[3254] Re[3252]: Re[3251]: 奥田論文（ぼやき[412]）を読んで 投稿者：バード（会員番号２２６２） 投稿日：2003/09/30(Tue) 20:41:29奥田勝典さんへ
バード（会員番号２２６２）です早速有り難いコメントを頂き有難う御座いました。とりあえず、ひと安心しています。
まだ続きがありしかし損壊したとの事、それは残念です。
また新たな論文が出来て、拝見できることを楽しみにしています。
あっそれから、お名前を間違えていました。「正典」さんでなく「勝典」さんですね。『ぼやき』でも確か間違っていましたが、どうも失礼しました。映画の掲示板の「奥田勝典」さんはご兄弟、多分弟さんかなと勝手に想像していました。どうも失礼しました。
私は自分の家族と、特に子供たちと、少しでもより真実を踏まえた話し合いが出来るようになりたいと思って、このサイトを拝見させて頂いています。
また（続く言葉が中々出て来なくって文にするのに結構苦労しますが）投稿もさせて頂こうかと思っているところです。
今後ともよろしくお願い致します。（了）
[3253] 掃き溜め・大学論 投稿者：山田宏哉 投稿日：2003/09/30(Tue) 05:25:17 山田宏哉です。 突然ですが、私はここに「掃き溜め（はきだめ）」理論（a garbage dump theory）を提唱します。「掃き溜め」というのは、チリやゴミを集めて捨てる場所のことです。そして、このハキダメ理論（分析）とは、「社会のゴミ（特定のカテゴリーのヒトやモノを指す）は、自動的に１つの場所に集中する」という仮説です。（表現も内容もかなり差別的ですが、その点はご容赦を…。）
これまで私は、かなりの量の文章を書いてきましたが、オリジナリティのある独自の理論なり考え方が不足していました。随分、苦悩しました。そんな中で閃（ひらめ）いたのが、この考え方です。
この掃き溜めという考え方は、学際的で応用が効きます。私にとっての重要用語のひとつになるでしょう。私は、このハキダメ理論をひきさげて、今後の戦いに備えようと思います。以下の、「掃き溜め・大学論」は、その簡単な試作品です。タイトル自体は、『属国・日本論』のアナロジー（類比）です。
掃き溜め・大学論／山田宏哉
「日本の大学のダメさがよくわかった」
夏休みにフィリピンに旅行し、フィリピン大学の授業に顔を出した女性が教えてくれた。授業はすべてゼミ形式。１クラスせいぜい20〜30人。何百人も詰め込む教室は存在しない、とのことだった。
日本の大学は象牙の塔（現実を軽視した孤高の学究場所）だと言われる。悪い冗談だ。掃き溜め（ゴミ捨て場）の間違いだろう。
日本の大学は、掃き溜め（ゴミ捨て場）である。教員も学生も大半は、社会のゴミである。この小論はこの前提から話を進める。
学生は大学に高額の授業料を払っている。ただし、当然ながら、教員の講義の内容にそれだけの価値があるから、払っているわけではない。学生の目当ては、たいてい卒業証書（○○大卒という肩書き）である。その他、時間を買う、という学生も少なくない。いずれにせよ、ほとんどの授業には学費を払うだけの価値はない。
従って、学生の授業に対する関心は、必然的に学問そのものではなく、試験の内容や難易度、成績評価など事務的な事柄に限られる。学生が教授に質問する内容は、大抵、試験か成績のことである。低俗である。
教員にとっても、教育とは、大学院生の指導のことであって、極端な話、学部学生などどうでもよい。カネを払ってくれるカモくらいにしか思っていないだろう。そのせいか、最近は、大学院に「入院」しようとする学生が増えた。
さらに、大学教授の書いた本は、講義の教科書に指定しない限り、ほとんど売れない。そのため、大半の教員が、その分野の一流の学者が書いた著作をさし置いて、自分の書いた駄本を教科書に指定する。とんだ醜態である。単位で脅迫するしか本を売るすべがない。実のところ、特に思想系の研究者が学界誌に寄稿する文章と、アニメ・オタク等が同人誌に寄稿する文章の間には、本質的な差がないように思える。誰も読まない、社会の役にも立たない、一人よがりの文章という点で。
もっとも、教科書に指定しても、試験が終われば、友人と売買したり、ブック・オフ（古本屋）行きとなる。誰もまともに読んではいない。ここは本当に学究の場か？
未だに、教授が「独り言」を言って、学生がそれをノートに丸写しする、というふざけた講義がまかり通っている。これを、「録音役」として出席している学生がノートに書き写す。こんなものは、本が貴重で学生が買うことができなかった時代の産物だ。
そのため、学生もまた、本当に勉強も何もしない阿呆か、軽薄に専門用語を振り回す、ペダンティック（pedantic 必要もないのに学問や教養をひけらかす態度。衒学的）な阿呆ばかりになってしまった。
すべては、日本の歪（いびつ）な受験・就職体制（ただし、正式な制度ではない）という一本の線でつながっている。従って、単に大学改革をするだけでは、この問題は決して解決しない。
それでも、大学は、甘い蜜である。中身はなくとも、社会的な信用力を持っている。だから、受験生からポスト・ドクターに至るまで、組織にすがろうとする人たちが押し寄せてくる。
本来ならば、学問（特に、ソシアル・サイエンス）というのは、現実世界を生きる上で、知恵となり、力となるものだ。福沢諭吉が『学問のすすめ』に書いた通りである。しかしながら、現在の日本で幅を利かせているのは、不正確に改竄（かいざん）された輸入学問であって、本物の学問はほとんど根付いていない。無力だ。そのため、学歴も学問も他人にひけらかすためのアクセサリーの域を脱していない。
そして、この中身のない学問に、就職を餌（エサ）に、無理やり権威付けしてきたのが、日本の大学である。しかし、無理なものはやはり無理で、大学はただの社会不適応者の巣窟のような場所になってしまった。掃き溜めと化したのである。（了）
山田宏哉記
<追記> スポーツ誌「ターザン」の今週号に私の投稿が掲載されました。よろしかったらご覧下さい。
[3252] Re[3251]: 奥田論文（ぼやき[412]）を読んで 投稿者：奥田勝典（１２７８） 投稿日：2003/09/30(Tue) 04:34:36バード（会員番号２２６２）さんへ
奥田勝典です拙文を読んでいただき、ありがとうございます。大変、感激しております。
私の考えを、正確に、しかも、簡潔に書いていただきまして、感謝の言葉以外に何も書くことができません。論文の内容に関して、頭の中を色々な言葉が駆け巡るのですが、言語化をするのは、今日は、やめておこうと思います。本当に、ありがとうございました。
実は、この論文にはまだ続きがあったのですが、書いている途中に風邪を引いて高熱を出してしまい、論文の提出期限がありましたので、途中で終わっています。
さらに、こつこつと書いていた膨大な量の続きが、最近PCが壊れましてすべて消えてなくなってしまいました。脳の思考における、一瞬の閃きのようなものを書き留めたものなので、うまく思い出せません。無念です。
しかし、大きくは、あの論文の論旨はどのような修正においてもするつもりはありませんし、私は、あの論文の視点で、近代社会というものを冷ややかに見ています。
私は、まだまだ、勉強不足の面が多いですが、すこしづつ、自分のできる範囲で、これからも学問していこうと思っています。
バードさん、こちらこそ宜しくお願い致します。まじめな購読会員の方の書き込みは、みんな大歓迎です。これからも投稿活動を頑張ってください。楽しみにしています。それでは失礼いたします。
奥田勝典拝
[3251] 奥田論文（ぼやき[412]）を読んで 投稿者：バード（２２６２） 投稿日：2003/09/29(Mon) 20:12:51バード（会員番号２２６２）と申します。ここへは初めて投稿させて頂きます。宜しくお願い致します。
奥田正典氏の論文（『今日のぼやき』[412]奥田論文『近代(a modern)への日本の対策と副島隆彦の思想』）を読ませて頂きました。
これは２００３年３月９日の発表で、今頃になってやっと読むことになってしまいました。読むのがこんなに遅くなり、申し訳ありませんでした。私からみれば奥田正典氏は副島隆彦著作物の先輩読者ということになります。奥田氏のこの論文によって、重要なことを教えて頂いたと思いました。以下そのことについて記します。先ず、論文の最後に「私はこの論文を書くことによって、（略）脳のなかで生まれる思考作用を言語化することによる喜びを初めて知りました。」とのすばらしい言葉に感動しました。おそらく副島隆彦氏の言論の力がそうさせたのでしょう。確かに副島言論にはそのパワーがあります。その秘密は何か、それはここでは述べません。
マックス・ヴェーバーは近代性（資本主義の精神）に倫理性（宗教性）を含めて考えようとしたと思います。（ゆえにキリスト教徒でないユダヤ人を近代性の持ち主から排除しがちだったのでしょう。そうであれば、日本人もキリスト教徒でないので、キリスト教徒に改宗して本当のキリスト教徒になるまで持てないことになります。）しかし奥田氏は近代性（資本主義の精神）から倫理性（宗教性）を剥ぎ取り、「レイシオの思想」を持っていることのみが近代性（資本主義の精神）につながるのだと断言しました。（これでユダヤ人はもちろん日本人も、そして世界のあらゆる民族が近代性を持つ可能性が存することになりました。）これは正しいと思いました。（なぜ正しいと思ったかはここでは述べません。）そしてこれが私にとって重要でした。
そして奥田論文を私なりに要約すると、
１．「レイシオの思想」はユダヤ人の持っている冷酷な「金の計算の思想」のことである。
２．この「レイシオの思想」が近代性の真髄（不可欠なもの）である。
３．近代性こそ近代資本主義の本質である。
４．近代はこの近代性に基づいてできたもの（制度）一般のことである。
５．近代社会はこの近代性に基づいてできた社会のことである。
６．近代もしく近代社会と、近代性とは、違うものである。
７．近代もしく近代社会は、その実現の形態は近代性以外の要素を含んでいるのである。
８．近代もしく近代社会は、その実現の形態は文明、文化など、すなわち国によって異なるのである。
９．日本は近代社会の近代ではなく、近代性を学び近代性を身につけねばならない。
10．日本は近代性を持って（「レイシオの思想」の構えで）国際社会に対することが、不可欠かつ重要である。
となりました。この、７〜９項は明言されていないかもしれませんが、（もしかしたら勘違いかもしれませんが、）私は奥田論文から確かにこのように読み取りました。
国際社会への対応は上記９、10を踏まえたものでなければならないというのが奥田論文の主張ですが、国際社会、とくにアメリカから攻撃を受け続け数々の敗北を喫した現在の日本において、私もその主張は当を得ていると思いました。
実はこのように、国際社会への対応に近代性（「レイシオの思想」）を関連付けているので、私はこの奥田論文に注目したのだと思います。
この観点から、『今日のぼやき』[478]『アメリカのイラク占領統治の無残さに、戦後の日本の姿を重ね合わせる。第２回目。金融編』」に書かれていることについて、若干ではありますが考えてみました。それは次のようなものになります。
（『今日のぼやき』[478]より引用はじめ）
日本がこの１０年以上の長きにわたって、不況にあえいで来たのは、この経済、特に金融部門（金融システム）の分野を、アメリカに計画的に狙い撃ちにされたからである。アメリカは、官民が一体となって、日本に襲いかかって来たのである。制度としての「外国為替管理法」を、“金融自由化、金融ビッグバン”という美名の掛け声の下に、ガタガタにされて、遂には、ドアをこじ開けれらるようにして、１９９８年に日本国内の金融体制を打ち破られた。
（中略）
その次に、「日本の遅れた企業会計基準を、『国際会計基準』という、アメリカが支配する基準仁合わせよ」という財務・会計制度面からの攻撃をかけた。それで、２年前から、「時価会計」と「連結決算」という手法を厳しく導入されて、これで日本の企業経営は、“含み益”経営という従来の良さを、剥ぎ取られて追い詰められた。今、ようやく、日本は反撃に出て、この「時価会計制度の見直し」を始めた。日本と同じく騙されていたドイツも、アメリカ基準の時価会計制度を、撤廃して元に戻しつつある。
それと、BIS（ビー・アイ・エス、バンク・オブ・インターナショナル・セツルメント、国際決済銀行）という国際的な金融機関が、１５年前から主導して、日本にも条約で押し付けてきた「ＢＩＳ（ビス）基準」という「融資金の総額に対する自己資本比率を８％にせよ」という、おかしな基準を導入させられた。これにも日本は苦しんだ。それで、最近ようやく、ＢＩＳの魔の手から逃れる思考が生まれつつある。
（『今日のぼやき』[478]より引用おわり）
バードです。
以上は“金融自由化、金融ビッグバン”という美名、「時価会計」と「連結決算」という手法、「ＢＩＳ（ビス）基準」という基準、これらのアメリカにある？「近代」を得ようとした（させられた）から、結果的に苦境に陥って（騙されて）しまったということになります。もし近代性（「レイシオの思想」）の心構えで対処していれば、「世界自由市場（ワールドフリーマーケット）というのは実はまだ存在しない。とりわけ金融市場においては、まだまだ世界各国のそれぞれの国力の差は大きい。弱小国が、自国の法律群による規制を緩和して、金融市場を開放すると、途端に、国際投機筋（ホットマネーあるいは、ショート・マネー）の餌食（えじき）にされ」る。「だから実物経済の動きである貿易は自由化すべきだが、金融市場の自由化には」（『今日のぼやき』[478]）なお検討を要し、現時点ではいずれも応じられないということになったのではないしょうか。（ドイツも騙されていた−金融ビッグバンはイギリスも−と言いますから、中々難しかったと思いますが。）
（『今日のぼやき』[478]より引用はじめ）
例えば、ＮＴＴは、グループ全体で、既に２兆円も奪われてしまった。ＮＴＴドコモは、2000年に、アメリカのＡＴ＆Ｔの移動体通信の子会社であるＡＴ＆Ｔワイヤレスに対して1兆円の投資を計画した。そうしたら、買収の許可が出るまでに、一年も待たされた挙句、株式を買わされた直後の、２００１年の２月には、その株価が大きく値下がりを始めて半値になった。これで一兆円の投資額は、途端に半分の5000億円に減ってしまった。謀略的に仕組まれた株価暴落劇である。この事情を知っている日本人ビジネスマンたちは、多くいるはずなのに、日経新聞も正直には書かなかったし、ＮＴＴの経営陣のトップたちも蒼ざめた顔をして損失発生の報告の記者会見をしただけで、うやむやにした。初めからＮＴＴの経営陣はこのアメリカの通信会社の株を、現金で買うように脅迫されていたのである。
（中略）
これらの日本企業が海外の企業を買収したり資本参加することを紹介し手伝って仲介ビジネスをするアメリカのゴールドマン・サックスなどは、金融法人でありながら、同時に巨大弁護士事務所（ロー・ファーム）でもある。彼等は、一旦、日本側が買う方向で交渉を進めると、いつの間にか途中から「交渉から下りた、やめた」といえなくなるような雰囲気を作り上げるという。これに、やがて脅しの要素が加わって逃げられなくなるのである。ＮＴＴドコモの立川敬二（たちかわけいじ）社長の苦渋に満ちた表情の新聞記事の写真が、その恐ろしさをまざまざと物語っている。（略）
（『今日のぼやき』[478]より引用おわり）
バードです。
これはＡＴ＆Ｔワイヤレスに対して1兆円の投資などという「近代」を得ようとして失敗したといえるのではないでしょうか。近代性（「レイシオの思想」）からすれば、交渉を進めるうちに新しい情報、自社の情勢の変化あるいは世界の情勢の変化によって、自社の方針はこのように変化した、という交渉にすべきだったと思われます。（それとも「現金で買うように脅迫されていた」のこの脅迫とは本当に恐いものなのでしょうか。だとすればどうしようもないですけど。）
ともかく近代性（「レイシオの思想」）とは自己の現実を計算した上で思考し行動するのです。
現在は現実として国によって言語、文明、文化、宗教などが異なります。一方近代人は自分の現実を踏まえた上で近代性（「レイシオの思想」）を発揮しますので、出来上がった近代もしくは近代社会は国によって異なった姿をしていてもなんら不思議なことではありません。むしろ異なっているのが当然なくらいです。
郵貯民営化は「近代」であるらしく、それを主張するアメリカの手先のような勢力がいます。しかし「この370兆円を預かっている、全国津々浦々に1万９０００局もある、特定郵便局（田中角栄が推進した）こそは、日本の宝物」（『今日のぼやき』[478]）です。だから近代性（「レイシオの思想」）からすれば、郵貯民営化は必要ないのであります。むしろ郵貯民営化のほうが不自然なのです。
このように近代性（「レイシオの思想」）は自己の現実を踏まえた計算をするのです。従って、近代性（「レイシオの思想」）にとって自己の現実を確実に知っておくこともまた不可欠であり非常に大切なのです。
『今日のぼやき』[478]として、またまた驚くべき事実が副島氏によって明らかにされました。近代性（「レイシオの思想」）はこのような現実認識を不可欠とします。このような現実を知っていないと「計算」を誤るからです。しかし私たち日本人はあまりにも知らないようです。このようなことも早急に勉強しなければならないでしょう。平和憲法下のほとんどの日本人は本当の勉強をしていなかったということでしょう。その付けが今日、回って来ているということでしょう。現実認識という基礎能力がないのでしょう。
国際社会に対する構えが分かれば、次はこの基礎能力を養わなければなりません。それにはどうやら副島隆彦氏の本を実感で解るくらいになるまで熟読するのが最も近道のようです。
奥田論文を読んで（もしかしたら見当違いかもしれませんが）、現在以上のように考えています。（了）
[3250] 預金封鎖 著者に聞く 投稿者：アルルの男・ヒロシ 投稿日：2003/09/24(Wed) 13:57:28毎日新聞社『週刊エコノミスト』（９月３０日号）より（貼り付け開始）
■著者に聞く■
副島隆彦（そえじまたかひこ）
常葉学園大学教育学部助教授
『預金封鎖』−「統制経済」へ向かう日本
＜迫り来る金融統制への警告＞
−−８月末に発売されたばかりですが、よく売れているようですね。大型書店でも品切れの店が多かった。
■すぐ２刷、３刷の増刷が決まりましたが、印刷が間に合ってないようです。「国はタンス預金を狙っている！」という帯の「脅し文句」が効いたのか（笑）。資産家たちが真っ先に買ってくれているのでしょう。
−−内容は、やがてアメリカ発の世界恐慌が起きて、日本では緊急の金融統制すなわち、「預金封鎖」が実施されるという恐ろしいシナリオ。「ぼけっとしている資産家たちの金融資産（ペーパーマネー）は計画的に国に奪い取られてゆくであろう」と。なるほど、使わないお金をくさん貯めこんでいるひとはドキッとするでしょうね。
■実需の裏付けのないマネーサプライの膨張と財政破綻からいずれそうならざるをえない。新円切り替えの話とからめて、統制経済化とか預金封鎖とか他にも言う人が出てきました。
が、私はこの話をずっと前からしている。もともと終戦直後の金融緊急措置令などを研究していましたから。安易な「危機煽り本」とは一線を画しているつもりです。
ーーそれにしても、株価が上がり、デフレ脱出か、景気回復の兆しが、と言われている今、それに逆行して、冷水を浴びせるような内容ですね。
■メディアは「回復」とか言っているけれど、口の中でモゴモゴ言っている感じで、本当は自身がないんじゃないですか。
今の株価の上昇は、選挙を控えた日米の為政者が演出した「政治相場」でしょう。そのこともこの本に書いてあります。短期的には景気回復します。
しかし、その人為的操作も長くは持たない。アメリカの大統領選が終わる来年末以降、おそらく２００５年から数年のうちに世界恐慌に襲われる−−これが８年前から一貫した私の予測です。
−−副島さんは、外資系銀行での勤務経験がありますが、経済の専門家と言うわけではないですね。経済書を書き始めたきっかけは何ですか。
■金融・経済ものを書き始めたのは１９９７年のアジア通貨危機からです。アメリカの政治・経済支配からアジアと日本を守らねばと強く思ったからです。
それまで、日米関係を軸に政治分析を主にやってきました。日本はアメリカの「属国」だと言う議論、そして「ネオコン」を含めたアメリカ政治思想諸潮流の紹介は、これも今では識者たちがやっているけれど、日本では私がオリジナルです。
私に言わせれば、政治と経済を分けるのがそもそもおかしい。その両者を常に同時に見ることが重要で、それができない学者・言論人ばかりだ。
−−副島さんの文章は、アクは強いけれど（笑）、分かりやすい。それも売れている理由でしょう。この本の最後で、「資産家や金持ちの老人」に対し、貧しい若者たちに黙ってお金をあげなさい、と呼びかけているのが、個人的に気に入りました。
■その部分は、人間としての私の声です。それがお金というものの本来の使い道だろう、と。
（聞き手＝志摩和生・編集部）
『毎日新聞社 週刊エコノミスト』（２００３年９月３０日号、５６ページ）
（貼り付け終わり）
[3249] 「知られざるアメリカ独立の記念碑／山田宏哉」 を読んで 投稿者：小山 みつね 投稿日：2003/09/24(Wed) 13:24:04皆さん、今日は、小山 みつね（１８２２）です。[3243]「知られざるアメリカ独立の記念碑／山田宏哉」を読みました。
高校時代「世界史の鬼」として恐れられた（爆）ときの血が騒いでしまつたので、以下の批評文を書きます。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
まず、事実誤認が少々あります。
（転載）
そもそも、イギリスとフランスは、スペイン継承戦争（1700〜1713）、
オーストリア継承戦争（1740〜1748）、7年戦争
（フレンチ・インディアン戦争 1756〜63）などを通じて、
植民地争奪戦（覇権争い）を繰り広げていた。
（終了）
●スペイン継承戦争（1700〜1713）
スペイン継承戦争は、「1701」年からです。
植民地戦争としては、「アン女王戦争」です。
●オーストリア継承戦争（1740〜1748）
植民地戦争としては「ジョージ王戦争」です。
●7年戦争（フレンチ・インディアン戦争 1756〜63）
７年戦争は1756年からですが、フレンチ・インデイアン戦争は「１７５５」年
からです。
（転載）
＞1777年のサラトガの戦いでの植民地軍の勝利をキッカケに、フランスは
イギリスに宣戦布告する。1778年、スペインもフランスの同盟国として、
フロリダの奪還を狙ってイギリスに宣戦布告。
（終了）
●フランスの参戦
「１７７８」年です。
●スペイン参戦
「１７７９」年です。
ちなみに、オランダ参戦が、1780年です。
一年おきに 仏・西・蘭 と参戦します。
以上、年表で確認されたし！！
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●軍事的環境の変化
（転載）
＞ペインは問う。
「最も熱心な和解論者に対して、私は挑戦する。イギリスと結びついている
ことによって大陸が獲得できる利益があるなら、
その１つでも示してみよ、と。」
（前掲書 P48）
「しかしイギリスとの結合から受ける損失や不利益は測りしれない。（以下略）
（終了）
問：アメリカ独立を可能にした、当時の軍事的環境の変化は何か？
答：「フランスの脅威」がなくなつたこと。フランスの脅威から本国に守つて
もらふ必要がなくなつたのに、本国からこれ以上（しかも不当な手続きで）
負担を強いられるのは、我慢ならない。
フランス勢力が、ルイジアナとカナダにゐるうちは、植民地は、傲慢な、
本国政府に守つてもらはないと軍事的にどうしようもなかつた。
「イギリスと結びついていることによって大陸が獲得できる利益」は、
植民地戦争以前であれば、あつた、わけである。
しかし、植民地戦争の結果、フランスの脅威がなくなつたため、
アメリカ植民地は、イギリス本国と結びつく軍事的理由がなくなつた
わけである。イギリス本国政府からすれば、
アメリカ植民地と共通の敵であるフランスがゐなくなつたせいで、
アメリカ植民地から「御用済み」にされたわけである。
甚だ皮肉な話ではある。
●アメリカの「国内優先」から「帝国主義」への転換期
（転載）
＞アメリカ大統領、ウッドロー・ウィルソンが「正義は平和より大切である。
デモクラシーのために戦わなければならない」として、
第1次世界大戦に参戦するまで、アメリカ外交の基本とされた。
（転載）
フロンテイアの消滅は、「１８９０」年、アメリカのフィリピン領有は、
「１８９８」年、である。
このことから考へるに、アメリカの帝国主義への転換は、
「１９世紀末２０世紀初頭」であると考へられる。
大統領でいへば、マッキンレー 氏（１８９７−１９０１）、
セオドア・ルーズベルト 氏（１９０１−１９０５） のときである。
●「モナルコマキ」（暴君放伐論）
ここから、日本基準での高校レベルを超へて、大学レベルになります。（爆）
実は、この話が、したかつただけ、だつたりして。（藁）
（転載）
＞ロック以前は、君主がよかろうと悪かろうと人民の絶対服従は当然のことと
されていた。
（終了）
これは、やや、不正確な記述です。
「ロック以前」の「宗教内乱」の時代には、人民と王の宗教が違ふ場合は、
「絶対服従」ではなく、宗教戦争になりました。
（「ドイツ農民戦争」「ユグノー戦争」「３０年戦争」など）
「モナルコマキ」（暴君放伐論）といふ議論があります。
「モナルコマキ」（暴君放伐論）とは、定義すると、
「異教徒、異端の王は神の名において殺してよい。いや、殺さなければ、
神の教へに反する」といふものです。
宗教戦争のための理論です。
ここでいふ「暴君」は、「異教徒」「異端」といふ意味に近いと考へたはうがいいです。
これ、すなはち、どちらかといふと、「自然法学」系の考へ方です。
プロテスタントの側の「モナルコマキ」の主唱者は、
かの碩学 カルバン 氏（仏人 ジュネーブでテオクラシー
（神権政治）を行ふ）です。
カトリック側の「モナルコマキ」の主唱者は、ブーシェ 氏
（仏人 著書「アンリ三世の退位の正統性について」）です。
ほかにもたくさんゐますが。省略。
この「モナルコマキ」の時代では、「人民の絶対服従は当然のこととされて」
ゐませんでした。
このままではいけない、宗教戦争により、人口が３分の１になるといふやうな
事態を避けなければならない、といふわけで、「宗教内乱を鎮圧する政治学」
が、生まれることになります。
これが、「ロック以前」の「絶対主義」です。
碩学 ジャン・ボーダン（ＪＥＡＮ ＢＯＤＩＮ 仏人） 氏 は、その著書
「国家論」で、国家主権の絶対性を説きました。
また、碩学 トマス・ホッブズ（ＴＨＯＭＡＳ ＨＯＢＢＥＳ 英人）氏も、
その著書「リバイアサン」で、同じく国家主権の絶対性を説き、国家主権を
「旧約聖書」に出てくる怪獣「リバイアサン」にたとへました。
宗教内乱といふ怪獣「ビヒモース」を「リバイアサン」によつて鎮圧する、
といふわけです。
絶対主義は、どちらかといふと、「人定主義」系の考へ方です。
「法が定まつてゐることが、正しく定まつてゐることより重要である」
（ルイス・ブランダイス 米最高裁判事）
といふことです。
この「絶対主義」では、たしかに、
「人民の絶対服従は当然のこととされて」ゐました。
このあと、ロックの思想が登場します。
ロックの「自然権」思想は、部分的に「自然法」学派と妥協して、
「モナルコマキ」の「悪い王は殺してよい」といふ考へ方を取り入れました。
そして、「悪い政府は潰していい」といふことを主張したわけです。
これ、すなはち、「抵抗権」のことはじめであります。
「抵抗権」の淵源（えんげん ＝ものごとのはじまり）は、
「モナルコマキ」にあり！！
無論、ロックも、「抵抗権」に留保をつけて「人間は我慢強い」から
「むやみに抵抗権を振りかざすべきではない」とて、「国家主権絶対」
＝「人定主義」にも、いい顔をしようとしてゐるわけですが。
ロックとは、「自分は、いつも、中間派で、バランスがとれた人間です」と、
ことさらに言ひたてる、イヤなやつではある。
以上。御無礼。
[3247] 三島由紀夫の「天皇論」を巡つて−『文學と政治主義』 松原正（まつばら ただし）著 を読む 投稿者：小山 みつね 投稿日：2003/09/24(Wed) 04:55:54みなさん、こんにちは、小山 みつね（１８２２）です。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿論題：三島由紀夫の「天皇論」を巡つて−『文學と政治主義』 松原正（まつばら ただし）著 を読む
内容：
●はじめに
●誤解と無理解
●「文章は形容句から腐る」（ＢＹ 開高健 かいこう けん）
●帰謬法（背理法）！？
●「松原正氏と政治主義」
●結論
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
●はじめに
『文學と政治主義』 松原正（まつばら ただし）著 とは、以下のやうな書物である。
（転載）
http://members.jcom.home.ne.jp/w3c/MATSUBARA/BungakutoSeijishugi.html
『文學と政治主義』
松原正著
平成5年4月15日發行
地球社
ISBN 4-8049-8033-4
目次
大岡昇平と大江健三郎──政治主義の成れの果て──
二葉亭四迷──筆か爆裂彈か
芥川龍之介──藝術至上主義の敗北──
三島由紀夫──「知行合一」の猿芝居──
中野重治──共産主義と知的誠實──
内容解説
初めての文學論集。「政治と文學」の題で刊行が豫告されてゐたもの。
文學者は道徳を扱ふべきだが、近代日本の文學者は、「道徳よりも政治の方が上等だ」と云ふ勘違ひから拔出せず、道徳から目を逸らし續けてゐる、と云ふ事實を指摘。その結果として日本の文學者が屡々道徳的におぞましい文章を綴つてゐる事を批判。
三島由紀夫について
三島の作品
三島の「憂國」が道徳的におぞましい作品であるのは、
「英靈の聲」が道徳的におぞましい作品であるのは、「ポルノ作品として書かれたからではなく、登場人物が自己の「美學」に陶醉した作者の傀儡と化してゐるからである。作中人物と、作者自身との間に懸隔のない作品は、自己陶酔の産物にほかならない。
「英靈の聲」が道徳的におぞましい作品であるのは、「己の理想とする昭和天皇」をしか、三島は認めてゐないからである。三島は「英靈の聲」で、現實の昭和天皇を否定し、キャラクタの「昭和天皇」を自分の信ずるイデオロギーの傀儡としてしまつてゐる。
殘念ながら、多くの研究者は、三島の政治主義ゆゑの勘違ひを理解しない。三島を右翼であるがゆゑに支持する右翼は「現實の昭和天皇を三島は許せなかつた」と云ふ事を納得しないし、左翼は異るイデオロギーを信奉する三島を最初から理解しようとしない。松原氏は、このままでは三島の自害は犬死にになつてしまふ、それでは餘りに(三島が)かはいさうである、と述べてゐる。
三島の切腹
……八戸グランド・ホテルで(陸上自衞隊第三十八普通科聯隊)聯隊長の青山昌嗣一佐と懇談したが、聯隊長が唐突に三島由紀夫をどう思ふかと尋ねた。頭のよい作家だが好きになれないし、作品にも樣々の缺陷があると私は答へた。「いや、さうぢやない、作品の事ぢやない、三島事件の事です」と青山氏が言つた。「ああ、あれは成算あつてやつた事でせう」と私が答へると、聯隊長は微笑を浮べてかう言つた、「すると、眞相をご存じなんですね」。
三島は作品で餘りにも屡々死を仄譯ではあるまい、と松原氏は推測する。三島の自殺が衝動的なものであつた事をめかしてゐる、だが、本氣で自殺するやうな人間が死を仄めかす筈がない、だから、自害の當日にしても、いささかの成算も無くして東部方面総監部へ乘込んだ、本書で松原氏は資料を驅使して證明してゐる。
文學的な評價と云ふ事
一應右の目高に屬する松原氏は、同じ政治主義の過ちを犯した文學者ではあるが、三島よりも中野重治の方が餘程立派であると論ずる。中野もまた政治主義ゆゑの勘違ひをやらかした文學者だが、三島よりも眞摯であつた。
http://members.jcom.home.ne.jp/w3c/MATSUBARA/BungakutoSeijishugi.html
（終了）
松原正氏にして、三島由紀夫に関しては、この程度の理解なのか、とて、私は、呆然としてしまつた。
といふわけで、以下、「三島由紀夫の天皇論」について論じたい。
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●誤解と無理解
三島由紀夫はよく友人に「自分は三島さんに賛成なのだが、三島さんの天皇論だけは理解できない」と言はれてゐたさうだ。たしかに、三島由紀夫の天皇論を理解してゐる人は、少ないやうである。
その根拠は、三島の天皇論は、江戸時代の「尊王思想家」浅見絅斎（あさみ けいさい）や栗山潜鋒（くりやま せんぽう）の天皇論を基礎にしてゐるからである。今の日本人（あるゐは明治の日本人も？？）は、浅見絅斎（あさみ けいさい）をすつかり忘れてしまつたからである。
浅見絅斎（あさみ けいさい）の著書「靖献遺言」（せいけん いげん）は、幕末のベストセラーである。維新志士たちのバイブルである。革命の書である。弱小勢力に味方して死ぬまで（死ぬ寸前まで）闘つた、シナの忠勇義烈の臣下8名を賞賛した書物である。
8名の臣下とは、以下の如し。
屈原（くつげん 楚の憂国の政治家で、汨羅（べきら）の淵に身を投げて死ぬ）
諸葛亮孔明（しょかつりょう こうめい 漢の再興を願つて蜀漢の劉備を助けて、魏と闘つた軍師）
陶淵明（とうえんめい 晉代の官僚・詩人、腐敗と闘ふが、引退）
顔真卿（がんしんけい 唐の書家、安禄山の乱で皇帝を裏切らず、義兵を率い戦ふ）
文天祥（ぶんてんしょう 南宋の宰相、義勇軍を率いて元と戦ひ、最期まで、降伏せず、獄死）
謝枋得（しゃぼうとく 元軍と戦つて部隊が全滅した後、故郷に帰つて老母の葬式をあげる。これは、「敵前逃亡」なく、親孝行のため。注意されたし！！ 最期まで元に降伏せず）
劉因（りゅういん元代の儒者、元に一日だけ仕へて、辞表を提出）
方孝孺（ほうこうじゅ 明の儒者、永楽帝を叛臣と断じ、詔書の起草を拒否、親族を皆殺しにされても拒み続け、処刑される）
以上8名である。
しかしながら、明治新政府は、「靖献遺言」で、国民教育を行はなかつた。替はりに何を題材に国民教育をしたかといふと、「二宮尊徳」である。これ、すなはち、「皇国史観」（「浅見絅斎主義」といふ意味での）ではなく、「資本主義教育」である。
明治維新の評価を巡つて、興味深い治事実を指摘しておかう。
明治政府に裏切られた（！）「真性 浅見絅斎主義者」（極右）と日本の過去を暗黒に塗りつぶしたい「左翼 マルクス主義者」（極左）が、共同して、「明治維新は、そんな明るいものではなかつた」といふ「明治維新 暗黒論」を唱へる、といふ奇観（！！）を呈してゐる、といふことだ。
私個人としては、明治新政府は、「条約改正」に成功したといふ点で、相当に有能だつたと評価してゐる。
その理由は、「条約改正」は、すべての日本人の利益になる話であるからだ。
「あいつは、グローバリストから金をもらひやがつて！ 動機がけしからん！！」といふやうな「動機主義」を、私は、とらない。私は、かういふ問題に関しては、「結果主義」をとることにしてゐる。ちやんと「条約改正」といふ「いい仕事」をしてゐるなら、いいんじやないか、いふことである。
マックス・ウェーバーのいふ「「責任倫理」（結果主義）を「心情論理」（動機主義）より優先させる」といふことである。
しかるに、今の「グローバリストの手先」は、「日米安保条約」といふ条約を「条約改正」すら、できずにゐる。
「結果主義」から見て、甚だ遺憾である。
また、「動機主義」からみても、甚だ遺憾である。
ちなみに、ウェーバーは、次のやうに論じてゐる。
（引用）
（ウェーバー『天職としての政治』岩波文庫、脇訳103ページ相当部分）
結果に対する責任を痛切に感じて責任倫理に従って行動する成熟した人間（老若を問わない）がある時点まで来て、『私はこうするより他ないのです。私はここに立ちます。』（ルターの言葉）と言う時、私たちは測り知れない感動を受けます。これは人間的に純粋でたましいをゆり動かす情景です。なぜなら精神的に死んでいない限り、私たちは誰でも、いつかはこのような事態に直面することがあるかも知れないからです。この限りにおいて心情倫理と責任倫理は絶対的な対立ではなく、むしろ両方相まって『政治への天職』をもつことができる真の人間を作り出すのです。
（ウェーバー『天職としての政治』岩波文庫、脇訳103ページ相当部分）
（終了）
もうひとつ、心情倫理（動機主義）を否定した「ミリンダ王の問い」におけるギリシャの哲人王 メナンドロス（ギリシャ名＝メナンドロス・インド名＝ミリンダ）王 と インドの修行僧 ナーガセーナ長老 との対談を挙げておかう。
（転載）
http://www2s.biglobe.ne.jp/~SHUJI/diary/essay03.htm
第八 知識の重視──知って悪をなすのと知らないで悪をなすのとの相違
王は問う、『尊者ナーガセーナよ、知っていながら悪い行ないをする者と、
知らないで悪い行ないをする者とでは、どちらが禍いが大きいですか？』
長老は答える、
『大王よ、知らないで悪い行ないをする者のほうが、禍いが大きいです』
『しからば、尊者ナーガセーナよ、われわれの王子または大官が、
知らないで悪い行ないをしたたらば、われわれはそれに二倍の罰を加えよう』
『大王よ、あなたはどうお考えにたりますか？灼熱し、燃焼し、炎熱し、
炎上した鉄丸を、一人が知らないでつかみ、一人が知ってつかむならば、
いずれがひどくやけどするでしょうか？』
『尊者よ、知らないでつかむ人のほうが、ひどくやけどします』
『大王よ、それと同様に、知らないで悪い行ないをする人のほうが、
禍いが大きいです』
『もっともです、尊者ナーガセーナよ』
出典 『ミリンダ王の問い１』平凡社 中村元 早島鏡正 著
http://www2s.biglobe.ne.jp/~SHUJI/diary/essay03.htm
（終了）
これを要するに、「一切の動機の部分は、政治的には、論ずる必要がない。捨象すべきだ」といふことである。
しかし、私は、明治政府に対して、日本人が、浅見絅斎（あさみ けいさい）を忘れてしまふきつかけを作つたといふ点において、やや批判的である。浅見絅斎は、もつと、評価されてしかるべきではある。
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●「文章は形容句から腐る」（ＢＹ 開高健 かいこう けん）
（転載）
三島の「憂國」が道徳的におぞましい作品であるのは、ポルノ作品として書かれたからではなく、登場人物が自己の「美學」に陶醉した作者の傀儡と化してゐるからである。作中人物と、作者自身との間に懸隔のない作品は、自己陶酔の産物にほかならない。
（終了）
「おぞましい作品」の「おぞましい」の部分は、松原氏の主観的な解釈である。「悪質な」レッテル貼りである。「文章は形容句から腐る」（ＢＹ 開高健 かいこう けん）の絶好なサンプルである。読者は、この「おぞましい」といふ形容詞は、飛ばして読まなければならない。（さういふ私も「悪質な」「絶好な」といふ形容句を使つてしまつた。 藁）
三島由紀夫の著書「憂国」は、三島由紀夫が自らの政治思想を語つた作品であるにすぎない。
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●帰謬法（背理法）！？
（転載）
「英靈の聲」が道徳的におぞましい作品であるのは、「己の理想とする昭和天皇」をしか、三島は認めてゐないからである。三島は「英靈の聲」で、現實の昭和天皇を否定し、
（終了）
三島由紀夫が、「己の理想とする昭和天皇」しか理想としない、「三島は「英靈の聲」で、現實の昭和天皇を否定」するのは、当然のことである。「ほら、だから、三島由紀夫は、天皇を全然崇拝してなどゐなかつたのだ」とて非難する必要はない。また、そんな非難は筋違ひですらある。
たとへば、江戸時代の「尊王思想家」栗山潜鋒（くりやま せんぽう）氏 は次のやうに述べて、天皇陛下を批判してゐる。
（引用)
（栗山潜鋒（くりやま せんぽう）著「保建大記」（ほうけん たいき）日本思想体系「近世史論集」P．３６４ 岩波書店 収録）
白河帝、色好みて最も淫らなり。待賢門院璋子は鳥羽帝の女御にして、崇徳帝の母なり。白河帝、璋子を鍾愛し、其の間、詩の所謂、道（い 注記）ふ可からざる者有り。鳥羽帝も亦、崇徳は己が子に非ざることを知れり。故に鳥羽の崇徳に不慈なるは、婦言に之れ聴くに由ると雖も、白河の倫を乱ること、実に由りて基づく所なり。
（栗山潜鋒（くりやま せんぽう）著「保建大記」（ほうけん たいき）日本思想体系「近世史論集」P．３６４ 岩波書店 収録）
（終了）
しかし、これは、「批判のための批判」ではなく「肯定のための批判」（！！）なのである。批判からスタートして肯定というゴールにたどり着く、といふことである。
まあ、これを要するに、「背理法」（帰謬法）ですな。「背理法」（帰謬法）とは、√2が無理数であることを証明するために、「√２は、有理数である」といふ仮定からスタートして、そこに、矛盾を指摘し、どうしても矛盾するといふことは、「√２は、有理数である」といふ最初の仮定が誤り（！）である。「√２は、有理数である」が誤りであるといふことは、「√２は、無理数である」といふことが証明されたのだ、といふ推論形式ですな。
小室直樹先生は、尊王思想を解説して、次のやうに述べてゐる。
（引用）
（小室直樹著「天皇の原理」P.314 P．315文芸春秋）
徳川時代における儒学の発達過程の結果として、湯武放伐論の否定はなし得たのか。いかにして、崎門の学者は、朱子学の精緻なる論理を破り得たのであったか。
はじめにそれは、天皇（上皇）の非倫理性を徹底的に追求することによってであった。
（中略）
丸山真男の言う、「反対方向性を内包したバランスは毛筋ほどの差で崩れる｣からである。
天皇の非倫理性が徹底していればいるほど、それと共存する反対方向性によって、天皇は絶対の高みへのぼってゆくのである。予定説の論理によって。
（小室直樹著「天皇の原理」P.314 P．315 文芸春秋）
（終了）
「はじめにそれ（＝湯武放伐論の否定＝「悪しき天皇もまた天皇である」といふ意味での「天皇崇拝」）は、天皇（上皇）の非倫理性を徹底的に追求することによってであった。」といふ指摘が重要です。さすがは、小室直樹先生だ！！ といふべきところであります。
これを要するに、「ポーズとしての天皇批判」は、「帰謬法」の最初の「仮定」の部分に過ぎない。それは、決して本心ではない。本心は「天皇崇拝」にあり！！ といふことである。
皮肉な（！）言ひ方をすれば、「天皇制打倒」（！）を叫ぶ「共産主義者」（！）が、「帰謬法」の最初の「仮定」の部分を構築してゐるといふ意味に限れば、最も「尊王的」であるのかもしれない。
（最近、共産党は、天皇制を容認したらしいが。残念！？）
さらに「天皇イデオロギー」を補強するために、すなはち、「悪しき天皇もまた天皇である」といふ意味での「天皇崇拝」を補強するため、人間の基準で、愚かな天皇に、忠誠を尽くした人物を英雄にする必要がでてきます｡その人物は誰でせう？
答：楠木正成
浅見絅斎や栗山潜鋒の時代は､江戸時代ですので､天皇家は北朝（！）である｡だから、露骨に南朝（！）の楠木正成を持ち上げることは出来ない。そこで上品に（！）楠木正成を持ち上げる必要がでてきます｡
といふわけで、浅見絅斎（あさみ けいさい）は、その著書「靖献遺言」（せいけん いげん）で、バカな殿様（！！）（もしくは､まだ､赤ちゃんの皇帝とか）に、死ぬまで忠誠を尽くした、諸葛孔明（しょかつ こうめい）ら、忠勇義烈（！）のシナ人を持ち上げることで、間接的に（！！）、楠木正成を持ち上げることにしたわけです。
といふわけで、三島由紀夫が、「己の理想とする昭和天皇」を認めてをらず、「現實の昭和天皇を否定し」ながら、かつ、「尊王思想家」であることは、何ら矛盾ではない、といふことである。松原正氏の非難のはうが、筋違ひである。
甚だ遺憾な話ではあります。
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●「松原正氏と政治主義」
＞一應右の目高に屬する松原氏は、同じ政治主義の過ちを犯した文學者ではあるが、三島よりも中野重治の方が餘程立派であると論ずる。中野もまた政治主義ゆゑの勘違ひをやらかした文學者だが、三島よりも眞摯であつた。
「文學者は道徳を扱ふべきだが、近代日本の文學者は、「道徳よりも政治の方が上等だ」と云ふ勘違ひから拔出せず、道徳から目を逸らし續けてゐる」といふ日本人の「政治主義」を松原氏は批判してゐる。しかし、当の松原氏も「政治主義」から自由ではないやうである。
その根拠は、松原氏は三島が嫌いであるがゆゑに、安易に「敵の敵は味方」とて共産主義者 中野重治のはうに、高い評価を与へてゐるからである。これは、「道徳よりも政治の方が上等だ」といふ政治主義の態度である。
中野重治は、天皇陛下を憎みながらも、「天皇陛下はかわいそうだ」と述べることによつて、「共産主義者すら、なほ、天皇崇拝を消すことができない。まして況（いわん）や衆人をや」（＝共産主義者すら、天皇崇拝消せやしない。まして普通の人ならなほさら、天皇崇拝を消せない）といふ「天皇陛下の正統性」を逆説的に（！！ ＝天皇否定からスタートして、天皇肯定といふゴールに達したといふこと）証明した、と、松原氏は論ずる。
しかし、三島由紀夫が同様のことをすると、それは、「天皇陛下を逆説的に肯定した」のではなく、「己の理想とする昭和天皇をしか、三島は認めてゐない」とて、松原氏は、否定的に評価するからである。
これ、すなはち、松原氏は、政治的に、三島由紀夫と中野重治を「ダブルスタンダード」で扱つてゐる、といふことである。
この原因は、あきらかである。
すなはち、松原氏が、三島由紀夫を敵だと勘違ひして、勘違ひがけなら、まだいいのだが、「敵の敵は味方」といふ「政治主義」を安易に受け入れてしまつたからである。こちらの「政治主義」のはうは、「文學者は道徳を扱ふべきだが、近代日本の文學者は、「道徳よりも政治の方が上等だ」と云ふ勘違ひから拔出せず、道徳から目を逸らし續けてゐる」とて、「政治主義批判」を売り物にする松原氏とつては、致命的である。
以下のやうな、皮肉な「背理法」（帰謬法）が成り立つかもしれない。曰く、
「政治主義批判の松原正すらなほ、政治主義から自由でない。まして況（いわん）や衆人をや」
（＝政治主義批判の松原正氏すら政治主義から自由になれない。普通の人なら、なほさら、政治主義から自由になれない）
と。そして、
「松原正氏は、政治主義批判に徹することで、逆説的に、政治主義から何人も自由でないことを証明したのである」
と。
●結論
以上論じたことから明らかなやうに、今、三島由紀夫の精神が忘れ去られようとしてゐる。我々は、なんとしても、三島由紀夫を「誤解と無理解」から、守らなければならない。
本稿を終へるにあたり、三島由紀夫の最期の「檄文」（昭和四十五年十一月二十五日）をあげて、結びといたしませう。曰く、
（転載）
http://www.nippon-nn.net/mishima/geki/
（中略）
しかし自衛隊のどこからも、「自らを否定する憲法を守れ」といふ屈辱的な命令に対する、男子の声はきこえては来なかつた。かくなる上は、自らの力を自覚して、国の論理の歪みを正すほかに道はないことがわかつてゐるのに、自衛隊は声を奪はれたカナリヤのやうに黙つたままだつた。われわれは悲しみ、怒り、つひには憤激した。
（中略）
アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。あと二年のうちに自主性を回復せねば、左派のいふ如く、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終わるであらう。
われわれは四年待つた。最後の一年は熱烈に待つた。もう待てぬ。自ら冒涜する者を待つわけには行かぬ。
しかしあと三十分、最後の三十分待たう。
共に起つて義のために共に死ぬのだ。
日本を日本の真姿に戻して、そこで死ぬのだ。生命尊重のみで、魂は死んでもよいのか。生命以上の価値なくして何の軍隊だ。今こそわれわれは生命尊重以上の価値の所在を諸君の目に見せてやる。それは自由でも民主主義でもない。日本だ。われわれの愛する歴史と伝統の国、日本だ。これを骨抜きにしてしまつた憲法に体をぶつけて死ぬ奴はゐないのか。
もしゐれば、今からでも共に起ち、共に死なう。われわれは至純の魂を持つ諸君が、一個の男子、真の武士として蘇へることを熱望するあまり、この挙に出たのである。
http://www.nippon-nn.net/mishima/geki/
（終了）
（小山 みつね 記 書き散らし）
（了）
[3246] 有料ぼやき を読んで 一購読者の感想文 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/09/23(Tue) 17:29:45 わが国の一般人は決して、経済における弱肉強食主義を肯定しているわけではないと私は思います。副島さんがたびたび指摘するように、この１０年間あまりにわたるマス・メディアによる情報操作に踊らされて、あたかも日本の経済再生のためには”弱肉強食”の”国際水準の正統な資本主義に変革”しなければならないと錯覚しているだけではないでしょうか。
日本の戦後の高度経済成長を支えてきた要因の一つに、労使協調がありました。その後、ベルリンの壁の崩壊が象徴するように世界的に社会主義は敗北し、日本における左翼勢力も衰退しました。しかしながら、日本の左翼労働運動というのは、本当に、欧米と同じ質のもので、同じ課題を共有していたのでしょうか。同じものと思いたがっていただけではなかったのかという素朴な疑問が、資本主義と社会主義をめぐる国家間のイデオロギーの政争が終焉した今、私には残ります。ゆえに日本的な労使協調の企業風土は一概に否定されるべきではなく、ビル・トッテン氏が従業員を大切にする企業を標榜していることも、また同様です。
小室直樹氏の分析では、戦後の日本における企業、組織は機能集団ではなく、共同体になったとあります。米国との戦争敗北によるアノミー（無規範）状態を回避する受け皿としてです。これに従えば、現代日本人にとって、失業＝組織の外に出る とは単に経済基盤を喪失するだけではありません。経済手段の確立は生活にとって大事なことはもちろんですが、社会的動物である人間が理性的に生きていく上に必要な連帯感すらも奪われます。（本掲示板の読者諸氏には蛇足ですが、小室氏の分析は科学理論であって、どの国でも、一定の条件下で普遍的に適用することを目的に展開してますから、「日本での失業は要するに村八分の発想と同じである」という水準の論旨とは違います。） 私たちは戦後なぜ、”偏差値”の高い大学への受験競争とか有名企業への就職とか英語の上手下手とか、海外生活の有無とかいったことをめぐるプライドや嫉妬やらでキュウキュウとするような国民になり果てたのか。それは敗戦によるアノミー状態から六十年近くたって、われわれがそのショックから自力で回復していないからだと思います。
私は、社会主義国家だった東欧圏の人間と話をする中で、彼らにおける失業意識とわが国における失業意識の違いに気づきました。彼らは失業しても宗教を基礎にした強固な家族意識がある。あるいは民族的連帯がある。もちろん、中には虚無主義者もいます。しかし、わが国における”経済的要因”と称するアノミー的な何万人もの自殺の事実は彼らには理解できません。翻って言えば、わたくしたちは頑迷な内外の宗教原理主義者に対して、軽々しく「狂信的だ」と判断することはできない。なぜなら、このわが国における虚無的な社会心理状況のほうがよほど深刻だからです。
わが国では失業者や仕事につけない若者は、その日暮らしの仕事をするか、引きこもってパソコンをたたいて憂さを晴らすようなことになる。飢えずに憂さを晴らす余裕があるだけましだとも言えますが、単に経済活動を封じられているだけではなく、”社会的連帯の外側”にはじきだされている。こういう現状に対して、旧左翼勢力はどこまで真剣に考えているのか、それが聞こえてこない。これは優れて日本的問題であって、どこかの国の範にならうべき問題ではありません。小手先の制度改変で済む問題でもありません。
私は政府頼みの福祉優先の弱者の横暴に加担する勢力を肯定する意図はありません。ただ、わが国における”弱者”の置かれた状況認識について、マス・メディアの発信する情報に盲従してはいけないと考えます。
[3245] 下の山田論文についてと、会員読者からのメールを転載します。 投稿者：副島隆彦 投稿日：2003/09/22(Mon) 07:06:21副島隆彦です。 以下に載せるのは、私と同世代の会員読者からのメールです。私は、この「学問道場」サイトを、私と会員読者たちとの直接の交流の
場だと思っています。ですから、ここに書き込まれた意見は、私たち「学問道場」にとっては、内部の広報誌の役割を果たします。
私は、ぼやきの「会員専用ページ」と、「予定者ページ」の両方を大体、月に各５ほんずつ、合計で１０本を予定いにて書いて載せようという全体的な流れで主宰しています。あまりに、次々に文章を載せると、
読む方が疲れる、ということあるからです。
落ち着いた感じの会員たちは、週に２回ぐらいここを開いて、まとめて
読む、という感じのようです。週末にまとめて読む、というタイプと、
平日の勤務先で、時間を見つけて読むタイプの、２種類の人がいるようです。
息長く「学問道場」を主宰してゆくためには、このようにして、この３年の間に自然に出来てきたリズムに従うのが一番いいのだと、思います。
何事も拙速（せっそく）を避けて、自然なリズムでやってゆくのがいいと思います。中には、自分自身が余裕のない人生を送っていないものだから、すぐに「私は、副島隆彦の文章を読みたいのだ。弟子たちの文なんか読みたくない」などと、意見を書いてくる人が時々います。そういう人は、自分自身を深く振り返りなさい。多くの素質のある若者を各種の知識人に育ててゆく、という私、副島隆彦の決意と付き合おうという
人でなければ、とても「学問道場」の同行者とは呼べません。
私たちは、そこらの「ネット情報屋」や、「ネット金融評論家」ではありません。志（こころざし）と誇り高さの点では、日本有数の集団なのです。自分の名前や、会員番号さえ書けないような、匿名の失礼な投稿文を、ここに書き付けてくることは、許されません。恥を知りなさい。
以下の「３２４３」で、私たちの研究員の山田宏哉君が、簡潔で優れた「アメリカ独立革命戦争とトマス・ペイン論」を書いてくれました。
こういう文章を、先進生のみんなが書ける様になることが、ひとつの目安です。
トマス・ペインの激烈な言論パンフレットが、アメリカ人（コロニスト＝殖民者）たちの、残忍なイギリス国王からの独立を叫ぶ怒りとなった。今もアメリカ人（帝国臣民）たちは、このトマス・ペインやジェファーソンの思想を中学校、高校で学んで、自国の独立と尊厳の根拠にしている。
今こそ、私たち「学問道場」も、このトマス・ペインの言論パンフレットと同じく、「暴虐と姦計のアメリカ帝国」からの真の日本国の独立に為に闘う、のろしなりと、決起の発火点となるべく、みんなで研鑽を積んで行きましょう。
「 そして、アメリカ独立宣言から200年以上の歳月を経た現在、未だに日本は、実質的にアメリカからの独立を果たしていない。「今こそ決起せよ！」 私たちがペインの思想から学ぶべき点は多い。（了）」
という山田君の、「日本国民よ。いまこそ決起せよ」という言葉の重みを、分かる人は分かってください。
副島隆彦拝
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（転載貼り付け始め）
＊＊＊＊さまへ
副島隆彦です
丁寧なメールをありがとうございます。
私どもの会員として、このように激励のメールをいただけますことに
心から感謝申し上げます。
私は、こういう裏も表もない、自分の思ったことをそのまましゃべる
（書く）人間ですから、同業者たちの間にたくさんの敵を作って生きて
きました。今更、この生き方を変えることはしません。
どうか、今後とも私ども師弟 の集団を見守ってください。
副島隆彦拝
----- Original Message -----
From: ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
To: Sent: Saturday, September 20, 2003 7:37 AM
Subject: 講演ビデオについて「連続６時間講演」ビデオを先日お送りいただき、述べ数回繰り返し見させていただきました。先週は本ビデオ視聴のため毎晩徹夜でした。本日別途「金融鎖国」のビデオも申し込ませていただきました。よろしく。
私が副島先生を信頼する１つの理由は、あの研究者「英和中辞典」の告発です。当時私もこの辞書には非常に違和感を持っていましたが日本１の英和辞典（当時そのように言われていました）がぼろ辞典であるわけがなし、自分の英語力がないため違和感を感じるのだろうと思っていました。しかし、あの告発記事を見て大いに共鳴しました。
先生には権威あるぼろ辞書「広辞苑」についても告発して欲しいですね冗談です。そんなくだらないことに時間を使う余裕は今の先生にはないでしょう。
ただ、本当にびっくりしたのは、５、６年前に初めて副島先生の著作を読ませていただいたときに、先生の本の裏表紙の解説を見て、「何だあのときの予備校の先生はこの副島先生か」と知ったときです。英語辞典にケチをつけたあの元気の良いどこかの予備校の英語の先生（わずかに記憶に残っていました）が、どうしてこの政治・経済・金融物を書かれている副島さんなのだ。ジャンルがまったく違うではないか。そのように感じたことを覚えていますがそれ以来のファンであります。
石原慎太郎が数年前に金融物の本を書いたときに、それは、「ＮＯといえる日本経済」 一ツ橋総合研究所との共著のあの本ですが、「なんだこの本は副島先生の著作の丸写しではないか」とすぐにわかりました。
石原慎太郎は作家で著作権の重要性は重々承知のはずなのにひどいことをするなと思いました。どこかの部分を盗作したという程度のものではなく、思想そのものを丸写しにしたという感じでしたね。
おそらく慎太郎さんは、副島先生の著作を読んでまさに「目からうろこが落ちた」思いをしたのでしょう。先生の本を読んで、日本の金融がこんなにもアメリカに好き勝手にされている現実をはじめて知って、この事実を彼の感性で書かずにはいられない。
よく解釈すればこういうことでしょう。当時ＴＶでも、彼は、「日本は、アメリカに実に巧妙にだまされている」と興奮気味に何回も話していました。
ただし、彼の本は、感情のほとばしりばかりが強く、決して論理的ではありません。とても最後までは読めません。最後まで読まなくても私は副島先生の著作をすでに２、３冊読んでいましたから、慎太郎の言いたい事は良くわかりました。しかし、先生の著作を知らずに、いきなり慎太郎の本を読んだ読者はどう感じたでしょうか。
慎太郎は当時このほかにも、子供の教育に関する本を書きましたが、これがまた東京女子大の林道義（はやしみちよし））教授の書かれた「父性の論理、父性の復権」などからの丸写し、しかも自分勝手な解釈でリライトしたような本です。
さすがにこの本の中では林教授には言及していますが。私は林先生のファンでもあったので慎太郎の本を読んですぐにわかりました。後日、林先生は、「勝手な間違った解釈でいい加減な引用するな」と憤慨しているのを何かでよみました。
慎太郎は、何かに共感したのなら、その著者なり本を紹介すればよいのに自分勝手な解釈でいい加減な本を出版するなと言いたいですね。
副島先生は私より少し若いと思いますが、同じ人間でなぜこんなに頭の構造が違うのだと少々腹がたつ今日この頃です。これからもがんばってください。
＊＊＊＊（会員＊＊＊＊）
（転載貼り付け終わり）
副島隆彦拝
[3243] 知られざるアメリカ独立への記念碑 投稿者：山田宏哉 投稿日：2003/09/21(Sun) 01:03:54 山田宏哉です。 以下、もともとはぼやき用に書いた原稿「知られざるアメリカ独立への記念碑」（約6500字）です。が、副島先生にうかがったところ、４〜５日後に掲載ということになりそうなので、こちらに掲載してしまいます。また何本でも新たに書きます。
以前は、私はぼやきに書くことに多少こだわりがありました。「十数時間かけて書いた文章をすぐに流れていく無料の掲示板に投稿するなんて、労力の無駄遣いだ」と考えていたのですが、最近、この考え方はやめました。どこに書こうと、真面目に読んでくださる方は読んでくださることがよくわかったからです。
それに、私はどうも書いた文章をすぐに発表しないで手元に残しておくと、生理的に欲求不満になります。例が例で申し訳ありませんが、射精をしないエッチみたいなものです。精子と文章を一緒にするなという罵声が今にも聞こえてきそうですが…
偉大なる才能と労力の無駄遣い、バンザイ！
［原稿ここから］
知られざるアメリカ独立への記念碑／山田宏哉
�機ダこ�史の中のアメリカ独立戦争とカギを握ったフランス
1775年4月、レッドコート（redcoats）と呼ばれたイギリス正規軍700人が動いた。植民地側がボストン近郊のコンコードに蓄えていた武器弾薬庫を破壊するためだった。
植民地側の武装した市民（1分以内で戦闘態勢に入れるという意味からミニットマンminutemanと呼ばれた）はこれに抵抗した。そしてついに、レキシントンとコンコードで武力衝突の火蓋が切られた。さらに、約4,000人の武装した市民（ミニットマン）が、イギリス軍に追撃を浴びせ、多くの損害を与えた。
植民地側は、イギリス軍が仕掛けてきたとし、イギリス軍の残虐行為とミニットマンの英雄的行為を盛んに宣伝した。
トマス・ペインThomas Paine ( 1737〜1809）は回想する。
「あの運命的な1775年4月19日以前には、わたしはだれよりも熱心に和解を希望していた。しかしあの日の事件を聞いた瞬間から、わたしは冷酷で陰険なイギリスの暴君を永久に拒否した。そして国民の父という偽りの称号を身につけて、冷然と人民の虐殺を聞くことができ、自分の魂の上に人民の血を塗って平気で眠れる卑劣漢を軽蔑しているのだ。」（『コモン・センス』 トマス・ペイン 著 小松春雄訳 岩波文庫 P56〜57）
もっとも、植民地側は軍備や物資が不徹底で、まともに戦ったのではイギリス正規軍に勝てるはずがなかった。そこでカギを握ったのがフランスの存在である。
そもそも、イギリスとフランスは、スペイン継承戦争（1700〜1713）、オーストリア継承戦争（1740〜1748）、7年戦争（フレンチ・インディアン戦争 1756〜63）などを通じて、植民地争奪戦（覇権争い）を繰り広げていた。イギリスはとりわけ、フレンチ・インディアン戦争の勝利で、フランスからカナダとミシシッピ川以東を手に入れ、アメリカ支配を決定的なものにした。
フランスにしてみれば、当然、報復の機会を虎視眈々と狙っている。逆にイギリスのジョージ3世は、植民地に対する締め付けを強化し、アメリカの「反乱」を招いた。
そのため、フランスは、ひそかに植民地軍に金銭的援助や物資の補給をした。敵の敵は味方、というわけである。そして、1777年のサラトガの戦いでの植民地軍の勝利をキッカケに、フランスはイギリスに宣戦布告する。1778年、スペインもフランスの同盟国として、フロリダの奪還を狙ってイギリスに宣戦布告。ロシアのエカチェリーナ2世もまた、イギリスに不利となる武装中立宣言を提唱し、イギリスを孤立に追い込んだ。当時のヨーロッパには、「イギリスの独り勝ちを許さない」とする力学が働いていたとしか考えられない。
もっとも、ただでさえルイ14世の浪費などで赤字が累積していたフランスの財政危機に、アメリカ独立戦争への援助が追い討ちをかけ、フランス革命（1789）の遠因を作ることになった。一見関係ないことに見えても、世界史は密接に絡み合っている。
また当時、ヨーロッパでは戦争がなかったため、失業中の職業軍人がアメリカに義勇兵としてやってきた。のちにフランス革命で人権宣言を起草することになるフランス貴族、ラファイエットLa Fayette (1757〜1834)も義勇兵として参加し、ジョージ・ワシントンGeorge Washington（1732〜99)率いる大陸軍の副官として活躍した。
1781年、ヨークタウンの戦いで、大陸軍とフランス軍は、コーンウォリス率いるイギリス軍を包囲・降伏させた。ドゥ・グラース率いるフランス艦隊は、イギリス艦隊をヴァージニアから撤退させた。こうして、戦争は事実上、植民地側の勝利で終了した。
1783年、パリ条約が結ばれ、アメリカ合衆国の独立が認められ、ミシシッピ川以東の土地も割譲された。
�供ゥ肇泪后Ε撻ぅ鵑両弖�
1776年1月、戦争中のアメリカで歴史を変える1冊のパンフレットが発表された。
トマス・ペインの『コモン・センス』。君主政と世襲など「旧世界の悪弊」を徹底的に批判し、共和政とイギリスからの分離独立を主張した。当時、約250万人と推計される人口のうち、発売3ヶ月で12万部に達し、最終的には50万部が売れたと推定されている。それまで、地方雑誌の編集に携わっていた程度の無名の人間が、一気に歴史の表舞台に登場した。
戦争初期においては、独立を支持する愛国派（Patriots）と本国に忠誠を誓う忠誠派（Loyalist）やその中間派と勢力が拮抗していた。しかし、ペインのパンフレット以後は、一気に世論は独立に傾く。それほどすごい書物である。
もともと、ペインはイギリスで織物職人の子供として生まれた。決して恵まれた生活を送っていたとは言えなかったが、そんな中、ベンジャミン・フランクリンに出会い、その勧めでアメリカに渡った。
ペインは、アメリカ独立後、イギリスに帰っている。フランス革命にも立会い、保守派のエドモンド・バークの『フランス革命の考察』（1790）に反論し、『人間の権利』The
Rights of Man（1791-1792）を書いた。ペインは、民主制のみが、人間の自然権を保証できるとして、フランス革命を擁護した。
ただし、ペインはこのため大逆罪で告発され、フランスに国外逃亡する。フランスでペインは歓迎されるが、それもつかの間。後にナポレオンの独裁を嫌い、結局再びアメリカへと渡り、ニューヨークで晩年を送っている。
なお、ペインの代表作のタイトルでもある、コモン・センス（common sense）は、普通、「常識」と訳されるが、日本語の常識とは意味が異なる。コモン・センスとは、五感を総合した共通感覚といった感じのもので、実際の経験を重視した、優れた感性なり判断力を指している。
そして、このトマス・ペインの『コモン・センス』こそは、アメリカ独立の理念そのものと言っても過言ではない。私は、当時のアメリカ人の気持ちをつかんだものとしては、むしろトマス・ジェファソンの独立宣言よりもこの『コモン・センス』を評価している。
�掘ヂ腟婪甬蕕亮臘ァ�「王の起源はギャングの親玉」
ペインは言う。
「古代の暗いベールをとり除いて王族の起源を探るなら、初代の王は行動力のあるギャングの親分にすぎなかったことがわかるだろう。かれは野蛮な手口や悪知恵にたけていたため、略奪者たちの間で首領という名をもらったのだ。そして勢力を伸ばし、略奪範囲を広げることによって、おとなしい無防備の人間を脅しつけ、身の安全を図ろうとする者からしきりに貢ぎ物を巻き上げていたのだ。」（前掲書 P35）
「イギリスはノルマンの征服以来少数の善良な王を頂いたこともあるが、非常に多くの悪王の下で苦しんできた。…フランスの一庶子が武装した盗賊どもを率いて上陸し、原住民の同意も得ないで勝手にイギリス国王になったということは、はっきり言えば非常にくだらない、卑しい起源である。」（前掲書 P36）
1066年、イングランドの王、エドワードが没すると、ノルマンディー公ウィリアムは、王位を要求して、イングランドに上陸した。 従って、「フランスの一庶子」とは、ノルマンディー公ウィリアム＝ウィリアム1世のことである。そして、王を称していたハロルド伯をヘースティングスの戦いで殺し、ノルマン王朝を開いた。これが、ノルマン・コンクエスト（Norman Conquest）である。
ウィリアム1世は、フランスから各種制度を導入してイングランドのアングロ＝サクソンたちを統治した。これが現在にまで連なるイギリス王朝の起源である。
ペインは、痛烈な皮肉を言う。
「イギリス現王統の最初の国王（ウィリアム征服王）はフランス人であった。またイギリス貴族の半数は、同じくフランスからやってきた。したがって和解論者の論法をかりると、イギリスはフランスに統治されねばならないことになる。」（前掲書 P48）
それでも、「初代の王は行動力のあるギャングの親分」であり、イギリス国王にしても、「非常にくだらない、卑しい起源」の持ち主だとする、ペインの記述は、明らかに「大逆罪」（君主を侮辱する罪）に触れるものだろう。事実、訳者による解題によれば、本書はどの新聞社からも掲載を断られ、結局、共和主義者の印刷屋から出すことになった。
もっとも、ペインは、完全な近代合理主義者というわけではなかった。注目に値することに、聖書や宗教も彼の考えを補強する大切な要素の一つである。ペインにとって、王政は唾棄すべきものだが、それは単に野蛮であるだけでなく、「悪魔のささやき」でもあるのである。
「王による統治は、異教徒が初めて世界にもたらしたものだ。そしてユダヤ人がこの風習をまねたのだ。それは偶像崇拝を盛んにするため悪魔がたくらんだ計画の中で、最も成功したものであった。異教徒は死んだ国王を崇拝した。そしてキリスト教徒の世界はこのやり方を更に進めて、生きている国王を崇拝した。今は栄光のただ中にあるが、やがては朽ちてちりになる虫けらのような人間に、神聖な尊厳（セークリド・マジェスティ）という称号をつけるとはなんたる不敬であろうか。」（前掲書 P28）
なお、ペイン自身は、クウェーカー教徒の息子だった。
�検ハ族鬚嶺�。「朕の欲する法律以外を制定するな」
もう一つ、ペインが激しく批判したのが、イギリスとの和解を主張する者たちだった。先述したとおり、ペイン以前は、イギリスに自分たちの領土を蹂躙されてもなお、和解論者と忠誠派を合わせた人々は過半数にのぼった。
しかし、ペインは、アメリカが独立を果たさない限り、「お前たちは朕の欲する法律以外のものを制定してはならない」（前掲書 P57）という隷属状態から逃れることはできないことを見抜いていた。和解は罠だった。
ペインは問う。
「最も熱心な和解論者に対して、私は挑戦する。イギリスと結びついていることによって大陸が獲得できる利益があるなら、その１つでも示してみよ、と。」（前掲書 P48）
「しかしイギリスとの結合から受ける損失や不利益は測りしれない。われわれ自身に対する義務感が、そしてまた人類一般に対する義務感が結合をやめよ、と教えている。なぜならいささかでもイギリスに従属したり、依存したりしていると、大陸はただちにヨーロッパの戦争や紛争に巻き込まれるからだ。そればかりではない、本来われわれに友好を求めている国民と、またわれわれが怒りも不満も抱いていない国民と不和になるからだ。ヨーロッパはわれわれの貿易市場なので、どの国とも偏った関係を結ぶべきではない。ヨーロッパの紛争に巻き込まれないようにするのが、アメリカの真の利益だ。」（前掲書 P49）
これが、ペインの結論である。見事なまでに、筋の通った主張である。
また、ここに「外国の争いごとに関わるべきではない」というアメリカ伝統の孤立主義が提言された。これは、後のアメリカ大統領、ウッドロー・ウィルソンが「正義は平和より大切である。デモクラシーのために戦わなければならない」として、第1次世界大戦に参戦するまで、アメリカ外交の基本とされた。
�后ァ屮灰皀鵝Ε札鵐后廚陵很鵑箸靴討瞭販�宣言
1776年7月4日、大陸議会は独立宣言を採択した。トマス・ジェファソン Thomas
Jefferson (1743〜1826)が起草した格調高い宣言である。曰く
“We hold these truths to be self-evident，all man are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable Rights, that among these are Life, Liberty, and the pursuit of Happiness. That to secure these rights, Governments are instituted among Men, deriving their just powers from the consent of the governed. That whenever any Form of Government becomes destructive of these ends, it is the Right of the People to alter or to abolish it , and to institute new Government, laying its foundation on such principles and organization its powers in such form, as to them shall seem most likely to effect their Safety and Happiness.“
（我々は、以下の真理が自明であると信じる。すべての人間は平等に創られ、我々は創造主によって、生命、自由、そして幸福の追求を含む、譲れない権利を与えられていることを。 これらの権利を保障するために、人々のあいだに政府が設置され、その権力基盤は、被支配者の同意から引き出されるものであることを。もし、どんな形の政府であっても、これらの目的を破壊する場合にはいつでも、政府を改革あるいは廃止し、最も人々に安全と幸福をもたらしそうだという原理に基づき、新しい政府を設置する権利があることを。）
教科書的に記述するなら、このアメリカ独立宣言の思想的起源は『統治論二篇』などを著したイギリスの思想家、ジョン・ロックJohnLocke (1632〜1704)にあるとされる。ロックの思想が革新的だったのは、君主と人民は契約関係にあり、もし君主が人民の権利を侵したならば、人民の側にも契約を解消する権利があると考えたところだった。これは、いわゆる「社会契約」の考え方である。ロック以前は、君主がよかろうと悪かろうと人民の絶対服従は当然のこととされていた。
もっとも、ペインもまた、「社会はわれわれの必要から生じ、政府はわれわれの悪徳から生じた」（前掲書 P17）と鋭く理解していた。
独立宣言は、「現在のイギリス王の歴史は、たび重なる侮辱と権利侵害の歴史である。」としてジョージ3世の悪行を次々と列挙し、結論として独立を宣言する。歴史に輝く金字塔である。
それでも、である。私は、独立宣言よりも、ペインの「コモン・センス」の方が、私たちの胸を打つものだと断定したい。
世界史を習った人であれば、誰しもトマス・ペインと「コモン・センス」の名前くらいは、知っているだろう。ただ、実際に中身を読んだ人はほとんどいないのではないだろうか。実際、日本ではトマス・ペインは独立宣言のお膳立をしたというくらいの扱いで、不当といっていいほど低く評価されている。世界史の教科書や概説書においても、軽く触れられる程度の存在に過ぎない。
だが、実際にアメリカ人を独立へと付き動かしたのは、「コモン・センス」なのである。その分、本音で力強くものを言っている。むしろ、独立宣言の方が、コモン・センスの要約版、と言ってもいいくらいだろう。
「コモン・センス」は、現代の私たちにとっても、十分に読み応えのある内容になっている。不朽の名著であり、知られざるアメリカ独立への記念碑である。
そして、アメリカ独立宣言から200年以上の歳月を経た現在、未だに日本は、実質的にアメリカからの独立を果たしていない。「今こそ決起せよ！」 私たちがペインの思想から学ぶべき点は多い。（了）
［原稿ここまで］
山田宏哉記
[3242] ここは東京ですが、 投稿者：沼（１４３９） 投稿日：2003/09/20(Sat) 13:04:17今（午後一時ちょっとすぎ）、ちょっとした地震がありました。これは、例のやつなのだろうか？
[3240] 預金封鎖が全国で品切れです 投稿者：SNSI・副島隆彦事務所（アルルの男・ヒロシ） 投稿日：2003/09/17(Wed) 16:40:05『預金封鎖』（祥伝社）が全国の書店で品切れになっているという声がメールで届いております。（貼り付け開始）
副島隆彦さま
＊＊に住んでいる＊＊と申します。この1週間くらい、なんとなくぶらぶらと立ち読みしながら、預金封鎖を求めて＊＊中心街の書店を数件回りましたが、一冊も見かけません。それで、2日前に、よく利用する e-hon というネット書店で購入を申し込みましたが、品切れという通知がたった今届きました。
残念ですが、うれしくも思いました。ただ、そもそも北海道では売ってないのかと不思議に思います。もちろん、ベストセラートップ10などには全然顔を出していません。
（貼り付け開始）
この度は、「ｅ−ｈｏｎ」にご注文いただきまして、誠にありがとうございます。
恐れ入りますが、下記の商品につきまして出版社に取り寄せの手配を行いまし
たが、現在品切れのため、お取り扱いできませんでした。
つきましては、誠に勝手ながらご注文を取り消しさせていただきました。
お待ちいただいたにも関わらず、ご期待に添えず大変申し訳ございませんでした。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
お受取方法：書店 お支払い方法：書店支払い
My書店：ＢＭブッククラブ＊＊店
注文メモ：
──────────────────────────────────────
対象明細 1点 1冊
注文番号：042873288
注文日時：2003年9月11日21:46
書 名 ：預金封鎖 「統制経済」へ向かう日本
著 者 名：副島隆彦／著
出 版 社：祥伝社
本体価格：1,600円
注文冊数：1冊
（貼り付け終了）
アルルの男・ヒロシです。
あるオンライン書籍販売サイトでも12日待ちということです。また新しい情報が入りましたらお知らせします。この書籍の縁の下の力持ちとして、金融メモ掲示板が役立っているので、金融メモのほうもぜひ皆さんご参照ください。
http://soejima.to/boards/bbs.cgi?room=91k121
[3239] 地震についての学説_テスラコイルさんへレス 投稿者：西下古志 投稿日：2003/09/17(Wed) 10:17:32 副島隆彦先生の愛読者です。一昨日には「岡田英弘歴史掲示板」にも投稿させていただきました。
3237のテスラコイルさんのご質問に情報提供のかたちでお答えします。
ご質問の「学説」は、私設の八ヶ岳南麓天文台の台長、串田嘉男氏が唱えているものです。ただし、「地球を覆う電磁気の異常で地震が起きる」というのではなく、テスラコイルさんが言われているように、「地殻の変動が地磁気の異常として観測される」という考え方に近いもの、つまり、電磁気の異常で、ではなく、地殻の変動で電磁気が、ということだと思います（わたくしは理科系ではないので、ことばの使い方が正確ではないかもしれません）。
ここ数日の騒ぎ――9月16日/17日±2日、南関東にマグニチュード7.2±0.5の地震が発生する確立が60�諭△箸いΧ�田氏の予測が『週刊朝日』9月19日号で報道されて以来の騒動――については、 2ch＠臨時地震板
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/8896/index.html
が要領よくまとめております。ここからのリンクで、串田氏の意見をはじめ、ほとんどの情報を入手できると思います。
今回のこの「地震予知」騒動は、首都圏に大地震が起こる、とこれまで年中行事のようにくりかえされてきた事態とは、少し様相が違ってきていると思われます。一つには、元文相の有馬朗人氏らが呼びかけ人となって、アカデミズムに所属する研究者たちが集まって緊急の討論会が開催され、一アマチュア天文家が収集したデータと意見について分析がおこなわれ、いくつかの大学ではすでに串田氏の方法論で観測・分析がすすめられていること、またもう一点として、「２ちゃんねる」を中心として、この地震予測について大量の意見交換がおこなわれていること、以上の２点は、これまでの「地震予知」騒動には見られなかったあたらしい状況だと言えます。
以下、関連サイトです。
八ヶ岳南麓天文台
http://www.yatsugatake-eorc.org/yochi/index.html
八ヶ岳南麓天文台地震前兆観測研究センター公開実験参加者「ＥＰＩＯ応援班」
http://epio.jpinfo.ne.jp/
[3238] 随想：朝まで踊る女性たち 投稿者：山田宏哉 投稿日：2003/09/17(Wed) 01:02:02 山田宏哉です。 どうにも私は、資料を駆使した硬い文章を書いたあとは、自分の経験に基づいた、表現力だけが勝負の文章を書いて発表しないと、うまく自分の中でバランスがとれません。だからと言って、手を抜いているわけではないです。
一見、ただの娯楽体験記のような内容でありながら、注意深く読めば、現代社会の問題の一端を記述していたり、暗示していることに気付いてもらえるはずです。さらに、私の文体や表現力そのものにも注目していただければ、言うことはありません。
実のところ、専門的知識や学問的知識に頼らずに、他人を引きつけるものを書くというのは、なかなか容易なことではありません。感性と人間観察力と表現力だけが頼りです。
今回はそれに挑戦してみました。
随想：朝まで踊る女性たち／山田宏哉
夜11時、六本木。異常に高い外国人比率。不用意に他人と目を合わせるわけにはいかない。拙（つたな）い日本語をしゃべる金髪の女性が、酔っ払った日本人男性と腕を組んで歩いていた。
僕は、赤レンガの建物の階段を下った。そこが入り口だ。この店に来たのはこれが3回目だった。天才肌の友人のライブ（生演奏）を観にきた。
「カッコいいね」。そう言って友人が迎えてくれた。僕は、靴から上着まで、すべて黒一色で統一していた。
受け付けで名前を告げて、入場料\1,500を払うとチケットが渡される。薄暗い店内はすでに客でいっぱいだった。
店内は狭く、30平方メートルくらいの場所に50人前後が詰め込まれている。絶え間なく大音量でロックが鳴り響く。こういう場所で気後れしないためには、場数を踏むしかない。
僕は、人を掻き分け、カウンターでチャイナ・ブルー（お酒の名前）を注文した。お酒はどれも千円札と引き換えに、数枚の百円硬貨が戻ってくるくらいの値段に統一されている。
思っていたより女性の比率が高かった。おおよそ、男女比３：１くらい。年齢的には20代前半が中心だろう。意外にも、日焼けサロンで肌を焼いたような女性は皆無だった。髪は黒かそれに近い人が多い。
彼女たちが昼間、どこで何をしているのかほとんど想像がつかない。興味はあったが、その場で聞くような雰囲気にはなかった。
友人は僕にさる女性を紹介した。
2人の仲がよさそうだったので、以前からの知り合いかと思ったが、彼女に聞いてみると、友人とは「今日知り合った」ということだった。思わず僕はふきだした。あとで、僕は彼女の手を取って少し踊った。もっとも、僕の踊りが下手だったせいか、すぐに彼女は去っていってしまった。
ここでは一切の社会的属性が剥（は）がされる。とにかく、音楽（ロック）に合わせてカッコよく踊ることが正しい。 アイ・コンタクトとダンスだけで誰とでも仲良くなれる。他には何もいらない。言葉でさえいらない。
僕がテーブルにもたれかかっていると、別の女性が一言も発さず脇にカラダを密着させてきた。さして、悪い気はしなかった。しばらく音楽に合わせて彼女と踊ったり、手拍子を叩いたりしていた。
この間、お互いに一言も発していない。もっとも、音量が大きいので、声を出してもほとんど聞こえない。お互いがどこの誰で、どういう人間なのかも知らない。もちろん、だからと言って不都合はない。ここはそういう世界だ。
とにかく、僕もまた彼女たちと一緒に朝まで踊り続けた。総じて、女性の方が男性より元気なくらいだった。
もっとも、社会的に言えば、夜中にクラブで踊り続けるなどというのは、「夜遊び」であることには違いない。彼女たちの両親が知ったら、あまりいい顔はしないだろう。その意味で、彼女たちを普通の女の子と呼ぶのには語弊がある。
ただ、こういう場所に来る女性が性格的に積極的（外向的）であることだけは間違いない。テンションの高さは、平均的な日本人女性のはるかに上を行く。誤解を恐れずに書いてしまえば、たぶん彼女たちの多くは誘われたがっている。ただし、いい男限定。
もっとも、後で知ったことだが、ここに来る人たちに学生はほとんどいないそうだ。「学生だと肩身が狭いよ」。友人が口にした。男だと運送会社、女だと昼間は普通にバイトをしている人が多いそうだ。「高校教師の給料じゃ、一生ポルシェに乗れないよ」とぼやいていた高校の数学教師も来ていた。
「意外にも、ここは普段、地味な仕事をやっている人にとっての晴れの舞台だったのか」。そんなことを考えながら、僕は六本木を後にした。空はすでに明るかった。（了）
山田宏哉記
<追記>次はまた硬いのを書きます。文句を言われないうちに…
[3236] 文章修業の要諦は「丁寧でわかりやすくかつしつこく」 投稿者：ワーカーズの直 投稿日：2003/09/14(Sun) 11:52:55ワーカーズの直です。
いつも時間がない中で原稿を書いているのですが、今日は時間に余裕があったので、「ワーカーズトップページ」に貼り付けている「自民党崩壊のカウントダウンがはじまった」の記事を、文章修業の要諦は、「丁寧でわかりやすくかつしつこく」の観点から、訂正加筆致しましたので、貼り付けます。（貼り付け開始）
自民党崩壊のカウントダウンが始まった
橋本派の分裂
九月九日、自民党の野中広務元幹事長（衆院京都四区）は、東京都千代田区の自民党本部で緊急会見して、「今期限りで政界を引退する」ことを表明した。
野中氏は、同党総裁選に関連して、自らも所属する橋本派主要幹部らが、小泉純一郎首相支持に回ったことを厳しく批判した。そして、同派の分裂も辞さない強いとの決意を示した上で、引退理由については、「自ら退路を断たずしてこの闘いはできない」と述べ、小泉政権の存続阻止のために、「燃焼し尽くしたい」と強調したのである。
この野中氏の発言は、総裁選だけでなく、今後の政局にも影響を与える可能性も否定できないものの現時点では、橋本派が実際に分裂するかどうかは不明である。しかし、派内の対立は、誰が見ても決定的になったといえる。それにしても、橋本派と名乗りながらも橋本会長の存在感のなさは、今激突している野中氏と青木氏に比較すべきもないというのは、まさに特記するに価することではある。
さらに、この記者会見の中で、野中氏は、今回の総裁選で橋本派が分裂したことについて発言し、「目先のポストに惑わされているような仲間がいるのはむなしい」と前置きした上で、自らの引退を、「ポストや誘惑に踊らされる政治家に対する警告」とも表現し、橋本派主要幹部が、会長に断りもなく筋も通さずに、相次いで小泉首相支持に回ったことを、口を極めて批判した。
とりわけ、同派の青木幹雄参院幹事長が、小泉首相の推薦人になったことについて、「愕然とした。理念も哲学もなく、参院の権力構造の中で揺れ動いている」と野中氏は論難した。ついで村岡兼造会長代理についても、「（派としては）手順を踏んで藤井孝男氏を選出したはず。政治家として許すことはできない」とその政治姿勢を、野中氏は、厳しく糾弾し、その上で、総裁選への対応については、「『我、闘うべし』との決意を改めて持ち、最後の情熱と志を小泉政権を否定する最大の闘いに燃焼し尽くしたい」と野中氏は発言を締めくくったのである。
この発言の中で、野中氏は、九月七日、亀岡市で開いた地元議員の集会において、次期総選挙に向けて励まされたことにも触れ、「選挙区の皆さんのことを考えると断腸の思いだが、あえて退路を断ち、藤井氏勝利の力になりたい」と話した。また、自らの後継者選びについては、「手続きに乗っ取ってやる。世襲はしない」と述べたのである。
この激烈な野中氏の批判に対して、村岡氏は、「自分の発言や行動はよくて、人が言うのは悪いというのは賢明な野中氏のやり方ではない」と反論し、青木氏は、「急に聞いたことで驚いている。今はノーコメント」と述べ、小泉総理は、「反小泉を貫きたいというのなら止めない方法もある」と至極当然の正論を吐いている。
こうした展開で私たちは、佐藤派・田中派・竹下派と続いてきた国内利権の最大派閥である橋本派が、事実上分裂したと確認できるのである。
大づかみに言うなら、ソ連崩壊による冷戦構造の変容はアメリカ主導のグローバリゼーションとして全面的に展開されてきたが、このアメリカの「規制緩和」「市場開放」を要求する対日圧力は、業界と骨がらみの利権体質と各種の規制で保護し続けてきた護送船団方式に象徴された国内利権政党であり、官僚制度と癒着し人材供給源とする国家戦略なき行政党としての自民党の背骨を、ついに打ち砕くことに成功したと言うことなのである。
野中氏の敗北
では、「今期限りでの引退」すると明言し退路を断った野中氏の闘いを、私たちは、一体どのように評価するのか。彼は小泉再選を阻止できるのであろうか。
言うまでもなく、政治家としては遅咲きの出発の野中氏は、それまで親分としていた小沢氏と対決したため、九三年に成立した細川政権下で、国会議員として初の野党体験を経験するという屈辱を味わった。細川政権の実力者であった小沢一郎の社会党切り捨ての強行という判断ミスに乗じて、九四年、自民党は村山社会党党首を首班に据えることで政権復帰に成功した。
この時、野中氏は、自民・社会・さきがけ三党による反米民族政権の性格を持つこの村山連立政権の樹立に深くかかわり、その功績により自治相として初入閣した。
その際、「私は竹の子の皮を一枚一枚はぐように政治の道を歩いてきた」と語ったが、これ以降も、政界において重きを為して、小渕内閣では官房長官、森内閣では党幹事長と自民党の要職に就いて、検察・警察畑に通暁し、日本のＣＩＡ長官、「影の総理」とも言われてきた。ここで、私には、副島氏の『テロ世界戦争と日本の行方』の中に、「野中広務ドラキュラ論」があったことが思い出される。
その後の自民党政権の危機に当たっては、野中氏は、旧竹下派の分裂で敵対した自由党の小沢一郎党首に「ひれ伏してでも」と自自連立政権の樹立に尽力したり、創価学会とのパイプを生かし、公明党の連立参加に道を開くなど、その機略縦横の活躍・実力者ぶりは、政界でも一段と際立っていた。
前回の総裁選挙において、盤石と考えられていた橋本氏が小泉氏に乾杯した時点で、野中氏の絶頂は終わったのだ。野中氏は引退したも同然になり、一の子分の鈴木宗男の逮捕もそれに輪を掛けた。野中氏に対する警告としての側面がある鈴木逮捕でもあった。最近、この子分は釈放されたが、この間の子分の力不足は大きな痛手であった。対米抵抗勢力の雄と持ち上げられてきたものの野中氏の地盤低下は、こうした動きを見ても明かである。
だからこそ、今回の党総裁選では、野中氏は、自らの失地回復のために、まず反小泉の統一候補として掘内氏の擁立を追求した。それが不可能になるや、次に古賀氏を使って丹羽氏を担ぎたすことを画策したが、それが不調になると、橋本派を一本化して藤井氏を候補者に仕立てることになった。しかし、この最後の策としての一本化は、青木氏や村岡氏らの今回の分裂行動によって頓挫してしまったのである。
こうして、今回の悲壮な決意での野中氏の闘いは、京都政界・中央政界に大きな影響を与え続けてきた政治家の全政治生命をかけた最後の闘いとなってしまったのである。
しかしながら、実際の所は、橋本総裁の当選を果たせなかった時点から、野中氏は、すでに「死に体」と評価されるべきであったのである。
以下のような事実がある。
アメリカは、日本に何か要求があったときは、自民党の有力メンバーを、東京・虎ノ門にあるアメリカ大使館に呼びつけるという。
五月一三日、ハワード・ベーカー大使は、「りそなへの公的資金投入」を要請するとき、中曽根元総理と古賀前党幹事長と森元総理を、大使館に呼びつけ、「小泉首相の言うことをよく聞いて、彼に協力せよ」と厳命したという（副島隆彦氏『預金封鎖』三〇頁）。このような重要な席に、すでに野中氏は、呼ばれなくなってしまったのである。
最近は、対米自民党抵抗勢力の雄として、ブッシュ・小泉の「戦争法案」に退席するなどの抵抗をしていたが、出来たことはそれ位で、彼自身無力さを感じていたことであろう。
ましてや、園部町議から党幹事長、官房長官などを歴任し、その辣腕ぶりから「影の総理」とまでささやかれた野中氏である。その無念さも尋常一様ではなかったであろう。
自らの戦争体験からえた信念として、市田共産党書記長にも評価された野中氏の国会退席の行動ではあったが、自民党の大勢を変えるものでもなかった。だから、今回の「最後の情熱と志を小泉政権を否定する闘いに燃焼し尽くしたい」との野中発言は、すでに刀折れ矢尽きた自己の戦略の万策尽きた最後の選択として、信念である反小泉の政治姿勢を示すことしか出来なくなった野中氏の強がりであり、自分を納得させるための言動なのだと評価する他はない。自分の思い通りに物事が進展していくときに退路を断つ馬鹿がどこにいるだろうか。
人情紙のごとき日本政界にあって、かっての実力者から最後のお願いだと頼まれたとしても、引退する人に義理立てするほどのお人よしがいるであろうか。ここにおいて、野中氏は、大きな判断ミスをした。自らの退路を断つとは、人に告げることではなく、自分にのみ言えばよいことである。小泉再選阻止の展望はないのである。
現実とは冷徹なものだ。国内利権構造と北朝鮮利権構造の頂点にある野中氏は、ブッシュの後押しがある小泉総理と闘えないことは、まったく明らかである。
こうして、「ブッシュ・小泉再選同盟」によって、日本の構造改革を「最終コーナー」に追い込むという戦略は、橋本派を分裂させた。そして、国内利権政治家としての野中氏は敗北し政治生命を絶たれたと確認できるのである。
総裁選の行方と今後の展望
事ここにいたり総裁選挙の行方はすでに明かである。したがって、ここで紙面を必要以上に費やし縷々書いていく必要はないであろう。
確認できるように、橋本派や宏池会の流れを引継ぐ掘内派も分裂状況であり、派閥の統制は、すでに利かなくなっている。数少ない江藤・亀井派からも今回の派閥の行動への批判から、脱落者が出ている。また、当選の見込みのない亀井氏の立候補は、派閥を継承するための通過儀式であるとの冷ややかな見方も、現実にあるのである。
派閥のボスから貰う軍資金の多寡が当選を決した時代から、政党助成法による政治家への税金支給や「失われた十年」によるゼネコンの衰退による建設業界の衰亡は、土建屋国家としての日本と利権集団としての自民党と各派閥の利権構造を痛打している。かくて派閥の存在意義は、このように低下し続けていく一方なのである。
したがって、三六七票の議員票の過半数を小泉総理は取るであろう。そのための小泉陣営による各総裁候補の票の切り崩しも、今後激化するであろう。
三〇〇票の地方票もすでに小泉総理は過半を抑えたと言うが、この動きも当然の流れとしてもっと進むであろう。
ここで毎日新聞の最新報道を引用する。
このうち議員票について、毎日新聞は、議員本人に投票行動を聞く一方、各陣営などへも取材したところ、小泉首相は、森（６０人）、山崎（２７人）、旧加藤（１４人）の主流３派の基礎票１０１票に加えて、首相再選支持を決めた河野グループ（１１人）、派閥に属していない議員（１９人）から計約２０票を確保。さらに、「分裂選挙」となった橋本派（１００人）からは参院橋本派を中心に５０票前後、堀内派（５１人）から少なくとも３０票程度を獲得できる状況となり、支持を一段と広げていることが分かった。
まだ対応を決めていなかったり、態度を明らかにしていない議員が、なお約４０人残っているが、この中にも首相支持を検討している議員が相当数含まれており、小泉首相は最終的に６割（２１５票）を超える議員票を獲得する可能性が強まっている。
これに対し、亀井氏は江藤・亀井派（５９人）の８割近くをまとめたが、他派閥への支持の広がりは見られず、議員票では橋本派の対応が割れた藤井氏との２位争いの展開になっている。高村氏は堀内派の一部に支持の動きがみられるが、２０票を大きく上回るのは困難な見通しだ。
地方票に関しては、都道府県連ごとに、幹事長や事務局長などの幹部、建設業などの職域団体幹部、議員秘書など複数の関係者に予想得票数を聞き取る形で情勢を調査した。
この結果、小泉首相は、山形、和歌山、鹿児島の３県で各県の持ち票を総取りし、岩手、石川、島根でも７割を超える票を獲得すると幹部らは見ており、地方票も６割程度を押さえそうな勢いだ。２位は地元広島と宮崎で優位に立っているとみられる亀井氏がつけているが、この情勢調査では、地方票でも小泉首相に大きく引き離される状況となっている。
［毎日新聞９月１４日］
この毎日新聞の今後の展開の予測に大きな間違いはないであろうと私は考えている。
また注目もされておらず、ほとんど言われていないことでもあるが、今進行している株高は、確実に、小泉総理に対する百万の援兵となる現実性がある。
副島氏の最新刊の著書『預金封鎖』から引用する。
●株高は地方銀行救済の目的もあった
そこで話しを戻すと、なぜ今春から日米の株価が高くなったのかというと、それは政治的に今のうちにつり上げておいて、日本の金融機関、特に地方銀行を救済しようという目論見があるからだ。
（『金融封鎖』一三八頁）
副島氏の本のこの部分を敷衍すれば、日本政府は、地方銀行が他に運用先がないから仕方なく買い込んでいる日本国債を、今のうちに処分させて、その資金を株式投資に回させ、利益を確保させてやろうとしているのである。
こうした地方銀行保有国債の一部「損きり」をさせてでも地方銀行の危機を回避させるとの緊急避難的な要素が、今回の株の政策的なつり上げの背後に見られると副島氏は指摘している。
そうであればこそ、地方票も、小泉総理がますます集めることになるであろう。
小泉が当選するのは、ほとんど間違いのないことだが、今後の展望としては、よく見えないところがある。
言うまでもなく、新民主党の誕生による政権交代の現実性についてである。
自民党の派閥政治は終わった。こうして自民党は崩壊に向かってカウントダウンを始めたといえるが、総選挙で直ちに敗北すると断言できるものでもない。
この政権交代が、どのくらいの可能性を秘めているかは、九月二〇日の総裁選挙に到る過程の中で明らかに成るであろう。もちろん新民主党の闘い方も大いに関係することでもある。
すでに首都圏でも、千葉・神奈川・埼玉の三県知事と石原都知事の四人が、そもそも自民党の知事ではないのだから、総裁選挙の中で論議され新総裁の選挙公約となる自民党の各「政策」が、有権者にとって、魅力のないものだというのなら、政権交代も大いに現実性のあるものだといえる。
私たちもこの総裁選挙に注目するとともに、自民党崩壊のカウントダウンを早めるために、あらゆる場面を通じて、自由で独立した労働する諸個人の共同社会の実現をめざすべきだ、評論家としてではなく自ら政治的主体者として行動しようとの訴えを、うまずたゆまず着実に行っていこうではないか。（直）
（貼り付け終了）
http://www.workers-2001.org
[3235] ビデオの音声につきまして。 投稿者：ＳＮＳＩ副島隆彦事務所（アルル） 投稿日：2003/09/14(Sun) 11:26:00 いま、お申し込みいただいている、『６時間連続講演』（早稲田大学）のビデオの音声につきまして、お問い合わせ が来ておりました。（貼り付け開始）
会員番号 ＊＊＊＊番です。 ６時間連続講演ビデオを早速郵送していただきありがとうございます。 ３倍モードでの録画のためでしょうか、音声が聞き取れない部分がおおくて困惑しております。 これ以上の音声の改善は不可能でしょうか。
（貼り付け終わり）
確かに、『金融鎖国』講演会の時よりも、マイクの音声がクリアーに収録されておりません。これは、マイクセッティングの問題もありまして、次回以降は改善していきたい強く感じております。
ただ、雑音のない部屋で集中してみていただいたり、ヘッドホンやイヤホンを使ってご鑑賞していただければ、ほとんど支障はないと存じます。
ＳＮＳＩビデオの収録スタッフは他の人の講演会のように、「専門の業者」には、頼む余裕がありません。その点を何とかご理解ください。
ですので、ビデオをご注文のときには、「他の作品よりも音声は聞きづらい」ということをご理解していただけますようにお願いします。
[3234] ハウス大佐ほか。 投稿者：アルルの男・ヒロシ 投稿日：2003/09/14(Sun) 09:37:07山田ひろや氏のエッセーに追加する情報です。
エドワード・ハウス「大佐」は、国際金融資本が、当時のアメリカのウィルソン大統領にあてがった、スピン・ドクターのようなものだったということが、Ｊ・パーロフの著作や、ＦＤＲの娘婿の、カーチス・ドール氏（リンドバーグ支持派）の著作『操られたルーズベルト』に描かれています。ここでは、前者から引用します。フィリップ・ドゥルーという小説こそ、ウィルソン政治を規定した「マニフェスト」（今流行の言葉）でしょう。しかし、この小説、ハードカバーしか出ていないので高いですね〜。（引用開始）
ウィルソンとハウス
＜ウィルソン大統領のための「洗脳講座」＞
一九二二年にウッドロー・ウィルソンが大統領となった。彼の著書、“the New Freedom”が同年出版され、そのなかで彼は言っている。
「商工業分野における合衆国の最も偉大な人たちのなかには、何かを恐れている人たちがいる。彼らは非常に組織化され、陰険で、油断がなく、手を握り合って、完壁な、どこにも浸透している勢力がどこかにいるので、それを非難する話の時は声を出して話さないほうがよい、と知っている」
ウィルソンはこの勢力を知っていた−しかも詳細に。彼の前任者、共和党の大統領ウィリアム・ハワード・タフトは中央銀行に反対で、それを提案する法案には拒否権を使うつもりだと言った。このために、国際銀行家たちはタフトを従順な候補者と交替させようとした。ウッドロー・ウィルソンは、プリンストン大学総長から一九一一年にニュージャージー州知事に、一九一二年には民主党大統領候補被指名者に急変身した。彼の有力資金後援者はロックフェラー系ナショナル・シティ・バンクのクリーヴランド・ドッジ、クーン・ロェブ社のジェイコブ・シフおよびバーナード・バルークであった。
ある目撃者によれば二九一二年にバルークがウィルソンを、まるで紐につないだプードル犬のように引っ張ってニューヨークにある民主党本部に連れてきた。ウィルソンはそこに集まっていた指導者たちから「洗脳講座」を受け、その間に彼はもし当選すれば次のことを実行することを原則的に同意した。
●提案された連邦準備制度を支持する
●所得税を支持する
●ヨーロッパで戦争が勃発したら、勧告に耳を貸す
● 誰を閣僚にすべきかについて勧告に耳を貸す
世論調査の結果・現職のタフト大統領がプリンストン大学出身のぎこちない教授よりも明らかに人気があることがわかった。そこで共和党の票を分裂させるため、支配階級は進歩党公認候補のセオドア・ルーズベルトを支持して金を出した。JＰモルガン商会がルーズベルトの選挙運動資金の後ろ盾であった。作戦は成功した。共和党の票はタフトとルーズベルトに割れ、ウッドロー・ウィルソンが選挙人選出の一般投票の四ニパーセントで大統領になる。
大統領任期中ウィルソンは国際銀行業界の隠れ蓑的看板役エドワード・.M・ハウス大佐（ハウスは軍務に服さなかったので彼の称号は名誉的なものであった）に絶えず指導された。大統領の首席顧間として彼はハーパーズ・ウィークリー誌から、ハウス大統領補と呼ばれた。二人の関係はそれ程親密であったのでウィルソンはハウスについて次のように言っている。
「ハウス氏は私の第二人格である。彼は私の独立した自我である。彼の思想と私の思想は一つのものだ。もし私が彼の立場にあったら、彼が提案したとおりのことをするだろう。……誰かがもし、彼がどんな行動を取ろうとそれによって私の意見を反映しているのだと考えるなら、勝手にそのように決めてもらっても結構だ」
ハウスの注意深い監視の下に、ウィルソンは手筈どおりうまくやった。ハウスは内閣をお手盛りで組織したといわれた。ウィルソン内閣の初めての閣議でフランクリン・K・レインが自己紹介して言った。「大統領、私の名はレインです。わたしは内務長官だと思いますが」と。
ウィルソン就任第一年目の一九二二年、所得税と連邦準備制度が誕生した。もっとも前者のほうは彼の就任よりわずかに早かったが。ハウスの伝記作者チャールズ・シーモアの言によれば大佐は連邦準備法の「隠れた守護天使」であったという。この立法が成文化され議会で巧みに運ばれているあいだ、彼は規則正しくポール・ワーバーグと連絡を取っていた。
＜ハウス大佐のゆるぎない信念＞
ウィルソン大統領の顧問への依存度から考え合わせると、ハウスの信念について何らかの知識を持つことはためになるであろう。今一人の伝記作家アーサー・D・ハウデンによるとハウスは次のように信じていたという。
「十八世紀精神の所産で、半ば古典的かつ中世的な共和政体概念を持つ憲法は全く時代遅れであり、もし憲法を廃棄するか書き直すことができるなら、国の状況はもっとよくなるであろうと。しかし現実主義者として、政治教育の現状においてはこれは不可能であることを彼は知っていた」
ハウスは小説を書き、一九二一年に、“Philip Dru:Adimisitrator”と題して匿名で出版した。後年この書は彼自身の著書であることを認めた。小説のヒーロー、フィリツプ・ドルーはアメリカを統治し種々の急進的変革を導入する。それらのなかに累進所得税と中央銀行がある。
ジョージ.ヴィアレッグが著、”The Strangest Frendship in HIstory”(一九三二年出版)のなかで、“Philip Dru:Adimisitrator”、について述べている。
「この書から、われわれの生活に大変革をもたらした指令が出てきた。ウィルソン政権は大佐の思想を創作から歴史へと移した」
驚くべきことだと思われるかもしれないのは、登場人物のフィリップ.ドルーが彼の言う、「力ール・.マルクスが夢想した社会主義」を実現しようとしたことである。このことは、所得税と中央銀行業務がともにマルクスによって、その『共産党宣言』のなかで要求されていることさえわかれば辻棲が合ってくる。『共産党宣言』は共産・王義国家を樹立するのに十項目計画を立案した。その第二項目は「苛酷な段階的もしくは累進式所得税」であり、第五項目は、国家資本と排他的独占権を持っ国営銀行によって、信用を国家の権力下に集中すること」であった。
こうして一九一三年に、アメリカはマルクスの教えのうち二つを採用した。これは必ずしもハウスとウィルソンが共産主義者であることを意味しないが、それでも金融資本主義がその正反対だと思われているイデオロギーと非常に多くの共通点を持っていることを、今一度証明しているものといえる。
第一次世界大戦と国際連盟
＜戦争に込められた二つの狙い＞
“Philip Dru:Adimisitrator”のなかで具体的に指摘されている今一つの目標は「国際連盟」である。もちろん正確にはこの名は一九一九年パリ平和会議においてウッドロー・ウィルソンの提案で創られた世界組織に与えられた名称であった。ちようど一九〇七年恐慌が中央銀行を正当化する方便に使われたように第一次世界大戦は世界政権を正当化するのに使われた。ウィルソンの選挙運動後援者を含む多数のアメリカ金融実業家たちが、戦争で利益を得たことは間違いなく真実である。大統領はバーナード・バルークを議会からは絶対に承認されない役職である戦時工業委員会委貝長に任命した。その資格でバルークは合衆国の経済権力者となり、国の企業に独裁的権力を持つようになった。彼はロックフェラー同様、戦争で約二億ドルを手にしたといわれる。ウィルソンの最大後援者クリーヴランド・ドッジは連合国に軍需品を船積みし、J.P.モルガンはそれら諸国に数億ドルを貸しつけた-もちろん合衆国の参戦がそれを保護するのに役立った。
しかし利益のみがわが国の参戦を支持する唯一の明白な動機というわけではなかった。宣戦布告のかなり前に、平和を確保するために世界政権をという思想がアメリカで宣伝されていた。一九五〇年代に、合衆国政府調査官が一極世界支配・王義の長年の推進者である有力な力―ネギー国際平和基金（アルルの男・ヒロシ注：ロバート・ケイガンはここの研究員である）の古い記録を調べた。彼らは、第一次世界大戦勃発の数年前に力ーネギー財団の理事たちが、世界政権のお膳立てをするため広域戦争に合衆国を巻き込みたいと望んでいたことを発見した。
戦争に引きずリ込め!
一九一七年以前はアメリカはヨーロッパの戦争を避けていた。ジョージ・ワシントンが告別の辞で紛糾を与える外国との同盟に反対して国民に警告した。この上なく幸いなことにこの忠告はアメリカ国民の心に刻まれていた。国民のうち何百万かは海外における圧制を逃れてわが国に渡来したもので、当然誰も原因の暖昧な戦争を戦いたくはなかったのである。したがって挑発となるような事件を考え出す必要があった。はしなくもこれが、ニューヨークから英国へと航行中の英国の大西洋航路定期船ルシタニア号をドイツ潜水艦が撃沈したことで出来した。乗船していた百二十八人のアメリカ人が死に、この惨事が他のいかなる事件にもまして合衆国における反独感情をかき立てるのに使われた。
しかしながらある事実が国民には秘匿された。英国の作家コリン・シンプソンの作品、“The Lusitania”のおかげで今日では真相の大半が明らかになっている。
ルシタニア号は六百万発の弾薬および他の軍需品を英国へ輸送中で、これがドイツ軍が同船を撃沈した理由である一内部で起こった爆発がたった一発の魚雷命中後わずか十八分で船が沈む原因となった。沈没を調査したその後の審問ではこの情報は削除された。ウッドロー・ウィルソンは同船の積荷目録原本をそれには軍需品が記載されていた財務省の文書保管所に隠すよう命じている。
さらに一層的を射ているのは、船が故意に災禍に差し向けられたという証拠である。事件前にウィンストン・.チャーチル当時英国海軍大臣であったが、アメリカ人を乗せた客船が沈められた際の政治的効果を予示する報告書を作るよう命じていた。そしてハウス大佐と英国外務大臣エドワード・グレイ卿のあいだで次の会話が交わされた。「グレイ：もしもドイツ軍がアメリカ人乗客を乗せた遠洋定期船を撃沈すれば、アメリカはどうするか。
ハウス：慣激の嵐が合衆国を襲い、それだけでわが国を戦争に巻き込むのに十分だろうと思う」
英国海軍はドイツ海軍の暗号を解き、イギリス諸島近辺の全Ｕボート[訳注1ードイツの潜水艦]の大体の所在を掴んでいた。当時英国海軍情報部にいたジョセフ・ケンウアーシー中佐の話によれば、「ルシタニア号にはUボートが待ち伏せていることがわかっており、護衛艦が引き上げている海域にかなりスピードを落として故意に差し向けられた」という。
アメリカ人がルシタニア号に乗らないよう説得しようとして、ドイツ軍がニューヨークの各新聞に大きく通告を載せていたことに注目しなければならない。彼らの海軍は、軍需品が英国に着くのを阻止しようと謀っていたちようど英国海軍が彼らにしていたようにである。
『権力の影-外交評議会ＣＦＲとアメリカの衰退』（ジェームズ・パーロフ著 徳間書店 １９９２年刊 ７７〜８３ページまで）
（引用終わり）
Philip Dru: Administrator
by Edward Mandell House
http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/1404355073/qid=1063499864/sr=8-2/ref=sr_8_2/002-2134964-9652825?v=glance&s=books&n=507846
From the Back Cover
Philip Dru: Administrator is a political fantasy novel about a military overthrow of the United States government and its Constitution. Its significance rests upon the fact that the novel represents the "political and ethical faith" of the most influential presidential advisor in American history, Edward Mandell House.
House was a close advisor to Presidents Woodrow Wilson and Franklin Roosevelt. Wilson called House his "alter ego" and much of the economic program outlined in Dru can be found in Roosevelt's New Deal. It has been said that House "copyrighted fascism" before Mussolini took power in Italy. House was not adverse to the allegation, writing in 1935 that he had "anticipated Mussolini by several years" in the midst of an article which heaped praise on Il Duce.
Dru has had a greater impact on American government than the Communist Manifesto, Mein Kampf or any other tract of political extremism, yet by comparison, Dru is unknown. Philip Dru: Administrator belongs on the short shelf of any American interested in public affairs. --This text refers to an out of print or unavailable edition of this title.
なんと全文掲載サイトがありました（版権切れ）
http://ibiblio.org/gutenberg/etext04/8phlp10h.htm
[3233] RE:アメリカを帝国に変えた男、ウッドロウ・ウィルソン 投稿者：小山 みつね 投稿日：2003/09/13(Sat) 20:48:56みなさん、今日は、小山 みつね （１８２２）です。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿本稿の内容は、
ウィルソン大統領の人となり、
ウィルソンによつてアリストテレス以来「最悪の政治」の代名詞であつた
「デモクラシー」が、良い意味に転換したこと、
ウィルソン主義が、グローバリズムそのものであること、
などが、コンパクトに、まとめられてゐる。
個人的に、私は、ウィルソンは大嫌ひだつたのでありますが、本稿を
読んで、ますます、ウィルソンが嫌ひになりました。（藁)
ウィルソンとは、これを要するに、「悪意なく悪い事をする」タイプの人間の典型です。
たとへば、カルバン統治下のジュネーブは、まじめなカルバンが
統治してゐるのだから、立派な町になつたかといふと、さうではなくて、カルバンの「信者」が、まじめなカルバン先生に倣つて、ありとあらゆる娯楽とかを取り締まり、排除する、「警察都市」になりました。
また、まじめなロベスピエール統治下のフランスも、まじめな
ロベスピエール先生の御意志をフランス全土に行き渡らせるために、少しでも腐敗した人は、ダントン以下、みんなギロチンに送られる、「警察国家」になりました。
それと同じ話でして、ウィルソンごとき「悪意なく悪い事をする人間」の「グローバリズム」が、統治する世界とは、「地獄」（！）に他なりません。
問：ウィルソン主義によつて戦利品を取り上げられた国を挙げよ
答：大日本帝国
「戦勝国」大日本帝国は、第一次世界大戦の戦利品「山東半島」を、不当にも、ワシントン会議（当時は、ウィルソンは大統領ではないが、、）で、取り上げられることになりました。
しかし、イギリスのビルマ支配、フランスのベトナム支配、オランダの
インドネシア支配、とかは、全く咎（とが）められませんでした。
ダブルスタンダードここに極れり、であります。
それでも、大日本帝国は、我慢して、「協調外交」（ワシントン体制の積極的受け入れ）を国策としたわけですが。
あ、となると、
＞なるほど、ウィルソンの理想は、その後の平和主義や植民地解放運動などに
貢献したことは疑いを入れない。
といふのはどうか、といふことになりますな。
「植民地解放」は、ウィルソン主義によつてもたらされたのではなく、大東亜戦争初頭における、日本軍の東南アジア戦線での快進撃が、もたらしたものであります。
１９３０年のアジアの地図と１９５０年のアジアの地図を比較せよ！！
私は、「悪意なく悪いことをする人間」には、次に引く
古代ギリシャの哲人王 ミリンダ王 と
古代インドの大修行僧 ナーガセーナ長老 の 対談の記録
「ミリンダ王の問い」の一節を送りたい。
（転載）
http://www2s.biglobe.ne.jp/~SHUJI/diary/essay03.htm
第八 知識の重視──知って悪をなすのと知らないで悪をなすのとの相違
王は問う、『尊者ナーガセーナよ、知っていながら悪い行ないをする者と、
知らないで悪い行ないをする者とでは、どちらが禍いが大きいですか？』
長老は答える、
『大王よ、知らないで悪い行ないをする者のほうが、禍いが大きいです』
『しからば、尊者ナーガセーナよ、われわれの王子または大官が、
知らないで悪い行ないをしたたらば、われわれはそれに二倍の罰を加えよう』
『大王よ、あなたはどうお考えにたりますか？灼熱し、燃焼し、炎熱し、
炎上した鉄丸を、一人が知らないでつかみ、一人が知ってつかむならば、
いずれがひどくやけどするでしょうか？』
『尊者よ、知らないでつかむ人のほうが、ひどくやけどします』
『大王よ、それと同様に、知らないで悪い行ないをする人のほうが、
禍いが大きいです』
『もっともです、尊者ナーガセーナよ』
出典 『ミリンダ王の問い１』平凡社 中村元 早島鏡正 著
http://www2s.biglobe.ne.jp/~SHUJI/diary/essay03.htm
（終了）
これを要するに、「善意からの悪行は、確信犯より、タチが悪い」といふことであります。
ウィルソン主義は、「知らないで悪い行ないをする人のほうが、禍いが大きい」の、典型であります。
ウィルソン主義のやうな、中途半端な「正義感」（ダブルスタンダード）は、大日本帝国にとつて、とても有害に、機能した、と断定せざるをえない。
甚だ遺憾な話である。
このやうな、「仮面をかぶつた（DISGUISED) 列強政治（パワーポリティクス）」が、大日本帝国を徐々に追い込んでいつたのである。
それにしても、大日本帝国は「協調外交」路線で、よく我慢したはうだ、と、私は、考へてゐる。
（了）
[3232] アメリカを帝国に変えた男、ウッドロウ・ウィルソン 投稿者：山田宏哉 投稿日：2003/09/13(Sat) 14:31:52山田宏哉です。以下、もともとはぼやき用に書いた原稿「アメリカを帝国に変えた男、ウッドロウ・ウィルソン」です。が、しばらく空きがないようなのでこちらに掲載します。
一足先に、私のことを応援してくださる方々にこの原稿を送ったところ、「こういう文章をどんどん書いてほしい」とゴー・サインがでました。かなりの自信作です。
アメリカを帝国に変えた男、ウッドロウ・ウィルソン／山田宏哉
�機ァ崟亀舛肇妊皀�ラシーの帝国」への変貌
「正義は平和より大切である。デモクラシーが世界を支配するために、戦わなければならない。」（1917年4月2日 議会にドイツへの宣戦布告を求める演説）
第28代アメリカ大統領、ウッドロウ・ウィルソン（Thomas Woodrow Wilson 1856-1924）が宣言した。「我々は、権力者に服従している人々が自国の政府に対して発言権を持てるように、小国の権利と自由のために戦わなければならない。」（前掲）というわけである。
アメリカは、ヨーロッパに200万人もの大軍を送り込んだ。第一次大戦はこれで決着がついた。アメリカの軍需産業は政府の支配下に置かれ、戦争を宣伝するための機関も設立された。ウィルソンはかねてから切望していた強大な権力を手中にした。
そして、止めはこの言葉だった。
「戦争［第一次世界大戦］が終わった暁（あかつき）には、我々は彼ら［連合軍を含むヨーロッパ諸国］に我々の考え方を押し付けることができるだろう。」（エドワード・ハウス大佐に宛てた言葉）。
アメリカは、「正義とデモクラシーの帝国」へと変貌した。
アメリカは倫理的・道徳的にこれ以上なく優れた国であり、アメリカの価値を受け入れない国は武力を用いてでも受け入れさせる必要がある、という確信は確実に現在のアメリカ外交をも縛っている。
なお制約上、本稿のウィルソンの発言の摘要は、ヘンリー・キッシンジャーの大著、『外交』（日本経済新聞社）の引用箇所と注釈に依拠した。
�供ゥΕ奪疋蹈ΑΕΕ�ルソンの光と影
教科書的な理解に従えば、ウィルソンは理想主義的で、新自由主義（New Freedom）を掲げ、「デモクラシーの擁護」のためにドイツに参戦し、１４ヶ条の講和条約を唱えた。さらに、「民族自決」（self-determination of peoples）を掲げ、国際連盟の設立を主張し、ノーベル平和賞まで受賞した立派な大統領である。
私は何もこの理解が間違っているというわけではない。それに、一見したところ、ほとんど文句のつけようがないほどの歴史的な業績である。
だがその反面、ウィルソンこそは、思想的にアメリカを帝国に変えた男なのである。これまで、ウィルソンに対しては、光の部分にだけ焦点が当てられ、影の部分はほとんど無視されてきた。私が、本稿で明らかにしたいと考えているのは、その影の部分である。
1856年11月29日、ウィルソンはヴァージニア州スタントンに生まれた。父も母も長老派キリスト教徒の牧師であり、ウィルソン自身も熱心な信者だった。
ウィルソンがプリンストン（厳密にはプリンストンが大学になったのは、1896年のこととされている。プリンストンはもともと、牧師の養成機関だった。）の学部時代、特に強烈に興味を持ったのはリーダーシップの役割と機能の問題だった。大統領が（正義を実現するために）強大な権力を持つためにはどうすればよいか、というのが、一貫したウィルソンの中心テーマだった。ウィルソンは学者肌の人間だった。
ただし、やっかいなことに、その熱心なキリスト教徒としての使命感と、理想を実現するための強大な権力への意志が、後々ウィルソンの中で奇妙な結合をすることになる。
例えば、「若い頃からウィルソンは、アメリカの連邦政府の諸制度は究極的な”人類の議会”のためのモデルとして役立つべきであると信じていた。」（キッシンジャー 『外交 上』 p314）など、ウィルソンの偏狭とすら言える使命感を示すエピソードは、枚挙に暇がない。
1879年、ウィルソンはプリンストンを卒業した後、ヴァージニア大学で法律を研究し、法律家の資格（the Bar）を与えられる。その後さらに、ジョンズ・ホプキンズ大学へと進み、政治学(political science)と法律学(jurisprudence)を専攻する。1886年には博士号（Ph.D.）も取った。
1890年、ウィルソンは母校であるプリンストン大学の教授に就任し、法律学と政治経済学（political economy）を教えることになる。ただし、興味深いことに、ウィルソンは学問上の業績と言うよりも、その”雄弁さ”で学生の評判を勝ち取ることになる。さすが、後に世界史に名を残すアメリカ大統領だけのことはある。1902年にはプリンストンの学長にも就任し、学術水準を上げるために、さまざまな改革に乗り出す。
1910年、いよいよウィルソンは、プリンストン大学の学長を辞し、ニュージャージー州の知事を経て、1912年には民主党側から大統領選挙に出馬する。ウィルソンにとって、願ってもない幸運だったのは、共和党の分裂だった。
共和党支持の票が、ウィリアム・ハワード・タフト（William Howard Taft）と進歩党（Progressive party）がバックについた、セオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)に分散したのである。両者の不和が分裂の原因だった。
こうしてウィルソンは第28代アメリカ大統領に就任することになる。
�掘ゥ▲瓮螢�参戦への道
1914年6月28、オーストリアの皇太子フランツ＝フェルディナンド夫妻が、セルビアの反オーストリア組織「黒い手」の青年に暗殺された。当時、セルビアの後ろにはロシアが付いていた。激怒したオーストリアは、セルビアに最後通告を突きつけた。が、拒否されたのでセルビアに宣戦布告。
さらに、オーストリアを支援するドイツもロシアに宣戦布告。加えて、ドイツはベルギーの中立を犯してフランスに進撃し、これがイギリスの宣戦布告の理由となった。
そして1915年、イギリス商船、ルシタニア号がドイツ軍によって撃沈される。ルシタニア号は実際は非武装だったが、ドイツが連合国側の軍事物資を運んでいると見做したゆえの悲劇だった。乗客1198人のうち128人がアメリカ人だった。これでアメリカの世論は激昂する。注目すべきことに、この事件が起きるまではアメリカ人の間には、ドイツに対する同情がかなりあったようだ。
ここでウィルソンは、ドイツに「可能な限りの賠償」要求をドイツに突きつける。ドイツはこれを拒否するが、警告抜きの旅客船攻撃はやめるように命令を下した。結局、交渉の末、ドイツ側が譲ったような形となり、即時的な危機はこの時点では解消する。
それでも、当時連合国側について参戦するようにという主張は強かった。1914年、ウィルソンによって国務長官に任命されたロバート・ランシング（Lansing, Robert 1864-1928）も強く参戦を主張した。
しかし、ウィルソンが信頼し、政治上の相談相手としたのは腹心の、エドワード・ハウス大佐だった。ウィルソンはハウスにはかなり本音で話している。先述した、「戦争［第一次世界大戦］が終わった暁（あかつき）には、我々は彼ら［連合軍を含むヨーロッパ諸国］に我々の考え方を押し付けることができるだろう。」という驚くほど傲慢な言葉もハウス相手だからこそ、だろう。
エドワード・ハウスは奇妙な人物で、ウィルソンの側近中の側近で、ウィルソンが「自分の分身」と呼んだほどだった。ハウスは積極的にウィルソンに進言した。危険な推論となるが、表現を変えれば、アメリカのエスタブリッシュメント層の利益の代弁者であった、「エドワード・ハウスの側近中の側近がウィルソンだった」ということかもしれない。
余談となるが、ウィルソン主義の継承者であるフランクリン・ルーズベルトもまた、エドワード・ハウスに「孤立主義を排し、積極的に海外進出する大切さ」を述べている。
結局、仲間はずれにされたランシングはドイツへの宣戦布告にほとんど影響を与えることができず、しかも国際連盟をめぐる意見の相違で、ウィルソンに首を切られてしまう。
1917年１月31日、ドイツは無制限潜水艦作戦（unrestricted submarine warfare）をぶちまける。アメリカの船舶も何隻か沈められた。敵国はもちろん中立国の船舶が攻撃されることになった。これはルシタニア号の後処理でのアメリカとドイツ間の約束に完全に背くものだった。即刻、アメリカはドイツと国交を断絶する。
1917年4月6日、アメリカはついに宣戦布告をする。ウィルソンの傾倒すべき「正義のための戦争」演説も行われた。そうして、ヨーロッパに送り込んだのが、200万人という大軍である。これにより、戦況は連合軍に圧倒的に有利になった。
結局のところ、ウィルソン大統領は、アメリカ外交に「道徳」「倫理」や「十字軍」のイデオロギーを持ち込んだ。アメリカ人の個人レベルの美徳が、そのまま外交目標となった。ウィルソンはアメリカ大統領であると同時に、宣教師でもあった。
�検ネ�性的な外交とは何か？
以上述べてきたように、ジョージ・ワシントン以来の、外国（ヨーロッパ）のことに関わらないという孤立主義の知恵はかなぐり捨てられた。
ここで、ヘンリー・キッシンジャーの有名な大著、『外交』の言を引こう。
［引用ここから］
ウィルソンによれば、ワシントンの意味したものは、外国の”目的”にかかわりを持つのを避けねばならないということであった。しかし、ウィルソンは、人間性に関するものはどんなものでも「外国のことであるからとして無関心ではいられないものである」と主張した。それ以来、アメリカは自ら海外のことに関与する無制限の権利を持ったのである。
外交の紛争に巻き込まれるなという建国の父の命令から、全世界規模の介入という特権を導き出したことは、そして、戦争に巻き込まれることを不可避にさせる中立哲学をつくり上げるとは、何という思い上がった態度であろう！
（前掲書（上） 第２章「アメリカ外交政策の軸」 P47）
［引用ここまで］
本書でキッシンジャーが「何という思い上がった態度であろう」と非難し、「！」（感嘆符 exclamation mark）を使うのは異例のことである。ウィルソンの外国介入の正当化は、それほど驚倒すべきものなのである。やはり、ウィルソンの確信と使命感は、外交にとって狂気的なことだった。
もちろん、ウィルソンより以前の、例えばセオドア・ルーズベルトも棍棒外交と呼ばれる荒っぽい外交で「アメリカの庭」を支配した。だが、それは当時のパワー・ポリティクスの論理に従い、国益を追求しただけだった。「アメリカは倫理的に偉い国だから、他国にも教えてやる必要がある」などとは考えていなかった。ルーズベルトは、国家の美徳と個人の倫理が異なることを理解していた。だから、表面的には荒っぽくても、ウィルソンよりずっと理性的な外交だったと言える。
ところで、国際政治学の泰斗、ハンス・モーゲンソーや「ソビエト封じ込め政策」のジョージ・ケナンも、キッシンジャーと同じようにリアリスト（現実主義者）とされる。もともと、リアリストは国際政治に個人レベルの道徳や十字軍のイデオロギーが入り込むのをひどく嫌う。純粋に国力が国際関係、バランス・オブ・パワーを決定するという立場である。
前出のモーゲンソーによれば、優れた理性的な外交を行うためには、３つの方法が必要となる。説得、妥協、武力の威嚇である。この際、正義、宗教、デモクラシーはお呼びでない。
リアリズムにとっては、この３者をバランスよく組み合わせて、自国の国益を守る活動が優れた外交である。武力の威嚇だけの外交は、稚拙な外交の典型例である。逆に、武力の威嚇を抜きにした外交では、国益を守ることはできないだろう。
今やこの分野の古典的名著とも言える、モーゲンソーの『国際政治 権力と平和』（福村出版）やケナンの『アメリカ外交50年』（岩波書店）は、現代の外交を考える上でも有益な示唆を私たちに与えてくれる。
ところが、現実は逆に、ウィルソン以来のアメリカの権力者は道徳的、十字軍的な外交目標にコミット（肩入れ）してきた。モーゲンソーは、ベトナム戦争の十字軍的体質を批判して、それまでの名声を失った。ケナンも追い出されるように国務省をやめることになる。
�后イ△箸�きにかえて
第一次大戦時のアメリカ遠征軍の最高司令官、ジョセフ・パーシング（Pershing, John Joseph 1860-1948）は派遣先のフランスで連合国側の指導者とちょっとした対立を起こしている。連合国側は、フランス軍とイギリス軍の損失分の代替品としてアメリカ軍を使うように望んだ。ところが、パーシングはその要求をはね付けた。
要するに、アメリカ軍は、パーシングの指揮のもと、連合国とは別個の「独自の行動」をするというわけである。細かい出来事だが、その後のアメリカの思想と行動を暗示する出来事に思えてならない。
実際、時代状況からすれば、世界覇権がイギリスからアメリカへと移りつつある、まさにその時期に、ウィルソンは登場した。
なるほど、ウィルソンの理想は、その後の平和主義や植民地解放運動などに貢献したことは疑いを入れない。ただし、その一方で、世界はアメリカの価値観によって管理されるべきであるという傲慢な思想もまた、ウィルソンの理想から生まれたものだとは、皮肉としか言いようがない。（了）
山田宏哉記［追記］
この小論へのご意見・ご感想などは、hiroya@ruri.waseda.jp までお願いします。
私のWEBのURLがちょびっと変わりました。
http://members.at.infoseek.co.jp/hiroyatan/
[3231] 次代に求められる政治家の要件について 投稿者：takamura(会員番号1692) 投稿日：2003/09/13(Sat) 11:05:55先日、本屋で(地盤・コネ・血縁等無い無い尽くしで)サラリーマンから政治家を目指す人々、といった見出しが目に止まり「GQ」という雑誌を買って読んだ。先日の自民党・野中広務氏の(政界からの)引退宣言に見られるように、それなりに変化の胎動が見え隠れしてはいるが、だからといって守旧勢力の影響力はいまだ根強く、そしてあまりに長い「政治家」の不在(今の国会議員の多くは「政治家」と言うより「いかがわしい政治屋」と呼ぶほうが相応しい)があったこともあり、周囲(知人・友人・家族にいたる)の無理解・不信に基づく冷ややかな反応の中で、あえて、この時期政治家を目指すというのは見ようによっては「ドン・キホーテ」のようなものだが私としては(誌面で紹介されていた方々は見ると、まだ一様にー羽の生え揃わない雛鳥のようにーいささか頼りなげだが)その勇気・勇敢さと(今では死語と化した言葉だが)「国士」としての心意気を「偉大な戦士のスピリット」を持つ先駆者として高く評価したい。
ただ、・・・確かに紹介されていた方々からは一様に政治についての真摯な理想・使命感をひしひしと感じるのだが、次に訪れる政治的周期に対応した形で政治家として機能するのには(この中の何人かは)いささか難があるようにも思われてならなかった。
最近(大衆プロパガンダについてー戦時下に発行されていた「FRONT」について関心があると説明したら)知人に薦められた多川精一著「回想のFRONT」という本を読んで興味深かったのは(15年戦争)当時の社会の世相・空気と今日のそれは極めてよく似通っているということだった。(実際「FRONT」自体はよく出来た質の高いビジュアル誌ではあったが宣伝媒体としては大して有効ではなかったようだ)
(アメリカと戦争を始め日本に多大の被害・損害を与えた)東条内閣の時も戦時体制が10年以上続き重苦しい鬱屈した空気の中で何でもいいから状況を変えたい，という半ばやけっぱちな気運が人々の中にあり、それが東条内閣を(大衆が強く)支持した要因であった、と著者の多川氏は述懐していたが(ある種の世論操作を考慮に入れても)今だに根強い小泉氏の支持率の高さもー実態はいまいちよくわからないが「構造改革!」と言っているし不況で重苦しい世相をいつか、何かで払拭してくれるだろうという・・・見当違いの淡い期待があるのだろう。
ただ多少であれ分別が働くものならば小泉政権が進める改革の行き着く果ては日本の社会と経済をボロボロにしてしまうのは自明のことなのだが・・・。
速やかな対応が急務なのだが、やはり、かつてそうであったように社会的・経済的・文化的に焼け野原になるまで多くの人々は気づかないのだろうか。
東条内閣によって開かれた破局の扉はおよそ4年で一つの結実をみたが現状を鑑みるにここ1,2年に大きなクライマックスを迎えることだろう。
そういえば、以前にも時代の潮流を読み違えドイツ・イタリアと組み「枢軸のトライアングル」の一翼を担い手痛い目にあったが、今回も日本は時代の趨勢に逆らいアメリカ・イギリスと共に「愚行のトライアングル」を形成している。
小泉氏もいろいろ事情はあるのだろうが、・・・つくづく指導層に恵まれない国である。
話を戻すとこれから必要とされる政治家の仕事・活動は今までのようなものではないー、前例の無いところで現実の様様な制約と将来についてのビジョン・理想の狭間に立ち(何らかのレベルにおいて)リーダーシップ示すことであろう。
記事の中で尊敬する人について話していた方々もいたが白州次郎・吉田松陰あたりはともかく、織田信長とかトニー・ブレアとか、果ては田中角栄というのは・・・できればもう少し深い見識を期待したい。どうせなら、侵略者を避けトルコを急速な近代化に導いた民族指導者ケマル・アタチェルクや旧西ドイツの政治家で(先進諸国の指導層からなる)ブラント委員会を組織し道義にかなったビジョンと現実主義を極めて巧みに融合し世界規模で貢献したウイリー・ブラントあたりを出来れば将来のお手本として心に留めていただけたらと思う。
また政治家は(常識人として)普通の感覚というものを持ち、且つ理解出来なければいけないが、しかし、だからといって一般の人々と完全に同化・同調すればよい、というものでもない。
理解しつつも時として大衆レベルのそれに比べ高い，包括的な観点から物事を決断し理解を求めうるものを提示出来なければ、これからは(政治家として)意味をなさないだろう。
特に自民党に多い世襲政治家を見るとやはり心理的奇形が多いように思う。適切な堆肥を十分に与えていない作地で作る作物が痩せていびつになるように嘘・二枚舌、政争、騙し合いに明け暮れている俗悪な(心理的)環境に代代晒されていると精神の健全な発達に重大な支障がでることは田中真紀子氏、小泉純一郎氏他の言動によく現れている。・・かわいそうなことだとは思う。
これから求められる政治家の要件についての考察は政治家を選ぶ側あるいは政治家として選ばれる側双方にとって有益な価値を持つものと思うのでまた機会を改めてこの場を借りて提起してみたい。
とりあえず今回はこの辺で。(了)
おまけー「GQ」の感想
この雑誌は・・・(苦しい出版事情は理解できるとはいえ)記事が広告に埋没していて、まるで「家庭画報」(笑)。
記事全般についていえば何かあまいような気がする。(個人的にはこの手の雑誌は変な男性向け週刊誌より気晴らしにはなるとは思うが)
超高級品の紹介記事で、バルザック曰く「飾ることを忘れた男は死を意味する」と書いてあるが・・・バルザックのエッセイ「優雅な生活論」(風俗研究に収録)では「ダンディ(洒落者)は上ッ面流行であり単なるマネキン人形に成り下がることである。・・飾り立てポーズを決めてもものを考えることは出来ない。この手の流行の中に流行しか見ない者を馬鹿というのである。」とあるが・・実際どうなのでしょう(笑)
まぁ、30万もするワニ皮の靴や誌面で取り扱っていたファッションに身を包むような方々がいかなる層なのか現在、皆目見当もつかないが少なくともこのサイトに閲覧しにくるような層ではないだろう。(笑)
洗練されていて中身の詰まった人間は身なりにおいても、すぐ飽きて古びるようなものに手は出さずスキの無い自分に合ったものを注意深く選ぶだろうから。
いずれにせよ、世の知的・感覚的に秀でた方々に支持され，愛されるような充実した誌面作りにこれからも精進・努力怠ることなくがんばってほしい。
[3230] Re:[3227]会員から寄せられた情報を転載します。 投稿者：会員番号１２５９ 投稿日：2003/09/13(Sat) 06:21:05地震情報に関連する記事が出ていました。ヤフーニュースから転載します。（転載開始）
＜地震予知＞１６日前後に南関東で発生？ 研究者が討論会
「今月１６、１７日前後に南関東で大きな地震がある」との民間研究者の予測が波紋を広げている。１２日には山梨県でこの予測を受けた討論会が開かれ、大学の研究者らが電波を使った地震予測の現状などを議論した。
予測を発表したのはＦＭ放送の電波を使い地震の前兆をとらえる研究をしている串田嘉男・八ケ岳南麓天文台長。討論会は元東大学長の有馬朗人参院議員らが呼びかけ、約１３０人が参加した。
串田台長は流星観測のためＦＭ放送の電波を受信していたところ、阪神大震災の直前に、通常と違う電波の変動を観測した。地震が近づくと震源域上空の電離層に変化が生じ、通常は受信できない遠くの局の電波が反射されて変動が生じたと考え観測を続けてきた。
その結果、前兆とみられる電波の変動は、徐々に強まった後、再び弱まって変動がない時期を経て地震発生というパターンが多かった。
今回の予測は「今月１６〜１７日を中心とした前後２日の間に、南関東圏でＭ７・２前後の地震が起きる可能性がある」というもの。可能性が高い順に（１）この本震の後、１０月３１日の前後３日にＭ６・５前後の余震が起きる（２）９月には起きず、１０月末以降にＭ７・２前後以上の地震が起きる（３）有感地震としては観測されない「ゆっくり地震」などが起きる――とした。
串田台長は「今回は新たなパターンの変動のため、発生しない可能性もあるが、もしもの場合に備えてもらえればと思い公表を決断した」と説明する。
討論会では、予知の信用性の議論にはならなかった。電波や地磁気などで前兆を観測中の大学のデータなどには異常がないと報告されたが、これらで異常が出るのは地震の２〜３日前だという。
東海地震の予知を目指す地震防災対策強化地域判定会の溝上恵会長は「予知というなら、科学的根拠を示し、地震を起こす断層を特定したうえで公表すべきだ。串田さんの場合、前提となる科学的根拠が明らかでなく何とも言えない」と話す。溝上会長は討論会に参加しなかった。
串田台長は独学で天文学を学び、８５年に私設の天文台を開設した。【鯨岡秀紀、河内敏康】（毎日新聞）
[9月12日23時19分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030913-00000108-mai-soci
（転載終了）
地震予測
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/earthquake_prediction/
[3229] 「ワーカーズトップページ」の更新のお知らせ 投稿者：ワーカーズの直 投稿日：2003/09/12(Fri) 23:35:28ワーカーズの直です。
「ワーカーズトップページ」九月十五日のトピックスに、「自民党崩壊のカウントダウンが始まった」という表題の評論を書きましたので、関心がある方はご覧下さい。http://www.workers-2001.org/
[3228] 【書評】 預金封鎖 のミニ書評 投稿者：アルルの男・ヒロシ 投稿日：2003/09/12(Fri) 13:31:42『朝日新聞』夕刊の書評です。事務所では、最近、なぜか朝日新聞を購読しています・・・。（引用開始）
『預金封鎖――「統制経済」へ向かう日本』
副島隆彦 著
本体1600円
祥伝社
03・3265・2081
来るべき破綻の時代を生き抜く知恵
アメリカの政治思想、法制度、金融・経済全体を俯瞰した学際的な研究と評論に定評のある著者の最新刊である。シリーズの5冊目になるが、本書では政治経済の動向を分析すると共に、来るべき金融経済の動乱期を見すえ、「自分の手持ちの金融資産を、どうやったら守ることができるのか」、「自分の資金を何に投資したら、安全に防衛できるのか」という質問に明確に答えている。
政府による「預金封鎖」が果たしてあるのか、それはいつのことか、著者の論理はきわめて明快だ。今の日本の、そしてアメリカの株価と債券市場は「政治相場」であり、いずれアメリカ発の世界恐慌が訪れることをさまざまなデータを元に予測する。曰く、アメリカは日本円にして1600兆円、日本は800兆円の累積財政赤字を抱えている。いわば財政赤字垂れ流しの構造はいかに人工的に金融政策を実施したところで根本的には解決しない。両政府の首脳ともに再選時期までは「日米同時株価急上昇」というシナリオに従って、金融市場の堅調傾向を演出するだろう。しかし、2005年以降にその報いがやってくるというのである。そのときこそ、国民が保有する金融資産が預金封鎖という形で政府の手によって吸い取られることになる。今こそ発想の転換と自己防衛をすべきという主張には説得力がある。
（貼り付け終わり）
http://www.book-times.net/200308/18.htm
[3227] 会員から寄せられた情報を転載します。 投稿者：副島隆彦 投稿日：2003/09/12(Fri) 09:57:32副島隆彦です。 私たちの会員の一人から寄せられました地震情報をこちらに転載します。
串田さんという天文学者の予測です。（全然当たらない）地震（予知）学者たち（地球物理学者崩れたち）の予測ではありません。
地球を覆う電磁気の異常で地震が起きるのだ、という新しい学説が
生まれて１０年以上になります。傾聴に値します。
私は、以下の通りに地震が、私たちを襲うかどうか分かりません。
それでも遠からず、大規模地震が、伊豆や関東大地を襲うでしょう。
私たちには大自然の動きに対して無力ですが、それでも、権力者
たちの国家情報統制、思想、言論統制に騙されないで、賢明に対処したいと思います。
副島隆彦拝
（転載貼り付け始め）
送信日時： 2003/09/11(Thu) 22:46
・・・・全く別の話になりますが、
串田嘉男氏という天文学者が、2003年9月16日、17日（プラス／マイナス前後２日の誤差）に、マグニチュード7.2（プラス／マイナス0.5）規模の大地震が、東京・神奈川を中心とした南関東圏に発生すると予測しています。
レポートを読んでみると、全く荒唐無稽な予測でもないと思われます。副島先生を始めＳＮＳＩ・副島隆彦事務所の方々も御注意
頂ければと思います。
八ヶ岳南麓天文台HP： http://epio.jpinfo.ne.jp/
（転載貼り付け終わり）
副島隆彦記
[3226] びっくりしました！ 投稿者：アルルの男・ヒロシ 投稿日：2003/09/11(Thu) 15:01:56トーハンのランキングで１位でした。