏まえたとしても、これは本当に国益につながるのでしょうか。
バードです。アルル氏の『ぼやき「４９４」選挙の現場から見えてきた日本政治の全体像。衆院選２００３レポート 2003.11.13』を読ませて頂きました。
「一方の民主党は、本家アメリカの民主党と同じように、一件、貧乏人の味方のような姿を持ちながら、裏では、米民主党系の財界人のインナーサークルにつながるような政党になっていく。」
というところに驚いたり、
「薄汚い部分がない代わりに民主党議員の行動は“監視”しやすいのではないか。」
「自民党が内部から腐っているのだと言うことは、新聞などの客観情報や、自民党から政治家を輩出させようとして、そして挫折した私たちの「政治実践プログラム」の「直接体験」から実感している。」
というところに共感したりしつつ、現在進行形の政治情勢を得る思いで読みました。新聞、テレビや他のサイトではなかなか得られない情報で、私など、有り難い情報だと思っています。私事を申しますと、今回民主党の支持を考えましたが、それは小泉氏の自民党も不透明で、民主党がそれよりは透明性があるだろうくらいの意味でした。まあ、これは現政権に飽きたということでしょう。ただそれだけです。
実は、小泉自民党支持を考えたこともありました。先の２００１年の小泉政権発足当時です。しかし、小泉氏の改革に対する考え方がその後一向に明確にならないので、飽きてしまったというわけです。いつまで待っても、小泉氏のメッセージが私の心に響かないということでした。本当に改革をしているなら、もっと国民に訴えたり協力を求めたりするメッセージがあるはず、と思いながら、失望してしまいました。
だから、現在は民主党を支持しています。
しかし、民主党が政権を取ったら、アメリカのグローバリストの思い通りになる可能性があるということなので、複雑な心境です。
アメリカに従いながら経済法則からの報復をアメリカに与えられるような政治家がだれか、なかなか見分けられません。アルル氏の今後の分析を、楽しみにしています。（了）
バードです。
以下、感想です。１．「この人はクセが強い」ということ
「この人はクセが強い」という感想は、（私はこういう感想を持ったことはありませんが、）一般に日本人が良く持つ感想でしょう。これまで、こういう感想を聞いたことが、よくあります。
こういう感想を聞くたびに、どうしてこういう見方をするのだろうかと、いつも不思議でした。
しかし今は、こう思いました。
「この人はクセが強い」ということは、「クセが強いから、日本知識人ギルドに入れないだろうな、だから日本知識人としての商売はそんなにうまくできないだろうな。」という観方なのだろうと、思いました。
これがメディアを腐らせている、大きな一因でしょう。
そして、
「この人の説で、世界と日本の、動向とその意味が、説明できるかどうか」
が、最も重要な観方ではないだろうかと、私は改めて思いました。２．「より高い視点から論じて頂きたい」ということ
「やはり副島先生には、より高い視点から西洋の近代学問・思想を論じて頂きたい」ということですが、（こんなことを言えた立場ではありませんが、敢えて言わせてもらいますと、）それはもう終わっているように、私には思えます。終わっていて、もう各論しか残っていないように、思えます。
これからの副島氏の行う、「世界基準の政治思想の日本への導入」も、「アメリカ思想研究」も、「各種の世界思想の紹介」も、「国民大衆への分かりやすい啓蒙」も、すべて各論となるように思います。
そして、現在や過去を、正しく検証すると言う意味で、また、正しく捉え直すという意味で、この各論が重要ではないだろうか、と思います。
副島氏自身は、もうかなり以前に、高い視点からの語りは終わったのだというように、感じています。
また、各論もかなり語り尽くしたと、感じています。（各論は、人の行為の数だけあり、無限にあるのだから、すべて語り尽くすことはないだろうが。）３．「今の日本国民がかわいそうでならない」ということ
「今の日本国民がかわいそうでならない」という副島氏の悲痛ともいえる言葉に、及ばずながら、私は私なりに共感します。
副島氏の思想を核にすれば、国民の共同主観が形成されるはずと思うのだが、その歩みもゆっくり過ぎるのではないか・・・（了）
副島隆彦です。下 ↓の小山みつね君の、「正議とは何か」についての定義問題は、重要です。私も改めて勉強になりました。そのうち、正議論について書きます。
以下に会員読者から頂いたメールを転載します。最近、自分が切実に考えていることの一端を指摘されました。どうもありがとうござます。
副島隆彦記
（転載貼り付けはじめ）
＊＊＊＊さまへ
副島隆彦です(前のほう省略） 貴兄が書かれています、 「・・・私はほぼ毎日「ぼやき」を読んでいますが、最近は金融・政治ものに内容が偏っている点が敢えていうと不満です。やはり副島先生には、より高い視点から西洋の近代学問・思想を論じて頂きたいという思いが強くあります。そうした評論こそが今後何十年を経ても価値を失わないものだと考えています」
の通りだと、私自身も強く思う時があります。
世界基準の政治思想の日本への導入という、私にしか出来ない仕事をもっと着実にやるべきだと思います。ところが、次々と目先のことに追われて、ゆっくりと思想が学問に打ち込む時間がありません。国民大衆への分かりやすい啓蒙ということもしなければなりません。
本当は、私の専門であるアメリカ思想研究のような仕事が、結果的には、「今後何十年を経ても価値を失わないもの」になるのだ、と切実に思います。それと、政治映画の解説本のような形を借りての各種の世界思想の紹介が、長期の観点からは、自分の仕事の中では、一番い評価を受けることになるだろう、と私にもよく分かっています。
こういう点をしっかり見抜いてくれている、貴兄のような若い読者を持てて嬉しく思います。私の仕事のあとを継いで、もっともっと日本に、本物の世界思想を導入する仕事をして下さい。私は、今の日本国民がかわいそうでならないのです。 副島隆彦拝
----- Original Message -----
From: ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
To: snsi@mwb.biglobe.ne.jp
Sent: Friday, November 14, 2003 11:45 AM
Subject: 「今日のぼやき」更新の振込連絡（２００４年分）SNSI・副島隆彦事務所様
（略） 私は現在修士２年で、論文が仕上がれば2004年4月に就職する予定です。
私はほぼ毎日「ぼやき」を読んでいますが、最近は金融・政治ものに内容が偏っている点が敢えていうと不満です。やはり副島先生には、より高い視点から西洋の近代学問・思想を論じて頂きたいという思いが強くあります。そうした評論こそが今後何十年を経ても価値を失わないものだと考えています（生意気で申し訳ありません）。その意味では「ぼやき」の初期の作品は学問的なバラエティに富んでおり、知的刺激を得ることが多かったと思います。御著書では『属国・日本論』、『決然たる政治学への道』や映画評論２冊、法律学３部作、英文法３部作を特に興味深く拝読しました。
ところで、私は以上の書籍はそれぞれ定価の数倍の価値がある（例えば『アメリカの秘密』１冊だけでも１万円相当）と考えていますので、現在までのコスト計算では実は私の方が大いに得をしている勘定になります。
また最近、思い切って副島先生の著書（映画評論など）を両親に勧めました。父は、「面白い」が「この人はクセが強い」と言っております。やはり最初はそう感じるようです。最後になりましたが、副島先生とSNSI研究員の皆様には今後一層の活躍を期待しております。ただお体に負担をかけすぎないよう、気を付けて下さい。 ＊＊＊＊
（転載貼り付け終わり）
副島隆彦拝
小山 みつねさん、こんにちは、バードです。以前、重掲[3287]『金子勝氏のことなど』2003/11/05(Wed) でお世話になりました。
お陰で、そのとき、人定法（ positive law ：辞書では「実定法」となっているが、断固「人定法」と訳すべきというやつですね）についての理解が、はっきりできたような気がしました。
その節は有難う御座いました。その後も、小山さんの論には注目していましたが、話がこみいっていそうでしたので、コメントできないでいました。
が、ここに書かれていましたので、ここに書かれていることについて、気がついたことを述べさせて頂きます。「よつて、近代人は、
３神々の闘争
４強者の権利
５ニヒリズム
のはうに、流されがちになる。」
とあるように、（近代人ではないが）現在のわが日本国民は、このいずれかの行動をするという、この説にはなるほどと思い、賛成である。選挙の場合について考える。
立候補する人と、選挙運動する人は、「３神々の闘争」を行う。
投票する人も、「３神々の闘争」を行う人であろう。
投票しない人は「５ニヒリズム」の人だ。
そして選挙が終り結果が出ると、みんな、国民全員、曲がりなりにも選挙結果を受け容れる。これが「強者の権利」である。
次の選挙とその結果まで、この「強者の権利」で国が動く。「強者の権利」は実行される。
投票した人も、しない人も、何かを感じつつ、それに従う。
しかし、立候補する人と、選挙運動する人は、選挙結果を受け容れはするが、すぐに水面下で「３神々の闘争」を再開する。ところで、考えてみれば、今回の総選挙でも（いままでもずっと）、各政党は、マスメディアに「年金はどうします？」「公共投資はどうします？」などと聞かれて、ひとつひとつ答えていた（だけだったと思う）。「わが党は現在これが大切だと思う。それ以外のことはこれがうまく行ったときには、自然にうまく行くはずのものだ。だから、現在はその議論は必要なし。」などという政党がなかった。自ら議論の土俵を持った政党がなかった。つまり、政治も最も大きな問題から解決しなければならいのに、どの政党も高得点を（マスメディアから）得たいために汲々と解答している（受験者の）ようだったのではないか。こういう、国家戦略を持たない政党の選挙戦は、自然法的な選挙戦ではなかろうか。これらの政党の神々は自然法でなかろうか。結局、利権争いのための選挙となる。
与党の非を責めるだけの選挙戦も、自然法的選挙戦であろう。
（国家戦略は、国民全体の幸福を考える。そして、したがって、人定法的思考となる。）マスメディアも、有権者も、自然法の観点しか、持ち得ないできた。まだまだ、人定法の観点で、選挙戦を見ることはできないのだろう。有権者が、人定法の観点を持つためには、「世界の中の日本の現状」を副島氏の説で理解することが必要であろう、と思う。
ということで、「３神々の闘争」が、自然法的に行われるか、人定法的に行われるか、ということも大切でないかと思いました。（了）
こんにちは、小山 みつね（１８２２）です。長尾龍一（ながお りゅういち）論文「正義論議スケッチ」１９８１年（！！）によると、「正義」（JUSTICE）の女神（ユスティティ）に対して、法哲学上、五つの解釈がある、といふ。
その五つの解釈とは、以下の如し。
（引用）
（長尾龍一 著『法哲学批判』Ｐ．２５−２６ 信山社 １９９９年 収録 初出：長尾龍一論文「正義論議スケッチ」１９８１年！！）正義の女神は右手に剣を持っている。剣は正義の本質的属性であろうか。この点については、大略五つの考え方がありうる。
第一の考え方によれば、剣は正義の本質的属性ではない。本当に正義の行われる世界においては、各人は「我がもの」の枠内に自発的にとどまるから、剣は一切必要ないはずである。（中略）
理性によって自らのものを知り、その枠内にとどまるから、法律の権力も警察も一切不要ではないか、と。これはアナキズム的自然法論の立場である。（もっとも、そのような正義の実現までは、正義の敵（悪魔）を絶滅するためと称して、地上に修羅場を繰り広げることにもなる）。第二の考え方によれば、剣は正義そのものではないが、正義の必然的随伴物である。（中略）
理性は情念にくらまされて、「我がもの」の範囲を実際より過大評価し、あるいは情念は理性の教える枠を超えて暴走する。それ故剣による抑制は、必要悪として不可欠であるという。これは正統派自然法論の立場である。第三の立場によれば、正義の女神はたくさんいて、各々自らの秤を実践すべく、剣を取って戦いあっている。全部のほかの女神を切り殺してしまった後には、剣も不要になるかもしれないが、沿いうことは永遠にありえないであろうから、女神たちは永遠に剣で武装している必要がある。しかも正義の女神は嫉妬深く、ほかの女神が存在する限りは闘争心がやむことがない、と。これはマックス・ウェーバー流「神々の闘争」の思想である。
（中略）
第四の立場からすれば、正義の女神は実は娼婦（！！ 小山 注記）であり、戦いの結果が明らかになった段階で勝者の胸に抱かれる。しばらくするとまた闘争が起こり、勝敗が入れ替わると、また新たな勝者の胸に抱かれる、と。かくて「正義の女神は腕づくで押さえ込まねばならぬ」ともいわれる。これはいわゆる「強者の権利」の思想、実力説である。第五の考え方によれば、正義とは神でもなければ人間でもなく、単なる飾り物」にすぎない。剣士たちは闘争に赴くときや凱旋するときに、ちょっと小店に立ち寄って、思い思いの正義のバッジを胸につけるのだ、と。これが正義をイデオロギーに過ぎないとする「ニヒリズム」「シニシズム」の正議論である。
このような「ニヒリズム」「シニシズム」の嘲笑する正義は、（中略）
その背後に情熱的な「真の正義」への信念が潜んでいる場合があるから注意を要する。（長尾龍一 著『法哲学批判』Ｐ．２５−２６ 信山社 １９９９年 収録 初出：長尾龍一論文「正義論議スケッチ」１９８１年！！）
（終了）これを要するに、正義の五つの解釈とは、
１アナキズム的自然法論
２正統派自然法論
３神々の闘争
４強者の権利
５ニヒリズムである。
１よりのはうが自然法派（NATURAL LAW）である。
５よりのはうが、人定法派（POSITIVE LAW）である。
（小山の批判 ： 長尾論文中の １アナキズム的自然法論 に対して）長尾龍一氏は、「もっとも、そのような正義の実現までは、正義の敵（悪魔）を絶滅するためと称して、地上に修羅場を繰り広げることにもなる」立場を、１アナキズム としてゐる。やや、違和感がある解釈である。
「もっとも、そのような正義の実現までは、正義の敵（悪魔）を絶滅するためと称して、地上に修羅場を繰り広げることにもなる」といふことは、ひとつの真理で、世界を統一してしまはうといふことである。これは、一神教的な発想である。「自然法」より強力な（！）ものを持ち出さうとしてゐる。
よつて、「もっとも、そのような正義の実現までは、正義の敵（悪魔）を絶滅するためと称して、地上に修羅場を繰り広げることにもなる」発想は、アナキズムといふより、むしろ、THEOCRACY（神権政治）の発想である。だから、「アナキズム的自然法論」ではなく、「神法論」と、短く（！）言つてしまへば、十分であらう。
参照：トマス・アクイナスの四段階論
１永遠法
２神法
３自然法
４人定法この分類を利用すると、「もっとも、そのような正義の実現までは、正義の敵（悪魔）を絶滅するためと称して、地上に修羅場を繰り広げることにもなる」発想は、３自然法 を否定して、より上位（！！）の ２神法（もしくは １永遠法）を目指すものである、と、解釈できる。
あと、「理性」といふ言葉も意味不明である。
「理性」ではなく、「神法」で十分ではないか。よつて、
「理性によって自らのものを知り、その枠内にとどまるから、法律の権力も警察も一切不要ではないか、と。これはアナキズム的自然法論の立場である。」（長尾龍一論文）は、
「神法（×理性）によって自らのものを知り、その枠内にとどまるから、法律の権力も警察も一切不要ではないか、と。これは神法論（×アナキズム的自然法論）の立場である。」
と、読み替へるべきであらう。
（小山の批判 終了）
長尾論文の
２正統派自然法論
３神々の闘争
４強者の権利
５ニヒリズム部分には、私は、賛成である。
近代人は、自然法より人定法とRATIONALITY（合理性）を重視する。『THE NORTON DICTIONARY OF MODERN THOUGHT』で‘Modernity‘を引くと、以下のやうに書いてある。曰く、
（転載）
（『THE NORTON DICTIONARY OF MODERN THOUGHT』p540）
modernity.One of the most influential characterizations of modernity is
that of the German Sociologist (see SOCIOLOGY) Max Weber
(1864-1920), who sees its main feature as an
emphasis on RATIONALITY （！！）（『THE NORTON DICTIONARY OF MODERN THOUGHT』p540）
（終了）よつて、近代人は、
１神法論
２正統派自然法論のはうは、何らかの事情がなければ、選択しづらくなる。
よつて、近代人は、
３神々の闘争
４強者の権利
５ニヒリズムのはうに、流されがちになる。そして
３神々の闘争
４強者の権利
５ニヒリズムのなかで、４強者の権利 すなはち、「力は正義なり」（MIGHT IS RIGHT）が、なぜか「中間派」（！？）にきてしまふ。
特に「力は正義なり」（MIGHT IS RIGHT）は、国際政治では顕著に現はれる。『副島隆彦』氏は、その著書『続 英文法の謎を解く』で、「justice の定義は、宗教・サイエンスに関わらない世俗の判断である」と、喝破してゐる。これすなはち、近代においては、justice が、人定法派のはうに流されやすいといふ上記の議論をを踏まへての発言なのであらう。
（「白金掲示板」より 小山のコメントを一部転載）
（小山のコメント）
今回の総選挙の意義は、結果から判断するに以下の如し。
熊谷弘 氏 を 刺し殺して保守新党を自民党が吸収する。
土井たか子 を 刺し殺して社民党 を民主党が吸収する。もつて、
保守新党を自民党が食ふ。
社民党を 民主党が食ふ。さういふやうに進みつつあるやうだ。
蓋し（けだし＝考へるに）政治の世界は、弱肉強食である。
「力は正義なり」（MIGHT IS RIGHT)である。RIGHT（ドイツ語では、RECHT レヒト）とは、野蛮なるゲルマン人どもの、森の中における掟（おきて）である。力しか信じるものはないといふ、蛮族特有の「論理」である。
法哲学者の長尾龍一（ながお りゅういち）氏は、その著書「法哲学批判」で、正義の女神ユステイテイについて、次のやうに述べてゐる。
（引用）
（長尾龍一 著『法哲学批判』Ｐ．２６ 信山社 １９９９年 収録 初出：長尾龍一論文「正義論議スケッチ」１９８１年！！）正義の女神は実は娼婦（！！ 小山 注記）であり、戦いの結果が明らかになった段階で勝者の胸に抱かれる。しばらくするとまた闘争が起こり、勝敗が入れ替わると、また新たな勝者の胸に抱かれる、と。かくて「正義の女神は腕づくで押さえ込まねばならぬ」ともいわれる。これはいわゆる「強者の権利」の思想、実力説である。
（長尾龍一 著『法哲学批判』Ｐ．２６ 信山社 １９９９年 収録 初出：長尾龍一論文「正義論議スケッチ」１９８１年！！）
（終了）蓋し（けだし＝考へるに）「力は正義なり」（MIGHT IS RIGHT)である。
（転載終了）
以上。御無礼。
こんにちは、バードです。最近、副島隆彦氏の著作を何度も読み返しています。
副島氏の『堕ちよ！ 日本経済』のエコノ・グローバリストシリーズや、『日本の危機の本質』などです。
そこには、現在の日本経済のデフレ不況について、本質的な、根源的な問題の指摘が、やはり、ある。
しかし如何せん、日本種族土人の私には、それを掬（すく）い上げる知的土壌がない（実情を知らない）ので、自分の言葉で纏（まと）めることが思うようにできない感じです。
そこで、そこに書かれていることを、自分なりに納得できる言葉で、文章にしてみることにしました。
やはり、日本人は、
自分のことは自分でやれ。
自分の国は自分で守れ。
自分の頭で考えろ。
自分の力で生きろ。
と言う態度を失って、久しい。自分なりの言葉で纏めるのは、「自分の頭で考える」ことになるでしょう。私はこれから、それを行おうと思ったのです。
今回は、副島隆彦著『堕ちよ！ 日本経済 アメリカの軛（くびき）から脱するために』（祥伝社・２０００年８月）
に書かれていることを、纏（まと）めました。しかし、自分なりの言葉で纏める作業のときに、読み違って、誤解して、あるいは考え違いをして、間違うことも充分考えられます。よって、間違ったところは、すべて私の責任です。当然のことですが。
間違っているところは、ご指摘下さい。１．アメリカの金持ちたちは脱税してきた
アメリカの金持ちは自分のお金を、課税から逃れるために、「オフショア・バンキング」（ offshore banking ＝自分の国の岸辺の外側のほうの、銀行）に預けている。これが「オフショア勘定（かんじょう）」である。
この「オフショア勘定」の資金は、資金としては、その国の国内に存在するのに、外貨建てで国外に存在するという、通貨当局の管理や、税務当局の調査が及ばない奇妙な金である。非居住者（ノン・レジデント）預金というかたちで、利子の税金もふつうよりもかなり安い。
もっと詳しく言うと、この「オフショア勘定」の資金は、帳簿上は、タックス・ヘイブン（租税回避地）にあるペーパー・カンパニーの勘定のかたちを取って預けられていることになっているが、実際には、各国の銀行のニューヨーク支店勘定というかたちでドル建てになって預けられ、これはニューヨーク連銀が、その帳尻を毎日合わせているドル建てに資金の一部となっている。したがって、ニューヨーク連銀（ＦＲＢの下部組織）は、世界のドル資金全ての動きを正確につかんでいる。そして、この「オフショア勘定」の資金は、利子に対する普通よりもかなり安い税金を支払うのみで、それ以外は通貨当局の管理や、税務当局の調査が及ばないのである。すなわち、利子に対する格安の税以外は、全く課税されないのである。
すなわち、アメリカおよび各国の金持ち（大金持ち）は、このオフショア勘定によって、大幅な脱税をしているのである。
そして、後述するように、現在、世界全体の資金量の、実に６割が、オフショア・バンキング勘定に存在するのである。【参考−１】タックス・ヘイブン（租税回避地）
タックス・ヘイブン（租税回避地）とは、バーミューダ島や、ケイマン島の中心地ジョージタウンとか、バージン諸島や、チャネル・アイランド（海峡諸島）や、マン島、東チモール、ナウルなどの特殊な島国を指す。これらの特殊な島国は、ほとんどが旧大英帝国の植民地だった信託統治領の島々である。
【副島隆彦著『堕ちよ！ 日本経済』より】
２．税金を払うこと、税金を払わないこと
これが、アメリカ（そして、その他の国、日本も）の金持ちの現状だ。大幅な脱税を行っているのだ。
「貧乏人」は税金を払っている。日本の場合、年収２０００万円のサラリーマンは、所得税・住民税として、アメリカの場合５２２万円ほど、日本の場合は４０４万円ほど払う（金額は、森永卓郎著『日本経済最悪の選択』実業之日本社・２００２年１１月・５２〜５３ページによる）。「貧乏人」は税金を払っているのに、しかし金持ちは巨額の脱税を行っているのである。
ここで、概算してみよう。
オフショア勘定に預けず、税金をまっとうに支払おうとする、「開明的」な金持ちは、たとえば所得１０億円の場合、所得税（税率３０％とすると３億円）を払い、残り（７億円）を銀行に預金（＝貯蓄＝投資）し、その利子に課税された税をまた払うのである。
しかし、オフショア勘定に預ける、「邪悪」な金持ちは、たとえば所得１０億円の場合、所得税を支払わず、丸々の１０億円を預金（＝貯蓄＝投資）し、その利子にかなり安く課税された税金だけしか払わないのだろう。
上記の概算から分かるように、「開明的」な金持ちと、「邪悪」な金持ちとの納税額の差は大きい。「開明的」な金持ちは「邪悪」な金持ちに対して、事業資金面においてかなり不利になる。これが毎年くり返されれば、はっきり言って、「開明的」な金持ちは「邪悪」な金持ちとの競争に耐えられなくなって、食われてしまうであろう。
残るは、オフショア勘定に預けて脱税を行う、「邪悪」な金持ちだけとなるはずだ。現在は、もうそうなっているはずだだろう。そして、現在、世界全体の資金量の、実に６割が、この脱税用の、オフショア勘定に存在するのである。３．金持ちの脱税はいつ頃からか
ところで、このような脱税はいつ頃から行われているのか。
１９１３年、アメリカ議会で初めて個人に課税される相続税と所得税法が可決、成立した。（Ｊ・Ｐ・モルガンが死んだのは、うまい具合にその半年前だったので、その遺産は全部遺族が山分けした。初めからそのように仕組まれていたのだ。）
１９３５年、ルーズヴェルト大統領は「富裕税」を導入した。（この「富裕税」で、トルーマンが大統領の時代、１９４７年に死んだフォード１世の場合は、総資産１０億ドルの実に９１％をふんだくられた。フォード財閥は、このため大財閥になれなかった。）
当時の金持ち（財閥）たちは、それぞれ巨大で豪華なヨットを所有していた。太陽が顔を出し霧が晴れた夏の日は、何百層ものボートに取り囲まれた、それらの豪華ヨットの大艦隊が姿を現し、それぞれ（ときには６０隻ほどの豪華ヨットが）華（はな）やかさを競（きそ）いながらニューヨークの港をパレードしてみせたりした。その頃、アメリカの金持たちはこのように、彼らが超豪華な生活を生活をしていることを、一般国民に見せびらかして示威（デモストレート）していた。
が、これはそれだけではなかった。実は、彼らは、これらのヨットに、資金や貴金属を隠して、バーミューダやケイマン諸島などに、自分たちの脱税した資金を移したのだ。実は、そのための、脱税のための、船だったのである。
タックス・ヘイブン（租税回避地）のオフショア市場というのは、このようにして２０世紀はじめからあったのだ。
アメリカの金持ちの脱税は、２０世紀はじめから、おそらく、９０年ほど前から、行われて来たのである。
ルーズヴェルトは、１９３５年に、「富裕税」を導入した。それは、「大金持ちに課税せよ。失業者たちに職を与えよ」と議会でわめいたロング・ヒューイが死んだ年である。しかし、トルーマン大統領のとき（１９４７年）、自動車王フォードは取り立てられたが、ロックフェラーなど、他の金持ち（財閥）たちはこれらの税を脱税したのだろう。４．オフショア勘定のお金は世界のお金の６割
アメリカだけでなく、世界各国の金持ち（大金持ち）たちが、このオフショア勘定によって、長い年月大きな脱税をして来たのである。
スーザン・ストレイチー著『マッド・マネー』『カジノ資本主義』などから分かった事実は、現在、世界全体の資金量の、実に６割が、実は、オフショア・バンキング勘定に存在するということである。したがって、全世界のドル建てのフローの資金量６０兆ドルのうちの３６兆ドル分（３６００兆円）が、オフショア勘定扱いになっているのだ。
世界の大金持ちたちは、自分の資産を守るために、ここまでひどいことをしているのである。各国の大金持ちたちの金は、課税されることを嫌がって、国外に流し「売国奴（ばいこくど）」と言えるほど、ものすごい量を、自国から逃がしてオフショア勘定に移しているのだ。多くの国の大金持ちたちが、自分の国内で儲（もう）けた金（所得）を正しく申告しないから、正しく納税していないのである。ある国で儲（もう）けた金は正しく申告して正しく納税しないと、その国の経済は大きな打撃を受け、それが続くと疲弊するのだ。だから、そのような金持ちは、「売国奴」金持ちと言われるべきなのだ。
「貧乏人」は納税しているのに、金持ちは巨額を納税しないという構図である。５．オフショア勘定の資金を動かすグローバリスト
この、世界各国政府が課税できない、各国政府の手の届かない巨額の資金を使って、ロックフェラーを筆頭とする、ニューヨークの金融財界人が世界を管理、教育、支配しているのである。
ニューヨークの金融財界人は、脱税をし、世界の金持ちに脱税を勧め、その脱税のお金で世界を思うように動かそうとしているのである。
このニューヨーク金融財界人が、アメリカのグローバリストと、世界で呼ばれている人々である。世界をいじくり回し、世界各国の国民経済を苦しめている、獰猛（どうもう）な人々である。ニューヨーク金融財界人、すなわち、アメリカのグローバリストは、「伝統的に毛皮商人や酒類販売業や金融業系の商人をやってきた人々」ということから、ユダヤ系である。
ユダヤ人は、ユダヤ教を信仰する人々である。「ユダヤ教を信仰する」ということ、これだけが、ユダヤ人の条件である。ユダヤ教を信仰する人は極めて少数であり、かつ世界に散らばって過ごしてきた。ユダヤ人は、長い年月の間、２０００年以上の間、国家を持たず、世界に散らばって生きてきた。地域や社会に同化せず過ごしてきた。したがって、自分だけを頼りにする傾向、自分のお金だけを頼りにする傾向が強くある。国家にいても、国家を一切頼らず、自分の財力をたよりに生きようとする、生き方である。すなわち、倫理性が希薄となる傾向がある。また、国民と団結して生きる生き方ではない。
グローバリストも、自分が所属する国の国民と団結しない生き方である。この点からも、ユダヤ系と言える。６．グローバリストは世界の国民と、自国民すらとも、敵対する
アメリカのグローバリストは、国民とともに生きているのではなく、国民とは隔離して生きているのだ。
したがって、アメリカのグローバリストに推されてなった大統領の政策は、アメリカ国民のためではなく、グローバリストのための政策である。近年ずっと、そのような大統領が続いた。アメリカの政策は、グローバリストのための政策であった。アメリカの国益のためではなかった。だから、アメリカの経済は奇形になり、製造業が壊滅した。また、他の国もグローバリストによって、もっとひどい目にあっているのである。７．所得移転は行われて来なかった
このアメリカのグローバリストが使用する、オフショア勘定の資金が、世界のお金の６割もあるのだ。そのことは、世界において、金持ちから「貧乏人」への所得移転は、行われてこなかった結果だと言えるだろう。金持ちの方へと、一方的にお金が流れたと言えるであろう。
これが現在の、世界的デフレの、根本原因ではないだろうか。なお、日本のお金持ちは「金融債」を使って、９５年ごろまで、政府公認の脱税を行っていた。（了）
副島隆彦です。 会員から来た冷静に事態を見つめる優れたメール
をここに転載します。（転載貼り付け始め）
＊＊＊＊さまへ
副島隆彦ですメールを有り難うございます。
本当に、君が以下に書くとおりなのです。まったくこの通りなのです。
私は、全身で日本に迫りつつある危機を感じつつあります。貴兄が以下に書くとおり、「（朝の駅立ちの政治家が）挨拶をしていても会釈をする人は皆無ですし、東洋人から礼を取ったらただの猿なの」です。
日本人はここまで、限界にまで追い詰められているのです。
何とかしなければ日本はもっともっとひどいことになります。
せめて、私たち「学問道場」の会員たちだけでもしっかりとこの事態の
全体像を把握していましょう。副島隆彦拝
Date: Wed, 12 Nov 2003 22:46:32 +0900
From: ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
To: GZE03120@nifty.ne.jp
Subject: ぼやき493を読んでこんばんは副島先生、＊＊＊＊（会員番号＊＊＊＊）と申します。
副島先生がここ最近の“ぼやき”で書かれているとおり政治家、政治への人々の無関心はひどいものがあります。
私が通っている駅で朝の通勤時間帯に見た光景ですが、政治家がビラを配っていますと全ての人が無視して素通りして行き、中には露骨に歩行の邪魔と言わんばかりの人も多くいました。
挨拶をしていても会釈をする人は皆無ですし、東洋人から礼を取ったらただの猿なのにと思いつつ副島先生の“ぼやき”の中の選挙演説の寒々とした話が浮かびました。
それと同時になんでここまで無理して家畜電車って言われている通勤電車にこんなに多くの人が一所懸命に駆け込もうとするのだろうと、家畜電車の原因って政治にからむのにそこまで頭が回らないようになっているのかなあと思いいつつ車窓を眺めていました。
因みに私が使う駅は西宮市のＪＲ甲子園口という所で、所得も中、もしくは中から上の地区で利用者も40代から上の層が多いので比較的良識があるとされる人々に分類されると思うのですが、そんな地区でも政治に対する姿勢は本当にしらけた状況です。
私なりに今回の衆院選ってなんだったんだろうと考えていました。丁度、明日は創価学会に熱心な友人に会うので友人から公明党の話を聞こうと思ってました。公明党の議席数でいったら自民、民主のどちらかについてもいいぐらの議席だなあと単純に思っていました。
ところが、副島先生の“ぼやき493”を読んで事態は深刻と分かりました。そういえば最近、マハティール首相が引退、隣の韓国でもノムヒョン大統領が不信任案など、漠然とは感じていたのですが。
日本でもアメリカは自民が勝とうが民主が勝とうがどっちでもいいように仕組んでいるとなると、この閉塞感に満ちた社会が続くのですね。
困ったことに大部分の人は大人なのに信義も信条もないとなるとアメリカからの独立は難しいです。 ＊＊＊＊（転載貼り付け終わり）
副島隆彦拝
会員番号２００３さん、こんにちは、バードです。たしかに、官官接待や官民接待の差など、考えず回答してしまいました。
もし、おかしいところがあったなら、ごめんなさい。現在の私はまだまだ、大きなところで、今本当はどうなっているのか、今本当は何をすべきか、を確認する、思考の過程（旅）の最中です。したがって、２００３氏の [3290]、[3292]、[3296]、およびこの[3301] などの、個々具体的なことは、やはり、まだ考える段階ではありません。済みませんが、それらのことには、当分、回答できないと、思います。ご了承ください。
私は現在、日本の金持ちも、アメリカの金持ちも、これまで長い期間、脱税をしてきたのではないかということ、世界のお金の６割が脱税したお金（地下資金）であること、そのお金がどう動いているのかについて、それらがかなり詳しく書かれている、
副島隆彦著『堕ちよ！ 日本経済 アメリカの軛（くびき）から脱するために』（祥伝社・２０００年８月）
を読みながら考えているところです。
現在の私にとっては、その辺りが重要な段階であると思えるのです。（了）
接待は官庁と民間企業（官民）、官庁と官庁（官官）に分けられます。
前者は官民癒着、贈収賄の問題に注意が必要です。
（３２９０）は後者の官官接待の話です。
一般に公務員の接待費用について、裏金や食糧費等の公費からの支出であると思っている方が多いかもしれませんが、予算の少ない役所では自分たちの給料を積み立てて接待の経費に充てているそうです。接待費用の分類について
１、裏金＝違法性が高いお金。
例、取引先のホテル、クラブ等から実際の費用よりも過大に請求してもらい相手先に差額をプールする。
２，食糧費等＝使用目的を拡大解釈したお金。
３，積み立て金＝職員の給料から毎月一定額を積み立てたお金。
以上簡単に分類してみた。バードさんへ
Re：[3299]
[3290]の「追記」は、裏金や食糧費を使えなくなったという理由で、現在接待をやめてしまった公務員組織に対して、「飲むのをやめることはない」というのが主旨です。
公務員でも自分たちの給料の積立金による接待しかしたことがない公務員組織も少なくないのですから。（追記）はおまけ又は刺身のツマですが、お返事ありがとうございました。
出来ますれば[3296]の方もお読み下さいませ。Re：[3300]
副島隆彦「堕ちよ！日本経済」祥伝社のｐ１５６一考。
また、人間の寿命と相続税も。
以上
会員番号２００３さん、再度こんにちは。バードです。先程、大事なことを忘れていました。
思い出したので、投稿します。「金持ち」の中には下記のような、脱税した、『オフショア勘定』を持った人々もいます。
（引用始め：副島隆彦「堕ちよ！日本経済」祥伝社・２０００年８月）
○マルサが「金融債」を押収しない不思議
さて、その次である。では、長銀や日債銀から引き下ろした金を、大金持ちたちはいったいどこに持っていったか。
この解約されて引き下ろされた金は、本質的に脱税した金である。だから、どうしても心理的な規制を受けて、いまさら日本国内で郵便貯金や都市銀行に預け直すということが、はばかられるお金である。
もっと長くかくと、長年、脱税手段に使われてきたこれらの金融債の動きについては、国税庁・税務署は、ずっと知らん顔をしてきた。それは秘密の慣例になっている。このことは、企業経営者たち個人に対する脱税の強制捜査のときに露呈する。（１０５〜１０６ページ）○世界のお金の六割は、脱税したお金である
この大金持ちたちが降ろした現金は、どこへ行ったのか。どうやら、香港やシンガポールを経由して、流出した。「オフショア・バンキング」（ off-shore banking ）という外貨預金のかたちを取って、国外に流れだしていったのである。オフショア・バンキングこそは、現在の世界の金融実態を如実（にょじつ）に物語っている大きな動きである。
オフショアとは、海岸線の向こうの「沖合（おきあい）」のことで、すなわち、「自分の国の岸辺の、外側のほう」という意味である。資金自体は、その国にあっても、その国の通貨当局の管理や、税務当局の調査が及ばない奇妙な資金である。これが「オフショア勘定（かんじょう）」である。資金としては、その国の国内に存在するのに、外貨建てで国外に存在する、という奇妙な金である。非居住者（ノン・レジデント）預金というかたちで、利子の税金もふつうよりもかなり安い。（１０７ページ）（引用終り：副島隆彦「堕ちよ！日本経済」祥伝社・２０００年８月）
また、世界にはなんと、６割も脱税したお金があるのですよ。では。（了）
会員番号２００３さん、こんにちは。バードです。
拙稿に対するコメント、有難う御座います。
会員番号２００３さんのこの投稿で、つぎのように考えました。『「金持ち」とは誰のことか？日本は法人天国。・・・』の論、どうなんでしょう、大まかには正しいのではないでしょうか。多分。
官官接待は、たしか「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」でなくなったような気がしますが。本当はよくわかりませんが、官官接待も復活していいんじゃないかという気もしますが。慰労費とか名目を変えて。
日本の中間管理層の官僚は、みんな夜遅くまで働いています。しかし自宅はアメリカの官僚のように広くなく、疲れがとれる状態ではありません。多少の慰労費を出さないと、持ちません。でも目にあまる不道徳はしません、とか。こんなのダメでしょうか。（今は、一人一回１０００円？とか、表向き？には、一律に金額制限があると聞いていますが。）だけど、交際費やタクシーチケット等、それもいいでしょうけど、話が小さいかもしれませんね。やはりデフレの中にあって、マインドが冷えているんでしょうね。
どうでしょうか、
「大金持ちに課税せよ。働きたいものに職を与えよ。その上で、日本人みんなの住まいを少しずつ広げよう運動を。」
というのは・・・
ただし、その住まい（居住空間）についての実行は、「貧乏人」の裕福な方（ほう）から、ゆっくりやるしかないと思います。（了）
吉田（Y２J）さん、こんにちは。バードです。
拙稿に対するコメント、有難う御座います。
おかげで私なりに、いろいろ思考のトレーニングができました。
普段なら読むこともない（面倒くさくて読めない）『山根論文』のようなものも、真剣に読むことができました。吉田（Y２J）さんは、下記『山根論文』から、下記消費性向値をグラフから読み取って、論を展開しました。
−−−『山根論文』−−−−−−−
山根 英嗣（やまね えいじ） 日本経済研究センター JCER REVIEW Vol.45 2003.3
消費性向の決定要因の分析−経常消費性向の枠組みを用いて
http://www.jcer.or.jp/research/review/review45.html目 次
１．はじめに
２．経常消費性向とは
３．グラフでみた経常消費性向の動き
４．経常消費性向の決定要因の分析
５．非経常消費性向の動向
６．おわりに――現下の消費実勢をどうみるか参考文献
参考資料
−−−消費性向の値−−−−−−−・SNAベース消費性向（勤労者世帯＋高齢者世帯＋単身世帯＋農林漁家世帯など）
85%(1985), 90%(1995), 95%(2001)
・家計調査ベース消費性向（勤労者世帯のみ）
78%(1985), 73%(1995), 72%(2001)−−−吉田（Y２J）論１ 引用始め−−−（注、丸数字は引用者による）
�‘�本経済全体を論じるならば調査範囲の広いSNAベースに従うべきだろう。�△修Δ垢襪半暖饑�向はなんとバブル期よりも上がっていることになる。��すなわち現在のデフレの要因は消費性向によるものではないと結論できる。�ぅ弌璽瓢疣席犬任蓮崗暖饑�向が低い金持ち」から「消費性向が高い貧乏人」へ所得を移転すれば、貧乏人は国民の大多数であるので、日本全体の消費性向が上がるという主張である。�イ靴�し、上で見たようにすでに消費性向はバブル期よりも上がっている。��95％より以上を求めるのであれば100％を超えてしまう。�Г垢覆錣措擽發靴討任眈暖颪垢襪海箸砲覆襦�
−−−吉田（Y２J）論１ 引用終り−−−（[3289]RE:[3286]消費性向とデフレ）
バードです。
�，論気靴ぁ�
�△論気靴ぁ�
��も正しい。「デフレの要因は消費性向によるものではない」は正しい。しかし私は、デフレの要因は「消費」だと言っており、「消費性向」だとは言っていません。［消費］＝［可処分所得］×［消費性向］である、この消費を言っているのです。ここのところは、下記の［整理−１］で再説してみました。しかしこの数値は非常に悲惨な数値に、私には見えます。『山根論文』のように、消費性向が上がれば消費が持ち直すとし、さて今年も消費性向が高いでしょうか、高ければ今年も消費が伸びる（１％程度のみみっちい話です）のですが、という研究と願望が信じられません。不況感のなかで、消費が減少する中で、消費を削っても、95年からずっと消費性向が90％を超えて続いているのだから、痛ましい限りで、消費が増加するはずはありませんね。このような「悲惨さ」を表している数字だと思います。
�い論気靴い隼廚い泙后�
�イ論気靴ぁ�
�Δ鉢Г眄気靴ぁ�100％を超えると、悲惨な「自己破産」ということです。多分、本当のところは親（老人）からの借金や、援助によってしのいでいる人々がかなりあるのではないでしょうか。（このことを日本経済は吸収力がまだあるとでも、いうのでしょうか。）［整理−１］
私は、『金持ちより「貧乏人」のほうが消費性向が高いであろう。だから、所得移転などで、「貧乏人」の可処分所得を上げれば消費が増えだろう。この不況の引き金は消費の不足だったと思う。そして消費の不足はさらなる消費の不足を生んでいる。デフレ克服には「貧乏人」の可処分所得の上昇が不可欠である。』と言っているはずです。可処分所得が増えると、消費性向は下がるかもしれないが、［消費］＝［可処分所得］×［消費性向］であるから、消費は上がるはずです。常識的に考えて。（たとえば、可処分所得が３０万円増加すれば、１５万円を貯蓄に回し、残りのおカネで最新のパソコンを、あるいは副島本を、あるいはその他なにかを買おうという気になり、実際に優先度のあるものから買うであろう。そして通常、消費性向は低くなる。しかし、国民の心（マインド）の問題もあるので、最初の１〜２年は減った貯蓄の補充に回り、あるいは借金の（過去の消費）返済に回り、そのくらいのタイムラグがあるかもしれない。１年や２年の統計を見て、なんだ嘘じゃないかというような、統計がでる可能性もある。その時は、国民の心はまだ、不況の時の不安のままで貯蓄しているか、あるいは借金がまだ残っているかのどちらかだ、というように考えるべきだ。）
以上が、吉田（Y２J）論１に対する回答です。
−−−吉田（Y２J）論２ 引用始め−−−（注、丸数字は引用者による）
�┐泙拭▲弌璽瓢疣席犬蝋駝噂蠧世鮟衢燭噺�なしている。��すなわち国民所得の総額はすでに決まっていて変わらないことを前提としている。��だから「金持ち」から取り上げて「貧乏人」の所得を増やそうという考え（ゼロ・サム zero-sum）になる。��国民所得の総額が増えることを前提にすれば、「金持ち」から取り上げなくとも「貧乏人」の所得が増えることもありうる。��国民所得の総額が増えるということは、おカネの総額が増えるということで、それは銀行の「信用」が増えることを指す。��なぜ銀行の信用創造機能が働かないのかについては先般「ぼやき「４８９」 リチャード・ヴェルナー氏の言説を考察する」にて論じた通り。
��以上、問題は所得の分配にあるのではなく、なぜ国民所得の総額が増えないか、ということではないかと思うが如何。
−−−吉田（Y２J）論２ 引用終り−−−−（[3289]RE:[3286]消費性向とデフレ）
�─↓�は半分正しい。たしかに、ＧＤＰなどは、目標（政策など、願望もかな）としてみた場合は所与のものではない。しかし、結果としてみた場合は、所与のものであると思います。過去のＧＤＰを見る場合か、現在進行中のＧＤＰを見る場合か、未来のそれを見る場合かで、決まるのかもしれない。これについては特別に言及していないが、そのように決め付けた覚えはありません。（軽く言及しているところはあります。それは、５項の「その後経済の拡大があっても、先ずその（貧富の）適正格差を維持する形で拡大分を分配してみて、様子をみるということになるだろう。」というところです。）必要ないときは言及しない方が良いと思います。しかし、それは反面、視野の狭い議論になってしまうデメリットもあるでしょう。いずれにせよ、すべてを語りきることはできません。
��はそう言えるのかも知れませんね。
��は間違っていない。しかし、次年度からの将来を考えれば、ＧＤＰ増加分が、「貧乏人」の可処分所得へ、将来の消費を適正にするだけの適正な額の増加があるかどうかが問題だと思う。もっと厳密に言えば、この「将来の消費を適正にするだけの」可処分所得かどうかが、重要なところだ。だから、場合によっては、統計（正しい統計です。最近は、偽造統計が多そうだ。）上明らかになれば、ＧＤＰ増加分以上に所得移転を行うべきこともありうる。
��は正しい。否、これは私には分かりません。
��は解なしです。
��はスパイラルの問題？かな・・・番外？：投資を縛るのは、吉田（Y２J）さんの言われるごとく、現在は銀行の信用収縮が大きい。また、消費の不足もやはり無視できない、だろう。
以上が、吉田（Y２J）論２に対する回答です。
以下は、余談です。
『「ぼやき「４８９」2003.10.23 』では、現在の銀行の信用創造機能について、つぎのふたつをあげている。
１．先ず、リチャード・ヴェルナー氏説である。中央銀行万能説のような考えから、銀行の信用創造機能が働かないのは（さらに信用縮小）日銀（その実権を握っている福井俊彦総裁）せいだとする説である。（また、日銀（福井総裁）は、やろうと思えば、信用創造（拡大）もできる。だから、福井日銀は、長い不況から日本を救い景気回復させることができる。なんでも福井日銀次第というわけだ。ほんとかな。）
２．次に副島隆彦説である。「ＢＩＳ規制」と「減損システムによる時価会計」によって、銀行の信用創造機能が働かなくなったとする説である。この２の説は正しいであろう。
前掲の『ぼやき』に、
「こうして１００ドルを預金受け取った銀行はこれをもとに９９００ドルを貸し出した。」（『「ぼやき「４８９」2003.10.23 』）
とある。
すなわち、以前は、銀行は１００円の預金があれば、９９００円貸し出していたことになる。これを今流行（はやり）の自己資本比率にするとどうなるか。なんと、１．０％である（１００÷９９００＝０．０１０１）。それを「ＢＩＳ規制」によって、
国際業務銀行の場合、８％
国際業務銀行の場合、４％
としなければならなくなっているのである。ということは、
国際業務銀行の場合、１００円の預金で、１２５０円までの貸し出し
国際業務銀行の場合、１００円の預金で、２５００円までの貸し出し
となるわけで、これは、
国際業務銀行の場合、９９００円の貸し出しにつき、８６５０円の貸し出しを削減（８７％の削減）
国際業務銀行の場合、９９００円の貸し出しにつき、７４００円の貸し出しを削減（７５％の削減）
ということになる。（この計算で良いのかな？）
もし、上記の計算でよければ、従来の長い歴史で行われていた、特に不都合なことではなかった銀行業務を、ただグローバルスタンダードに合わせるために、金融改革をして、８７％ないし７５％も信用収縮を行ったことになる。何年間かの準備期間を設けてやったのであろうが、とんでもない数字だ。当然デフレを促進させた大きな要因であろう。
「時価会計制度」も同じ様なことだろう。これも、デフレを促進させた大きな要因であるそうだ。
アメリカの獰猛なエコノ・グローバリストに騙されたらしい。
アメリカは１９８０年代後半の日本の銀行の進出が恐くて、騙したり、手先を作ったりして、これを押し付けたのではないだろうか。この効果か、別の要因で、銀行の進出は止まった。しかしまだ、これらの制度は残っている。銀行を潰し、乗っ取るためか。
これらの制度は、世界では一部でしか行われていないともいう。なるべく早く、撤廃すべきだ。政治はそのように動いているのだろうか。上記１の説は信じられない。（昔はへえそんなに簡単なものかと思いましたが。）強い権力があるので、かなり影響するが、「長い不況から日本を救い景気回復させることができる」かどうか、疑問だ。長い不況で、社会のネットワークが壊れているから。構造改革で日本はアメリカ型の、弱肉強食の社会になったので、この弱肉強食社会を適正なものに改めたり、「ＢＩＳ規制」や「時価会計」制度を改めたり、などすればもちろん可能だが、それらを放置していれば無理ではなかろうか。
ここで、『山根論文』について。
これは４０ページに及ぶ、論文です。本文が３１ページまで、その後ろは図表となっています。
冒頭の〔要旨〕を、引用する。（引用始め：山根英嗣『消費性向の決定要因の分析−経常消費性向の枠組みを用いて』Ｐ１）
〔要 旨〕
消費性向の上昇による個人消費の下支え効果が指摘されている。ＳＮＡベースでも家計調査ベースでも、ここ数年の消費性向の上昇は際立っている。可処分所得変動の影響が相対的に弱まっているなか、消費性向の動向は個人消費の趨勢を左右する大きな要素であり、その決定要因を明らかにすることは重要性を増している。
ただし、ライフスタイルが多様化し消費選好の多極化が進む現況では、消費性向を一括りに把握し分析することは難しくなっている。そこで本稿は、消費性向に新たな枠組みを導入して解析することを提案する。具体的には、家計の行動習慣に着目して、消費支出を日常的に購入する財・サービス向けの支出（＝経常消費支出）と、購入頻度の低い財・サービス向けの支出（＝非経常消費支出）に区分し、それぞれの可処分所得に対する割合を算出して経常消費性向、非経常消費性向と定義する。
購入回数という価値判断を除外した客観的基準を用いることにより、家計の消費の決定プロセスを新しい視点で明瞭化でき、以下の結論を得られた。１. 経常消費性向は消費性向全体の約８割に該当する。80年代以降、経常消費性向は可処分所得の増加とともに断続的に低下したが、ここ数年は可処分所得の減少にあわせるように上昇へ転じている。一方、残り２割に該当する非経常消費性向は80年代以降安定的な推移が続いている。
２. 経常消費性向の動きをいくつかの要因で回帰すると、フロー所得の影響が最も大きい。所得が低下すると経常消費性向が上昇する関係を裏付けており、経常消費支出にはラチェット効果（歯止め効果）が作用している。経常消費性向はこの他にも、ストック資産の有無、雇用環境への不安、社会保障に対する不安、物価の変動度合いなどに影響を受けて決定されている。
３. 経常消費性向の決定要因は、世帯主の属する年齢階層によって差異がある。20歳代や30歳代では所得水準や社会保障への不安が作用し、40歳代ではこの他に資産の有無や雇用環境への不安も影響を及ぼす。50歳代では再び所得水準の説明力が大きくなる。
４. 経常消費性向を世帯主の属する所得階級からみると、当然ながら所得制約によって、低所得層ほど経常消費性向は高く、所得水準が上がるに従い経常消費性向は低下する。
５. 非経常消費性向を費目別に時系列分解してみると、教育費や自動車関係費、住居修繕費、医療費等が増えた一方、衣料品や家具・寝具、家電向け支出が減少したため、全体での変動が打ち消されていた。
６. 非経常消費性向の費目別内訳も、世帯主の属する年齢階層によって違いがある。若年層は自動車向け支出のウエートが大きい。中高年層の支出費目は分散している。中高年層ほど、教育や自動車向け支出の趨勢的な増加と、衣料品向け支出の減少が際立つ。（引用終り：山根英嗣『消費性向の決定要因の分析−経常消費性向の枠組みを用いて』Ｐ１）
結論の、２項では、
「所得が低下すると経常消費性向が上昇する関係を裏付けており」（前掲書Ｐ１）
となっており、４項では、
「低所得層ほど経常消費性向は高く、所得水準が上がるに従い経常消費性向は低下する」（前掲書Ｐ１）
となっている。この辺は、納得できる。
また、もちろん、吉田（Y２J）さんが抜粋したデータや、
「 90年代に入り個人消費の低迷が叫ばれて久しい。過去の景気循環における、実質ＧＤＰ成長率に対する書く需要項目の寄与度分解によると、景気拡張期の実質民間最終消費支出は第７循環まで６％ポイント前後成長率を押し上げていたが、第８循環（75年３月〜）以降は半分の２−３％ポイント程度になり、第12循環（93年10月〜）以降は１％ポイントを切る水準にまで低下してしまった。
個人消費を落ち込ませる直接的な原因としては、そもそもの可処分所得の減少と、消費性向の低下が考えられる。実質民間最終消費支出の伸び率を、実質可処分所得の増減と消費性向の変動に分解してみた場合、80年代は前者の寄与は２〜４％ポイント程度のプラスであったが、90年代前半以降０２％ポイント程度にまでプラスの寄与度を縮めていることが分かる。よって第12循環以降の実質民間最終消費支出の寄与度の低下は、その大部分が実質可処分所得の落ち込みで説明がつくといえる（図１）。」（前掲書Ｐ２）
など、興味深いところはあります。
しかし、この結論が役立つ人や企業家がいるのかもしれませんが、なんとも雲をつかむような、ちまちまとした結論でないかと、私には思えました。
この結論に迫力がない原因は、
「消費性向の動向は個人消費の趨勢を左右する大きな要素であり、その決定要因を明らかにすることは重要性を増している。」（前掲書Ｐ１）
と考えているからだろう。消費性向が個人の消費を決定するだろうか。消費性向は、どちらかといえば、個人の消費の結果でないでしょうか。いずれにせよ、消費性向が個人の消費を決定する重要なものではないだろう。だから、こういう結論が出たのではないでしょうか。このように、私はこの論文は余り価値がないように思えるのですが、いかがでしょうか。
ただし、グローバリストはこのような論文がたくさん出ることを、喜んでいるかもしれませんね。いろんな意味で。
こういう論文には、たくさんのデータベースや、たくさんの（足のきれいな？）女性などが動員されているのではないでしょうか。だから、たくさんのおカネがかかっているのではないかと思います。・・・というようなことを考え、この論文にも、なかなか感慨深いものがあります。（了）
全都道府県が「資産超過」、国にしわ寄せ…財務省調査４７都道府県と１２の政令指定都市の財政状況が、２００１年度末の時点ですべて、資産が負債を上回る「資産超過」となっていることが、財務省の調べで分かった。
大半の自治体が補助金などの形で国から財政上の補てんを受け、国から地方への資産の「付け替え」が進んでいるため。
逆に国は最も少なく見積もっても２００兆円を超える「債務超過」となっている。
財務省が都道府県と政令指定都市が公表している２００１年度末（一部は１９９９年度や２０００年度末の数字）の普通会計（国の一般会計に相当）の貸借対照表を集計したところ、都道府県で資産超過額が最も大きいのは東京都の８兆７０００億円だった。
２位は神奈川県、大阪府などを抑えて３兆８９００億円の資産超過だった北海道。国の補助金などで整備した道路や施設などが道資産になっているからで、北海道の場合は資産超過額の約９割が国庫からの支出によるという。
一方、国はこうした補助金負担や年金財政への補てんがかさんで、少なくとも２００兆２５００億円、多く見積もれば８４４兆１５００億円の債務超過になっている。財務省は「地方財政の三位一体改革を通じ、地方への補助金削減を図るべきだ」と主張している。（読売新聞）
[11月1日20時41分更新]
世界のデリバティブ残高27％増、141兆ドルに 日経マネー&マーケット
【チューリヒ＝磯山友幸】国際決済銀行（ＢＩＳ）は８日、取引所を介さない世界の店頭デリバティブ（金融派生商品）取引の残高（想定元本）が2002年末時点で141兆7300億ドルと過去最高になったと発表した。1年で27％増と急増した。日本円に換算すると約１京7000兆円で、1年で3000兆円増えたことになる。
中でも目立ったのが金利スワップ取引を中心とする金利関連デリバティブの増加。金利関連の想定元本は101兆6900億ドルと1年前に比べ31％増え、初めて100兆ドルを超えた。昨年後半は対イラク開戦を控えて各国の金利引き下げ観測が強まっていた時期だけに、大幅な金利変動リスクの回避を狙った取引が急増したとみられる。
http://markets.nikkei.co.jp/news/hot/hotCh.cfm?id=d1f0800e08&date=20030508&ref=1 （引用先リンク）
国家破産と預金封鎖については、こんな話があります。私の知人に、大変な情報通の人
がいます。調査会社に勤めていますが政治家を始めいろいろなところにルートを持ってい
る人物で彼の情報はかなり当たるのです。その人物によると財務省がいよいよ極秘に
預金封鎖の研究を始めたというのです。
それくらい、いまの日本にあって国家破産は現実の問題と化しているということでしょ
う。国家破産がいかに間近に迫っているかについては、あとでも詳しく触れることになり
ますが、こういうからくりになっています。
いま日本の個人金資産は一四〇〇兆円ほどあります。一方日本国政府が抱え込んで
いる借金ですが、政府が公式に認めている分だけで六九〇兆円（国と地方自治体を合わせ
たもの。二〇〇二年度末予想）あります。これに国が国民に隠している�牘�れ借金〃が
かなりあり、跡田先生の試算ではそれらをすべて合計すると１０００兆円を超えるくらいある
ということですね。さらに、国家公務員の将来の退職金の積み立て不足分もちゃんと入れ
ると、その額はなんと最大で一一五〇兆にも達します。まさに天文学的数字です。
この一一五〇兆円で計算すると差し引き二五〇兆円が日本に残された余裕なのですが、
そのうち一〇〇兆円はアメリカ国債を買い持ちしているものですから、現実には売ること
ができません。二五〇兆円からその売れない一〇〇兆円を引いて、一五〇兆円だけが日本
に残された余裕なのです。
これから先、借金をしないのならまだ何とかなりそうなものですが、実際はそうなりま
せん。日本にはもうほとんど余裕がないにもかかわらず、これから先も日本政府は借金を
膨らませて行きそうです。一年間で表に出ている借金だけで五〇兆円くらいで、これに隠
れ借金が加わり、ざっと年間六〇〜七〇兆円ずつ借金が増えることにもなります。
そうなると一五〇兆円の余裕は、風前の灯です。ものの二、三年で消えてしまい、日本
は破産することになります。この本が出版されるのが二〇〇二年六月ですから、そこから
考えて二年ちょっとしか日本はもたないということになります。
（２００３年日本国破産−衝撃編）より転載エンタープライズ研究所が算出した日本は１３０兆円の債務超過だ
というのが納得できた。
私は神に祈るのが嫌いなので紙に祈ります。
どうかビッグバン（国家破産）のあとにはあたらしい経済体制ができますように。本日をもってデリバティブ取引は世界同時になかったことにします。金利のない経済体制をつくります。こう妄想します。
アメリカ・バブルの崩壊という嵐の前に日本はどうするべきか
というのが今の日本の立場。金融鎖国せよ（副島隆彦）
迫り来るアメリカ発の金融恐慌の影響を、最小限度にするために、「金融防壁」を築くべきなのだ。（金融鎖国・副島隆彦）
バブルの経済法則は人間の力ではどうすることもできない法則。（疎外）（資本主義のための革新・小室直樹）
であるならば。
今の時期に銀行の信用を拡大すれば返ってアメリカ・バブル崩壊時の被害を拡大することにならないだろうか？RE:[3289]「ヘッジファンド 世紀末の妖怪」 浜田和幸
に書かれている問題の大きさを見れば“神に祈るしかない”様に思える。それでも、何もしなくて言い訳ではないだろう。
失業者が増えすぎると治安が悪化するのでお金持ちも貧乏人も不幸になる。
「大金持ちに課税せよ。失業者たちに職を与えよ」（ヒューイ・ロング）[3286]消費性向とデフレ（バード）から引用
ということも少しは考えないとお互いが不幸になる。
日本人は団結せよ（副島隆彦）
という言葉を忘れないようにしたいと思います。
「アメリカ経済は、バブルを契機として躍進してきた」（ガルブレイス）
長い目でみればアメリカはダイジョウブ。
もう投稿せずに待っていようかと思ったがそうではないらしいので投稿する。再度２００３氏へ
「どうせ投資するならなるべく（雇用を増やし、失業を減らす）投資に」と謂われているが、経済学での「投資」とは生産財の購入であり、金融商品の購入は「投資」ではない。小室直樹の諸本を参照のこと。
小室直樹『日本経済破局の論理―サムエルソン「経済学」の読み方』（光文社）
小室直樹『資本主義のための革新 』（日経BP社）
小室直樹『日本人のための経済原論』（東洋経済新報社） 他また、金融商品の購入は国民所得計算にも含まれない。この点はリチャード・ヴェルナーの本を参照のこと。
R.・ヴェルナー『虚構の終焉』（PHP研究所 ）「雇用を増やし失業を減らせ」には私も異論は無い。各種社会保証(social security)を手厚くするのは現実的な政策となるし、そうした心配が無くなれば消費も増えるだろう。ただ私はバード氏論文ではGDPおよび消費性向を所与としていることを指摘した。
GDPの変動は説明した。消費性向もグラフを見れば分かるように年々変わる。また、可処分所得を増やしたとしても「期待」を折り込めば単純には消費は伸びない。さらに不況が続くと「期待」すれば貯蓄にまわすだろうし、逆に景気が良くなると「期待」すれば100％を超えるほど消費するかもしれない。
ふたたび、バードと申します。先の伝言で、
「吉田（Y２J）さん、会員番号２００３さん、回答が出来たら、投稿します」
と述べましたが、これは「無視していません。回答しますから少しお待ち下さい」という意味です。
記述が舌足らずであったので、もしかしたら、これは「もう投稿せずに待ってろ」という意味に誤解されるかもしれないと思い、念のため、再度、投稿しました。
そういうことですので、ご理解のほど、宜しくお願い致します。（了）
こんにちは、バードと申します。『今日のぼやき無料版「４９２」（２００３・１１・４）』において、拙稿『消費性向とデフレ』（重掲[3286]2003/11/03）に対する、暖かいコメントを、副島先生から早速頂きました。
副島先生はやはり読んでくれ、その上フォロー（バックアップ）もしてくれました。
有難う御座いました。感激しています。
まだ行っていませんが、原文と先生のフォローをじっくり見比べると、何か新たな「学問的秘密」が発見できるかもしれませんね。後で、見比べてみたいと思っています。
吉田（Y２J）さん、会員番号２００３さん、回答が出来たら、投稿します。以下は、私の、自分の考えを自分に対して確かめるための、単なる独り言です・・・（まあ、皆さんもそうでしょうが、私の場合は常にそうです。）
ところで考えてみますと、副島先生のような、これほどの実績のある人が私などの書いたものなどを読み、理解し、その上フォローしてくれることは、普通ありません。（もしいたら、誰か教えて下さい。）
ところが私の予想通り、先生は、当たり前のようにそのようなことをして下さいました。
これはこのサイト「学問道場」では当たり前のことですが、本当に有り難いことなのです。奇跡的なほど、有り難いことだと思います。私たちにとっては、このうえなく価値あることなのです。したがって、いつも感謝です。そして、それを利用しない訳にはいきません。先生は、その中で「アメリカの政治家、ヒューイ・ロングこそは、私の鏡となる政治家です」と述べています。ここを読み進んだとき、先生がまるで昔ヒューイ・ロングと、選挙戦をともに戦って来たかのような雰囲気を、私はふと感じました。そう言えば、今まで漠然としか意識していませんでしたが、先生は７０年前のヒューイ・ロングや、１３０年前の福澤諭吉と、ともに同時代をともに過ごしてきたかのようであります。また、先生の別のところを読んだとき、１６世紀のオランダや、７世紀の蘇我入鹿（聖徳太子）の時代などにも、一時そこに暮らしていたかのようであります。
これは先生についてのちょっとした発見というところですが、これは膨大な書物を深く読み込んだ者にしかできないことは間違いないことなのでしょう。膨大な読書の結果であり、質と量がともに備わった学問の結果なのでしょう。さらに、私たちが忘れかけていた、学問に対する本当の姿勢を、先生は堅持してきた結果でもあるでしょう。普通は無理なことだろう。知識人のなかにも、ほとんど見当たらないですから。
これはすなわち、副島先生が時空を超えた繋（つな）がりの中て生きているということであり、時空を超えた、たくさんの同志（仲間）と共に生きているということだろうと思います。
しかし時空を超えて同志を持っているということは、なんと豊かな人生であろうか、ということです。やはり先生の知力はただの「知」ではない、「豊かさ」を持った「知」であるということです。先生が人を惹（ひ）き付ける力があるのは、そういうところにも、あるのでしょう。先生の秘密のひとつでしょう。私はほんのちょっとしか、読書をしてこなかったので、もちろんそういうことは無理です。（もっとも、先生の本を読むと多少はそういう雰囲気に浸ることができているようですが・・・）しかしこれからは、副島先生の学問にたいする姿勢だけは見抜いて、行っていきたいと思っています。
とりあえず、現時点では、その本当の学問姿勢とは、
「学問とは時空を超えて人に出会うこと、そこで時代と人を理解し、同志を探してす見出すこと」
と、結論しました。即席ですが・・・『学問のすすめ』・初編について、先生が「今、読み返しても、やはり、福澤諭吉の文章と思想は、すばらしい。」と書いていますので、初めて真剣に読みました。なんと無学だったかと、恥ずかしい限りです。
先生が、「私は、彼をお手本として、『学問道場』を営んでいます。」と言っているくらいですから、『学問のすすめ』は我々現代日本人の原点にすべきものだということでしょう。原点ということは、普段から少なくとも時々は、あるいは大きな困難（国難）に陥ったときは、ここに帰り、これを読み返すというものということでしょう。私も、心したいものです。ここで、ひとつだけ。
「日本とても西洋諸国とても同じ天地の間にありて、同じ日輪に照らされ、同じ月を眺め、海を共にし、空気を共にし、情合（じょうあい）相同じき人民なれば、ここに余るものは彼に渡し、彼に余るものは我に取り、互いに相教え互いに相学び、恥ずることもなく誇ることもなく、互いに便利を達し互いにその幸を祈り、天理人道に従って互いの交わりを結び、理のためにはアフリカの黒奴にも恐れ入り、道のためにはイギリス、アメリカの軍艦をも恐れず、国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落さざるこそ、一国の自由独立と申すべきなり。」（福澤諭吉『学問のすすめ』・初編）
ここでは、海外の、温厚な保守のような人々とは連帯し、グローバリストのような獰猛な人々には抵抗しようとする、副島先生の姿が浮かびます。もちろん、この連帯すべきは連帯し、戦うべきは戦うという姿勢が、唯一正しいと思います。日本国民のとるべき姿勢でしょう。ここで、仕様（しょう）もない（どうしようもなく、下らない）ことをひとつ。
上記引用のなかで、「道のためにはイギリス、アメリカの軍艦をも恐れず、国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落さざるこそ、一国の自由独立と申すべき」というのがあります。これで、「福澤諭吉は軍国主義者だ。玉砕主義者だ。」という、どうしようもなくアホな輩（やから）がたくさん出てくる。そういう「知識人」がたくさん出る。それで若者が『学問のすすめ』を（真剣に）読まなくなるであろうということです。これは真（まこと）に下らないことですが、本当に恐ろしいことです。なんとか手を打って置かねばならないところです。（軍国主義や玉砕主義の状況になかったからこういう表現になったのであって、もしその状況であれば、福澤諭吉はこんな表現は使わなかったはずだ、とか。）もうひとつだけ。
「或いはたまたま身本（みもと）慥（たしか）にして相応の身代（しんだい）ある者も、金銭を貯（たくわ）うることを知りて子孫を教うることを知らず。教えざる子孫なればその愚なるもまた怪しむに足らず。遂には遊惰放蕩に流れ、先祖の家督をも一朝の煙となす者なからず。」
ここでは、副島隆彦著『預金封鎖』（祥伝社、２００３年９月）において、お金持ちに対して僅（わず）かでも血のつながる若者に投資を勧める副島先生の論調が思い出されます。福澤諭吉先生は１万円札の人で、かつ副島先生が推奨する人ですから、また、「日本の元祖リバータリアンともいうべき」人ですから、福澤諭吉先生とはなんとか深くつきあい、同志的になりたいものです。それだけの価値を持った人物だと、心に銘じて置きます。
総選挙（投票日、11月９日）中の現在、先生は「今後、伸びそうな若い政治家たちのところに進んで行く。今回は、負け（落選）でも、次回、それは案外、2年以内だろう、には勝つだろう、根性のある、国道の四辻に立って、誰も聞いていないところで、遠くの車の列に向かって演説をずっと出来るような、根性のある政治家たちのところに行」っているので、全国を駆け回っているようです。たまたま、『堕（お）ちよ！日本経済』のあとがきをみたら、
（引用始め：副島隆彦『堕（お）ちよ！日本経済』祥伝社２０００年）
私は、この六月の総選挙には、私の本を読んでくれて親しくなった若手の政治家たち（自民党と民主党を問わず）の応援演説に行った。そこで、ひとりのボランティアの若者が演説するのを聞いた。「今の日本の失業率は、４．９％だと言うけれど、若者の失業率はそんなものでは済まない。きっと２０％を超えている。大学を卒業しても、コネ就職でもなければ職はない」と。本当だと思う。老人たちはよい。今や充分すぎる福祉や年金を受けている。日本は、もっともっと、トコトン追い詰められればいいのである。
最後の土壇場で、日本人はきっと立ち上がるであろう。（２５０〜２５１ページ）（引用終り：副島隆彦『堕（お）ちよ！日本経済』祥伝社２０００年）
と、現在と同じような状況と、現在と同じ様な副島先生の活動が、書かれています。これが副島先生の思想の真骨頂なのか！
進展はないのか。表面上は進展がないように見える。が、進展がないはずはない、進展はあるはずだ。あっ、これは感謝のメッセージでした。思うことはまだまだありそうですが、切りがないので、今日は、これまでにします。何かでてくれば、場を改めて、述べさせて頂きます。（了）